パーム・スプリングス(iTunes Store) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

パーム・スプリングス(iTunes Store)


2020年作品/アメリカ・香港/90分

監督 マックス・バーバコウ

出演 アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ


2021年10月9日(土)の夜、自宅で鑑賞しました。


パーム・スプリングスで行われた結婚式に出席したナイルズと花嫁の介添人のサラ。ナイルズのサラへの猛烈なアタックから2人は次第にロマンティックなムードになるが、謎の老人に突然弓矢で襲撃され、ナイルズが肩を射抜かれてしまう。近くの洞窟へと逃げ込むナイルズとサラは、洞窟の中で赤い光に包まれ、目覚めると結婚式当日の朝に戻っていた。状況を飲み込むことができないサラがナイルズを問いただすと、彼はすでに何十万回も「今日」を繰り返しているという(以上、映画.comからの引用)、という物語です。


2021年4月公開作品です。気になりながら見逃したため、レンタルになったのを機に鑑賞しました。タイムループものということなのですが、私の印象に残っている作品のなかでオススメは、「恋はデジャ・ブ(93)」「ミッション: 8ミニッツ(11)」でしょうか。同じ日の同じ時間を、何度も繰り返し体験するドラマ。今回は予想外なヒューマンドラマで、泣けてきました!




《感想です》


カリフォルニア州の南方の砂漠地帯にあるリゾート地、パーム・スプリングス。ここで妹の結婚式に出席していたサラは、お調子者のナイルズと意気投合したものの、彼の制止を振り切って洞窟に入ってしまったことで、〝その日〟を永遠に繰り返すタイム・ルーパーになってしまいます。ナイルズもルーパーで、なんと眠って目が覚めると、結婚式の朝に戻ってしまうのです。


何度も何度も、同じ毎日が繰り返すって、退屈で仕方がなく地獄のようですよね。次に何が起きるのかが分かってしまう。ナイルズはそんな毎日をもうナン十万回も繰り返しているといいます(ちょっと多くないですかね?)。その生活のなかへ、突如としてサラという同じタイム・ルーパーが登場することによって、彼の周りと内面に新たな変化が起きることになるのです。


ひとりがふたりになることによって、これまでの荒涼とした景色が、美しく、夢があり、ロマンチックなまるで異なるものに見えてくる。他人をからかったり、嘲笑したり、貶すことでしか毎日を楽しめなかったのが、相手のことを思い、慮り、肯定できるようになる。そういう、人が寄り添うことによって価値観が良い方へ大きく変わることをこのドラマは実感させてくれます。


毎日がリセットされるナイルズとサラのやりたい放題に笑わせられながら、はじめ反発していたふたりが恋に落ち、やがてお互いにかけがえのない存在になっていくという、これはSFという設定ながらも、ヒューマンなラブ・コメディでありました。そして、タイム・ループという特殊な状況でなくても、人生を楽しくするのも、つまらなくするのも本人が重要ということですかね。


主人公の二人は決して美男美女じゃなく、成功者じゃない。もう若くないくたびれた中年の男女。そんな二人がはじけた姿を見せるところ、面白いですね。また、ここにもうひとりタイム・ループにはまった初老の男が出てくるのですが、彼の選択も長い人生の終盤をどう過ごすか?を考えさせられるところがあります。多様な切り口で語ることができるドラマになっています。


一風変わってますが、タイム・ループといっても難解さはなく、笑いながら、ホロっとし、考えさせられる一見の価値ありの作品かと思います。


✳︎ドラマのなかで、タイム・ループの能力を前提に自ら命を絶つ場面が出てくるところ、ちょっと嫌なんですが。



トシのオススメ度:4

5 必見です!!
4 お薦めです!
3 良かったです
2 アレレ? もう一つでした
1 私はお薦めしません


パーム・スプリングス、の詳細はこちら: 映画.com


この項、終わり。