ジュリア(DVD) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

ジュリア(DVD)


1977年作品/アメリカ/118分

監督 フレッド・ジンネマン

出演 ジェーン・フォンダ、バネッサ・レッドグレーブ


2021年5月29日(土)の午前、自宅で鑑賞しました。


ジュリアが私に助けを求めている……。第2次大戦直前の混乱期、ナチス・ドイツの厳戒体制下のベルリンに単身乗り込むリリアン。心から敬愛する親友に反ナチス運動資金を届けるために(以上、Amazonの商品情報からの引用)、という物語です


前の「歌え!ロレッタ愛のために」に続いて、1980年前後の女性映画というか、女性を主人公にした良作が観たくなりまして、未開封DVDから「ジュリア」を選択しました。大学生の時にレンタルビデオで鑑賞して以来。30年以上ぶりの再見になりますが、恋愛感情も入っての女性同士の友情を描いた人間ドラマの秀作だと改めて感じました。サスペンス映画としてもとても面白いです!未見のかたはぜひご覧ください。




《感想です》


1930年代の前半、劇作家のリリアン・ヘルマンはスランプに陥っていて、同棲していた作家のダシール・ハメットの勧めで、幼馴染で親友のジュリアに会うためにパリ経由でウィーンへ行くことに。パリに着いたリリアンは、そこでウィーンで起きた暴動でジュリアが瀕死の重傷を負ったことを知ります。リリアンは入院中の口のきけないジュリアと再会を果たすものの、ある日、彼女が病室から忽然と姿を消してしまうのでした。


映画はこの後、アメリカに戻ったリリアンが成功を収め、再びパリを訪れるあたりから、俄然サスペンスのテイストを強めだしていきます。反ナチの地下活動のために、ジュリアからの依頼で大金をベルリンへ運ぶことになったリリアン。移動中の列車のなかで展開されるドラマは、見事なヒッチコックタッチであり、誰が味方で誰が敵なのかが分からないなかリリアンが疑心暗鬼に陥るところなど、ぐいぐいと惹きつけられます。


しかしこの映画の本当の良さは、このようなサスペンス部分の面白さにあらず、やはりリリアンとジュリアという二人の女性の間に生まれた特殊な友情を見事に描いたところなのかと思います。途中途中で挿入される二人の少女のころのエピソードが美しく印象的です。大富豪の娘であり、何ごとにもアグレッシブで変化を好む指導者的性格のジュリアと、いつもジュリアの後ろからついていくリリアンという、描き分けが見事でした。


そして一番の見どころはこの二人がベルリンの駅前にあるカフェで本当に束の間の再会を果たすところでしょう。少女の頃の活発だったジュリアは先の暴動のために義足をつけて杖をついており、その容姿には若かりしころの華やかさは既にありません。そんなジュリアを目の当たりにし、彼女の身上に思いを馳せながら瞳に涙を溜めるリリアン。この二人がテーブルの上でそっと手を重ねる抑制の効いたシーンが素晴らしいです。


全てが夢か幻のようになってしまうラストもビターで。本作を観ていて思いましたが、こういう大人のアメリカ映画が最近はめっきり少なくなってしまいましたね。リリアンを演じるのがジェーン・フォンダ。ジュリアを演じるのがバネッサ・レッドグレーブです。監督が「真昼の決闘(52)」「地上より永遠に(53)」などのフレッド・ジンネマン。〝反権力〟というあたりの特徴は、この「ジュリア」にも流れているテーマですね。


ちなみに、メリル・ストリープの初映画出演ということでも知られる作品です。






トシのオススメ度: 5
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2 アレレ? もう一つでした
1 私はお薦めしません


ジュリア、の詳細はこちら: 映画.com


この項、終わり。