攻撃(DVD) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

攻撃(DVD)


1956年作品/アメリカ/107分

監督 ロバート・アルドリッチ

出演 ジャック・パランス、リー・マービン


2021年5月21日(金)の夜、自宅にて鑑賞しました。


第2次大戦下のベルギー。米軍のある中隊では、無能な中隊長クーニー大尉のミスによって多くの兵士が戦死。その上官バートレット大佐は有力者でもあるクーニーの父のコネで出世を目論んでいたために責任を追求しようとしない。そんな中、小隊長コスタ中尉が不満を募らせていく。やがて中隊に新たな命令が下るが(以上、映画.comからの引用)、という物語です。


引き続き、第二次世界大戦を背景にした映画です。「史上最大の作戦」や「遠すぎた橋」のように、凄い製作費のもと圧倒的物量とオールスターキャストで戦争全体を俯瞰して見せる大作がある一方で、小さな戦いを丁寧に描くことで戦争全体の本質を捕まえようとした作品があるわけですが、これは後者に分類される力作です。学生の頃に、難波の南海通りの映画館でリバイバル上映で観たのですが、館名が思い出せないです。



《感想です》


ということで、30年以上ぶりでの鑑賞になりましたが、細部はほぼ記憶から消えていたものの、ラストは鮮明に覚えてました。1944年のベルギー、アーヘンを部隊にしたドラマ。アーヘンは「遠すぎた橋」でも出てきた地名ですが、「攻撃」の会話の中でも、もうすぐ戦争が終わるという話が出てくることを考えると、これは〝マーケット・ガーデン作戦〟のなかでのドイツ軍との激闘を描いた作品だったのかもしれないですね。


登場人物としては、たたき上げの小隊長で部下からの信頼も厚いコスタと、その小隊を管轄下に置く中隊長のクーニー、そしてさらにその上官のバートレット大佐の3人が中心になります。このクーニーが無能で臆病であったためにコスタの小隊が全滅に近い状態になるというオープニング。そこへ新たな命令が下るのですが、コスタはクーニーに〝今度、援軍を出さなければお前を殺す〟と凄みつつ、命令に従い出発するのでした。


このキャスティングが効いていて、部下にすると正義感が強く頼もしいコスタに悪人顔で凄みのあるジャック・パランス、昇進と身の安全だけを考え大佐に媚びる悪人のクーニーには善人顔で穏やかなエディ・アルバート(「ローマの休日」のカメラマンですね)という、逆のイメージを持ってきているんですよね。この本人のイメージとは逆をはるキャスティングはオリバー・ストーンの「プラトーン」なんかも同じですね。


果たして戦場に出たコスタはどうなるのか、クーニーはコスタの危機に際して援軍を送るのだろうか?というところが緊張感を持って描かれていきます。ドラマは一筋縄ではいかなくて、多くの戦死者を出したこの戦いにおいて、本当の悪党は誰なのか?というところに最後は突っ込んでいきます。ここにコスタを慕うハリーというまあ中立的な中尉がいて、ラストでこのハリーがリー・マービン演じるバートレット大佐と対峙する場面が待っています。


この場面が良かったですね。コスタの遺志がハリーに乗り移ったかのようでした。ネタバレになりますが、コスタとクーニーの死に顔の対比もインパクト大で、夢にまで出て来そうな死んでも死にきれないという苦痛に大きく歪んだ形相のコスタと、幼少期に父に虐待を受けたトラウマを抱えながら生きる苦しみからようやく解放されたクーニーの穏やかな顔。これも本来なら逆であるべきなのですが、なんとも皮肉なところでした。


さて、今回、初めて知ったのですが、これはもともと舞台劇だったのですね。確かに派手な戦闘シーンではなく、室内での会話を中心にした人間ドラマが見どころで、舞台的なところを感じさせます。未見の方は、ぜひご覧になってみてください。





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攻撃、の詳細はこちら: 映画.com


この項、終わり。