最前線物語(DVD) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

最前線物語(DVD)


1980年作品/アメリカ/113分

監督 サミュエル・フラー

出演 リー・マーヴィン、マーク・ハミル


2021年5月22日(土)の午後、自宅にて鑑賞しました。


第一次大戦に生き残った軍曹が、4人の若いヤンキーの兵士を率いてヨーロッパ戦線の最前線を転戦する姿を描く(以上、映画.comより引用)、という物語です。


まだ、第二次世界大戦ものです。「攻撃」に出演していたリー・マーヴィンが出演しています。こちら公開時に見逃して、いつか観たいと思っていた作品です。確か当時、評価が高かったのではなかったかと思います。話題になったのは、「スター・ウォーズ(77)」のルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルが出演していたこともあったのかもしれません。少し変わった戦争映画でしたが、これは観ておいてよかったです。




《感想です》


リー・マーヴィンが演じる古参の〝軍曹〟が、新兵たちを引き連れて、第二次世界大戦のなか激戦地を転戦していく様を描いていきます。北アフリカ戦線から物語は始まり、そこでの戦いに生き残ったグリフ、ザブ、ビンチ、ジョンソンの4人の若者たちとともに、シチリア島、ノルマンディー(上陸作戦)、フランス領内、ベルギー、チェコスロバキアと移動していくのですが、この物語は作家志望のザブの視点で語られていきます。


実は軍曹は第一次世界大戦の際にフランスで「戦争は終わった」と話しかけてきたドイツ兵を、終戦を知らず殺した過去を引きずっています。その時に軍曹が所属していたのが陸軍第一歩兵師団、通称〝The Big Red One(原題)〟で、それ以来、軍曹は第二次世界大戦においてもずっとこの部隊に所属しているという背景があります。軍曹は多くの新兵を失いながら、グリフ、ザブ、ビンチ、ジョンソンと奇跡的に生き残り転戦していくのです。


こういう一つの部隊の活躍をずっと追いかけながら、第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦線の全体を描いていくという趣向がユニーク。ちょっとテレビの連続ドラマかプログラムピクチャーっぽさもありますが、各エピソードは見応えある内容になっています。かといって、戦闘アクションや残酷な描写に偏ることなくユーモアもあって、若い兵士たちのやり取りなど笑わせてくれる一面も。なのでとっつきやすいのです。


若者たちの活躍の見せ場もありますが、みどころは決して多くを語らない軍曹が見せる人間味ですね。戦闘の最中で妊婦の出産を助けるように指示するところや、チェコスロバキアのユダヤ人収容所で焼却炉に隠れていた一人のドイツ兵へ何度も何度も銃弾を浴びせるグリフに〝続けろ〟と声をかけるところ。そして、最後の痩せ細ったユダヤ人の少年との交流など。肩車した少年が軍曹の肩の上で命を落とすシーンが涙を誘います。


過去と現在をつなぐ役割の朽ち果てたキリストの磔刑像や、時折挟まれる動物たちの愛らしい姿が印象的。そしてラストはオープニングの第一次世界大戦の終戦の日の話と重なっていて、そこも心憎い展開です。 1980年代は、戦争映画と言えばベトナム戦争を扱った作品がほとんどだったと記憶します。その中で第二次世界大戦を舞台にしたのは、監督サミュエル・フラー自身の従軍時の体験談がもとになっているからのようです。


そうそう、マーク・ハミルですが本当にアメリカの好青年という感じなんですよね。この「最前線物語」には〝ザ・リコンストラクション〟という長尺版もあるらしく、そちらも気になりますねー。





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最前線物語、の詳細はこちら: 映画.com


この項、終わり。