特攻大作戦(iTunes Store)
1967年作品/アメリカ/145分
監督 ロバート・アルドリッチ
出演 リー・マーヴィン、チャールズ・ブロンソン
2021年5月23日(日)の午後、自宅で鑑賞しました。
1944年、ヨーロッパ大陸侵攻直前のこと。米軍のライスマン少佐は、死刑、または無期懲役を宣告された凶悪な囚人たちによる部隊を編成し、敵軍のかく乱を行なうという特別作戦の指揮を命ぜられる。選ばれた12人はいずれも一筋縄ではいかない荒くれ者ばかり。そんな囚人部隊も、ライスマンの厳しい特訓のもと、次第に結束していく。そしてついに出撃の時が(以上、映画.comからの引用)、という物語です。
「攻撃」のロバート・アルドリッチが、同作の主演のリー・マーヴィンで撮った、娯楽映画「特攻大作戦」という戦争映画がありました。これは大昔にテレビの洋画劇場で観たのですが、あまり印象に残っておらず、このたび再見することにしました。これ、2時間半という大作だったのですね。たぶん私が観たのはズタズタにカットされたものだったのでしょう。でも今回オリジナルを観ても無駄に長くて、もう一つでしたね。
《感想です》
第二次世界大戦中、刑務所に入れられた死刑囚をはじめとする極悪犯罪人たちを集めて鍛え直し、12名から成るチームを編成し、ある極秘ミッションに挑むというドラマです。これって「スーサイド・スクワッド」ですね。更なる元ネタは「七人の侍」なのでしょう。で、その特殊チームを束ねるのがリー・マーヴィン演じるライスマン少佐というわけです。相手が極悪人なので束ねるほうも迫力がいりますが、さすがの説得力です。
この映画は2時間半あるのですが、この極悪人たちを集めてチームにし、そして訓練する場面だけで1時間半もあるのです。ライスマンがそれぞれが一匹狼の輩を手なずけて、言うことをきかせて、かつ結束力を高めていく。そこがかなり丁寧に描かれていきます。これはこれで面白くはあるのですが、戦争アクションものを期待する向きにはどうも話がこじんまりしすぎて、早く本筋のミッションの方へ進まないかと焦らされます。
12人の極悪人の描かれ方も通りいっぺんで、人数が多いため、数人を除いては全員がきちんと描き分けられているとは言いがたく、また、各人の特徴が後々のミッションで巧く活かされているわけでもないので、こんなに時間を割く必要があるのかなと、観終わって振り返っても考え込んでしまいます。訓練の間はほとんどドラマが動かないですしね。やっぱり、こういうドラマに、必殺仕事人が1ダースというのは多すぎなんでしょう。
彼らのミッションは、ドイツの高官たちが集まる御屋敷に忍び込んで全滅させるというものなのですが、その重要性や難しさがいまひとつ伝わってこない上に、これなら爆撃してしまったほうが早くないか?と思ってしまいました。またドイツ高官はともかく屋敷を訪れていた婦人や客人たちも、当時のドイツは絶対悪ということで根絶やしに殺してしまうという、そのやり方も後味が悪すぎて〝正義のため〟という感じがしないです。
オープニングの絞首刑のシーンやこのラストの無慈悲な殺害シーンがシリアスすぎるなかで、途中に和気藹々とした模擬演習の場面があるなど、全体のトーンもチグハグな感じが否めなかったですね。まあ、これがよくある戦争をスポーツやゲームのように描いてしまうアメリカ映画らしいところでもあるのでしょうか。娯楽映画として見た場合に、そこそこ面白いのは面白いのですが、どうも私としては納得度は高くないですね。
えらく大味な戦争映画ですが、リー・マーヴィンほか、アーネスト・ボーグナイン、ジョージ・ケネディ、チャールズ・ブロンソン、ドナルド・サザーランド、テリー・サバラスなど、懐かしい俳優の面々が楽しめました。
この項、終わり。