ビジョンなきところに、事は成せません。ビジョンなきところに、人は育ちません。〜新年度予算反対討論 | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

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第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。

平成27年小金井市一般会計予算に、私は「反対」しましたが、その理由について説明いたします。以下、反対討論の原稿を掲載しますので、一読頂ければ幸いです。



↓討論の動画はコチラ↓ 
https://www.youtube.com/watch?v=Z-Q5Eu_KJXk
※1:06:25 経過したあたりから私の討論がはじまります

===【討論内容】====================

議案第6号平成27年度小金井市一般会計予算について、私、小金井をおもしろくする会・白井亨は、反対の立場から討論を行います。

まず、本当初予算には、当然ながら評価すべき、また、期待する予算が多々あります。可燃ごみ3市共同処理に要する経費、そして、兼ねてから私も求めてきたホームページ再構築委託料をはじめ、たくさんあげることができます。

今回、賛成するか否かギリギリまで悩んできたこともあり、反対するにあたって「修正案」や「組み換え動議」を準備できずに、ただ反対するだけになってしまっている点は、自らまだまだ未熟であるという反省材料と捉えております。申し訳ありません。

反対する理由として、新庁舎建設費用やその基金が計上されていない点、また市民参加及び協働推進の道すじが具体的に示されていない点などもありますが・・・

反対する大きな理由はただ一つです。予算審査を通して感じていることとして、「市長のビジョンが見えない」ということです。そういう状況の中で組まれた予算であるからです。「ビジョンがない」ことは議員になってこの2年間散々指摘してきたことですが、予算審査を通して改めて実感しました。要するに、持続可能な将来像を描き共有し、戦略的・計画的に行政運営を行うわけではなく、行き当たりばったりである、ということが随所に感じられるわけです。

特に、東センターのNPO法人への委託や、福祉会館に関するこれまでの経過には、それが顕著にあらわれているのではないでしょうか。

東センターは公民館運営審議会と図書館協議会からそれぞれ、慎重であるべきという協議や問題点の提起と条件提示のある答申を受け、当初予定していた4月から8月に委託の時期を伸ばし再設定したものですが、他の議員の指摘にもあったように、理事会が約10ヶ月間も開催されていない点や事務局長の相次ぐ退職など、そもそも請けられる体制にはない問題点が明らかになりました。また、「育成団体」の定義も曖昧で、どうなれば育成団体でなくなるかも答弁できない始末です。

大きな絵として、将来的に小金井市の公民館、また図書館のあるべき姿を描き、それをあらゆるステークホルダーにも共有し、それを実現する手段として、運営をこういう風に変えていくんだ!という説明がなぜできないのでしょうか。私は民間委託そのものを頭ごなしに否定はしません。ただ、自治体経営において、特に利用者が深く関係する事業の運営主体を変える際のプロセスはもっと丁寧であるべきでしょう。必要な手立てを踏まえず問題点を指摘されてもその答弁は「予算さえ通してくれれば、その後で何とかする」という精神論を繰り返すのは議会への説明になっていません。

これでは、27年4月に予定されていた保育所の民間委託が2年以上先延ばしになってしまったため、12月までの実績作りとして「じゃ、代わりに東センターでも委託するか」という思いつきだと市民に言われても仕方ない、と感じています。NPOは単なる安い委託先だと考えているのではないか?と疑われても仕方ないと思います。「市民協働」という言葉を都合のいいように捉えて使っている、としか考えられません。

市長、小金井市の公民館、図書館の将来像を、どう描いてますか?

新福祉会館の件はここでは触れません。議会では全く何も議論されていないまま、一つ目の質疑で保留となり『撤回』に至ったため、確かなことは何も分からないからです。それはまた別の場で議論したいと思います。

ただ、現状の福祉会館の件は放置できません。私はちょうど1年前の予算特別委員会で福祉会館の使用を即刻中止すべきだ、と指摘させて頂きました。その際はコチラ側もエビデンスを示せなかった訳ですが、今は耐震性能の問題は周知の通りです。

お隣の国分寺市は平成19年に本庁舎の耐震診断結果をうけて約半年で仮移転の実施計画を打ち出した事例なども紹介しましたが、小金井市の福祉会館はその国分寺市の本庁舎よりも耐震性能は低いのです。数字から考察するともっと危険な状態なのです。

福祉会館は結果的に耐震診断結果が出てから丸4年が経過しようとしていますが、新福祉会館建設設計予算が撤回になったことで、仮移転やその他の方策の検討に入るということもようやく示されました。しかし、この「意思決定のクオリティの差」は一体、何なのでしょうか。意思決定にあたって、先を見越して今何をすべきか、の判断ができていない。そういえるのではないでしょうか。

「ビジョンがない」という点に関していうと、保育行政に関しても当てはまります。

総務省「住民基本台帳人口移動報告2014」の状況をみると、「25~34歳の転入超過率」では、近隣7市と比較して最も悪い数字となっています。子育て世代が小金井市より近隣他市を選んでいるのではないか、という懸念が生じています。これは経年調査など、分析は色々と必要ですが、仮説としては、待機児童発生率が3年連続ワーストとなったこと、また、認可に入れない率もワーストであったため、小金井市を避けている子育て世代が多いのではないか?ということも可能性としては言える訳です。

私は議員になる前から、転入超過率トップ10に入る流山市の取り組みを知っていて、「子育て世代をいかに呼び込めるか」が「人口減少の波を小さくすること」と「まちの賑いの進化的継承」に繋がると見込んでました。私がこの2年間待機児童問題に取り組んできたのは、まずは、今預けることができなくて人生を大きく転換せざるをえない人をなくしたい、という想いが第一義ですが、併せて、共働き子育て世帯の流入を減らすわけにはいかない、という想いでした。

私は、これまでの稲葉市長の市政運営で、小金井市は大きなチャンスを逃したと思っています(まだ諦めませんけどね)。重たい腰をようやく上げて待機児童対策に乗り出しさすがに相当数の待機児童は減ると思われます。新年度でも子ども・子育て支援事業計画に沿って引き続き保育枠の確保に動くことになり、それは評価はしますが、以前から指摘している、小金井市保育行政にとって「不運な世代」にあたる今の待機児童の保護者に対して、緊急措置などを講じる予定がない、すなわち当然予算措置もないことを確認しています。先ほど子育て世代の転入超過率にも触れましたが、果たしてこれでいいのでしょうか。


そして、ビジョンが無いが故に、複雑な問題をより複雑化してしまっているのではないでしょうか。色んな面でそれが顕在化してきているのではないでしょうか。稲葉市長は「職員のモチベーションをあげるんだ」と言っておられました。同感、ごもっともです。ただ、それを場合によっては議会に責任があるという主旨のことも述べられたこともあります。確かに、それもあると思っています。間違いではありません。もっと効率的・効果的に議論する仕組みに変えること、また、必要以上に職員に負担を与えることがないよう議会としても抜本的・継続的に改革は必要だと心から認識しています。

しかしそれ以前に、ビジョンなきトップの「思いつき」「行き当たりばったり」に翻弄され、理屈よりも精神論での会話が繰り返されることで、職員のモチベーションを下げることに繋がっていると、認識されていますか?

私は、今の小金井市行政に必要なことは、「文化を変えること」だと思っています。これまで何十年と内向きに閉じて築き上げられてきた『見えない既成概念』が文化となって形成されてきていると感じています。ただ、職員研修の予算をみる限り、そういう想いは見受けられませんでした。

文化を変えるには、行動を変えなければなりません。行動を変えれば、習慣が変わります。習慣が変われば・・・と最後は「人生が変わる」と言われるわけですが、まず行動を変えるには、そういう環境に身をおかねばなりません。ゆえに、『もっと外部交流が必要だ』と思いそれを実現できる研修などを提案していますが、市側にはそういう人材育成の想いが強くないことがわかりました。昨年、人材育成の事例を視察したことも無意味だったかと思うと無念です。決して、井の中の蛙であってはなりません。

ビジョンなきところに、事は成せません。ビジョンなきところに、人は育ちません。
そのもととなる、あなたの志とは、何ですか?

最後に、「市民参加」の言葉はどこへいったのでしょうか?

以上、反対討論を終わります。

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↓この件の採決についてはコチラ↓
新年度予算が居眠りで危うく否決に?最後の最後まで気が抜けない小金井市議会~定例会最終日の出来事


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