私をくいとめて(Amazon prime ) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

私をくいとめて(Amazon prime )

2020年作品/日本/133分
監督 大九明子
出演 のん、林遣都

2021年4月2日(金)の夜、自宅にて鑑賞しました。

何年も恋人がおらず、ひとりきりの暮らしにもすっかり慣れた31歳の黒田みつ子。そんな彼女が楽しく平和に生活できているのには、ある理由があった。彼女の脳内にはもう1人の自分である相談役「A」が存在し、人間関係や身の振り方に迷った際にはいつも正しい答えをくれるのだ。ある日、みつ子は取引先の若手営業マン・多田に恋心を抱く。かつてのように勇気を出せない自分に戸惑いながらも、一歩前へ踏み出すことを決意するみつ子だったが(以上、映画.comからの引用)、という物語です。

昨年末に公開された作品ですごく気になりながら観られずにいたところ、Amazon Primeで早くも配信されており〝これは!〟と思い鑑賞しました。久しぶりの〝のんさん〟の出演映画です。私は彼女を世に認知させたNHKの朝ドラ「あまちゃん」には縁がありませんでしたが、その後の「ホットロード(14)」「海月姫(14)」「この世界の片隅に(16)」という映画は観ております。そんな彼女の、本作は間違いなく代表作になりそうです。


《感想です》

綿谷りささんの原作小説を大九明子さんが脚色し映画化したということで、「勝手にふるえてろ」と同じコンビですね。設定もちょっと似ていました。ストレスフルな社会で対人コミュニケーションに問題を抱えて、メンタルがかなりきつくなっているアラサーの女性事務員のみつ子。。彼女が生き延びていくために妄想を描き、現実との区別がつかなくなっている様子を描いていて、そんなみつ子が恋に落ちて、というお話。

こう書くと、かなりハードな内容を想像しますが、これがコメディ仕立てなんですね。みつ子の頭のなかには〝A〟(AnswerのA)というもう一人の自分が住んでいて、これがなぜか男性の声なのですが、困ったときにはいつも彼からアドバイスをもらいながら彼女は生きているのです。時にAのアドバイスに感謝し、また時にAのアドバイスに納得が行かず辛く当たることも。このみつ子とAとのやり取りがおかしいのですよね。

ただし、みつ子はAと会話をしているつもりではあるものの、これは彼女の脳内が作り上げた声なので、他人からは彼女が独りで、喜んだり、怒ったり、哀しんだり、笑ったりしているように見えているというわけです。そのリアクションの大きさが、何かにつけてオーバーアクトになりがちなコメディエンヌ〝のん〟の持ち味に抜群にハマっていました。ただ、リアルワールドでこういう反応したらみんな引いてしまうでしょうね、笑。

まあ、みつ子のようなところまで行かなくても、何かをきっかけにして人間関係が煩わしくて嫌になることって普通にあると思います。そして、そんなことにエネルギーを使い、さいごに結局傷つけられてしまうくらいなら、独りでいる方がどんなに気が楽かと思うわけです。この映画は、そういう気持ちに追い詰められた女性が心の拠り所となるパートナーを見つけて、精神を安定させていくプロセスを面白く描いていきます。

みつ子の彼氏になる多田くん(林遣都)、会社にいる女性上司(片桐はいり)や先輩社員(臼田あさ美)、それに肉屋の店員など周りのキャラクターのマイペースぶりも良かったですね。でも、みつ子の親友・皐月(橋本愛)とのイタリアでのお話は私にはあまりピンと来ませんでした。なお、エンドクレジットで中村倫也の名前を見て、〝え?どこに出てたっけ〟と思った自分は大バカものでした、笑笑。そういうことでしたか!

みつ子がここまで追い込まれた理由が分からない(説明はありましたが)のですが、この映画のトーンとしてはそれで良かったんじゃないですかねー。で、何はともあれ、殊勲賞は大瀧詠一さんの〝君は天然色〟ということで!

トシのオススメ度: 4
5 必見です!!
4 お薦めです!
3 良かったです
2 アレレ? もう一つでした
1 私はお薦めしません

この項、終わり。