安倍政権の現在までの評価と今後の課題 | としえじの金融経済徒然草

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20年超に亘ってファンドマネージャーとして金融の第一線から日本と日本企業を客観的に見てきた私「としえじ」が日本の在り方や政治金融経済について徒然と書いています。

政権発足以降の安倍政権は前回の反省を活かしうまくやっていると思う。政権発足後も支持率が上昇するのは近年にない事態だ。そこで、安倍政権の現在までの評価点と今後の課題について簡単に述べてみる。

まず、安部政権に対する評価点は、景気回復への期待感を有権者に持たせた事と弱腰外交の修正の2点である。 衆議院の解散後ほぼ一貫して日本株は上昇し円高が急速に修正されたのは、市場がアベノミクスの実現性を意識したからである。また、衆院選で自民が圧勝したのは「有権者がアベノミクスや日銀法改正自体を評価した」のではなく、「アベノミクスによって景気が回復するかも」と有権者が期待した為である。長期のデフレに苦しられ景気停滞で自信を喪失していた国民に景気が良くなるかもと期待させた事は評価できる。

また、中国艦のレーザー照射における政府対応後も支持率が上昇したように、有権者は民主党政権下での領土問題に対する弱腰姿勢や事なかれ主義に怒りを覚えている。安部政権は現在までのところ中韓に対し毅然とした対応をしており、これは弱腰外交の是正として評価できる。

つまり、衆院選での自民圧勝やその後の支持率上昇から判ることは、有権者の関心は乱立した「にわか政党」の争点であった原発等エネルギー政策や消費税増税ではなく外交と景気回復にあったと考えられ、安倍政権はこの有権者の関心を今のところ失点無くこなしている点で評価できる。

次に安倍政権の課題を3点挙げる。 まず外交だが、近隣諸国の更なる挑発行為に迅速に対応し国民を失望させない為には憲法9条の改正が不可欠になってくるが、護憲・媚中韓の公明党と引き続き連立を組んだことが毅然とした外交の持続性に対する足かせ要因となりうる。

2点目の経済政策であるが、これまでの株価上昇と為替の円安修正は「新日銀総裁による大胆な金融緩和」によるデフレ脱却の期待感だけで起きた。しかし、現行日銀法では誰が総裁になっても今後の金融政策が限定的なので、日銀法及び財政法5条の速やかな改正が課題となる。これまで期待が大きかっただけに金融政策の自由度拡大にもたついた場合の失望が大きくなるリスクがある。更に、これ以上の国債格下げを避けるため財政政策も限定的とならざるを得ないので、如何に具体的かつ即効性のある成長戦略を打ち出せるかが安部政権の今後の課題となってくる。

現時点では3本の矢の要となる成長戦略がまだ明らかになっていないが、2010年に自民党成長戦略特命委員会がまとめた成長戦略である「フェニックス戦略」や「成長のための24の個別政策プラン」を見る限りでは、次世代エネルギー等の新分野や世界から人や企業を呼び込む為のインフラ作りに重点的に予算投入することになっている。その一方で、本年度予算では従来型公共事業の延長である国土強靭化も打ち出しているので、党内の既得権益受益者を納得させながら財政の制約の中でメリハリをつけて成長戦略の為の予算を重点的に配分して行く事が大きな課題となる。

3点目の課題は、現時点では安部政権は社会保障、教育福祉、エネルギー政策などについてほとんど手付かずとなっている(少なくともそう判断されている)点である。有権者の関心が外交や経済以外に向いた場合、一気に支持率が低下しし政権持が困難になる可能性があるため、これらの分野でも速やかな成果を挙げることが課題である。