いちごの唄(iTunes Store) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

いちごの唄(iTunes Store)

2019年作品/日本/114分
監督 菅原伸太郎
出演 古舘祐太郎、石橋静河

12月28日(土)の夜、自宅にて鑑賞しました。

✳︎以下の〝あらすじ〟は読まないほうがいいです!

冷凍食品の製造工場で働く笹沢コウタの大親友・伸二は、2人が「天の川の女神」と崇拝していたあーちゃんを交通事故から守り、あーちゃんの身代わりとなって死んでいった。それから10年、コウタは偶然あーちゃんと再会する。伸二の「死」を背負いながら生きていたコウタとあーちゃんは、伸二の命日に1年に一度「逢うこと」を約束。毎年逢瀬を繰り返すコウタは、次第にあーちゃんに恋心を抱くようになる(以上、映画.comより抜粋)、という物語です。

2019年公開で見逃した作品を追いかけて観ようと、〝amazon prime video〟や〝iTunes Store〟のリストを眺めているのですが、こちらも参考にさせていただいているブロガーさんが取り上げておられたのを思い出し、さらに石橋静河さんが出演しているということで気になりまして選択しました。不思議な作品でしたよ。


《感想です》

たぶん、ものすごく好き嫌いが分かれてしまうのだろうなあ、と思える作品でした。ちょっとあり得ない話ですし、何より主人公の笹沢コウタの衝撃的なキャラクターに乗れるかどうかが大きなポイントかと。今年公開の石井裕也監督の「町田くんの世界」に通じるものがあって、私はすごくいい映画だなと感じました。

本作には先の読めない面白さがあります。冷凍食品の工場で働くコウタは、七夕の日に、偶然、中学時代に同級生だった天野千日(チカ)に出会います。久しぶりに会ったふたりはラーメンを食べ、環状7号線を歩きながら近況を語り合います。そして、一年後の同じに日にまた再会することを約束して、別れるのでした。

二人が次の七夕までの一年間をどのように過ごしていたのか、またコウタとチカの中学生時代に何があったのか。そういったことが映画を観ているうちに分かってくるようになっています。その過程を観客が見守ることを通じて、映画のなかの人物たちと心を通わせ、生きることについて肯定的になれるタイプのドラマです。

皆さんもご経験があると思いますが、ラーメン屋さんで割り箸を割るのに失敗することがありますよね。あまりに酷い時は、普通は新しいのをもう一本使うと思うのです。ところがチカは、〝自分の責任だから〟と言って、使い難い割り箸をそのまま使い続けるのです。何故か? その意味も、後で分かるのですよね。

人って通常は様々な悩みを抱えながら生きているのものですよね。だから、どこまでも純粋で真っ直ぐなコウタを見て、なぜ彼はそうなったかを考えることが大切だと思うのです。全体がファンタジーかつ微笑ましいコメディの要素を併せ持つ本作では、チカの性格とのバランスを考えると私は良かったと思いましたが。

古舘祐太郎さんと石橋静河さんという主演の二人に加え、コウタを見守っている温かい家族を演じた光石研さんと和久井映見さん。コウタのアパートの謎のパンク隣人に岸井ゆきのさんほか、ほんの一瞬しか登場しない方まで含めてキャストも豪華なんですよね。七夕に友人の黄色いTシャツを着るコウタを愛おしく感じることのできる2時間でした。

〝いちごの唄〟の意味が知りたい方は、ぜひレンタルしてみてください。

トシのオススメ度: 3
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2 アレレ? もう一つでした
1 私はお薦めしません


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