復興や五輪がなくても「凍結」になっていた~心配な市政の統治能力 | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。

今日は9:00から全員協議会が開催されました。

関根議員の「根抵当権」についての一定の答弁はあったものの、当たり前のようにお金を支払う際には抹消する、ということがまだ明確に述べられず答弁保留となっています。

そして、今日は私も主質問をしました。数多くの質問を投げかけ、少しとっちらかった感もありますが、以下、質疑で明らかになったことを整理します。


▼新庁舎建設「凍結」について

Q.
「財源確保が困難」とあるが、どこにもその根拠が示されていない。財源確保が困難な根拠をどうシミュレートして判断したのか。財政計画か見通しなど何も具体的示されずに市民に説明できない。財政シミュレーションを基に、示して欲しい。


→具体的な財政シミュレーションはなく、示せない(あくまで扶助費が増えているとか、市税が減収して、などの大枠の現象は述べられたが)。


Q.元々基本計画で示していた一般財源9億円の目処は立っていたのか?

→明確には言わないが、結局目処が立っていないという主旨の答弁


Q.まず、「凍結」の事実をしっかり市民を周知すべきではないか?
 (第2庁舎購入の件で「説明を」という話があるが、そもそもスケジュールを反故にするこの「凍結」について説明しなければならない)

→今後説明会については検討していく。それに先立ち、HPで告知している。とりあえずの説明と変えさせていただく。

残念なことにほぼゼロ回答に近い感じでした。財源確保は、元の事業費のうちの一般財源支出9億円がそもそも確保の見通しが立っていなかったことが確認できました。資材費高騰・労務単価上昇を中心に述べておられた「凍結」の理由も、実際はそういう社会背景がなくても、「凍結」になることになっていた、と言わざるを得ません。


▼第2庁舎取得の合理性について


15年間、第2庁舎を「借り続ける」か「買う」かの比較をした表を基に質疑をしました。ここで比較すると「買う」ほうが約18億円の財政効果があり、これを全て「新庁舎建設基金に積む」とされて15年以降の新庁舎建設に向けて現実的な計画を新たに構築した、と市は説明しています。

ただし、ここのコスト比較には加味されていない“本来必要と考えられる項目”があり、それらを抜きにして「財政効果約18億円=買うほうがお得」という説明は成り立たないと考えています。

<コスト比較に加味されていない項目>
賃料の減額:「借り続ける」場合の賃料が15年間同一賃料と設定されている
固定資産税+都市計画税:今は土地建物所有者の第2庁舎が市が購入すると、その分のこれら税収が減額します
本庁舎耐震工事費:1.3億円と試算されてあるものの、コスト比較表には反映されてません
西庁舎耐震工事費:本庁舎より古い西庁舎の耐震工事などが加味されていない

A=過去20年間では大体5年ごとに賃料が減額されています(平均約7%)。仮に5%と設定すると、15年間で<1億2800万円>
B=H26年財産評価基準書をもとに計算(してもらいました)→年額約2,800万円とすると、15年間で<4億2,000万円>
C=市の試算によると、<1億3,000万円>
D=本庁舎の5分の1程度の規模の建築物なので、ざっくりと<3,000万円>

これで約7億円となり、「財政効果額」は18億円-7億円で11億円となります。

<15年後の後年負担を試算>
第2庁舎を取得し15年後に新庁舎を建設すると想定すると、第2庁舎の修繕費としての概算は→年間約1,500万円(表9の修繕費平均額)となります。これに24年決算の「庁舎維持管理に要する経費」年間1億3,500万円を足すと→年間1億5,000万円が維持管理費用として残ります。これを経年劣化含めて約2億円必要になるとします。
ということは、第2庁舎を購入し、15年後に新庁舎を取得した場合、さらにそののち5年経過すればいわゆる「財政効果」は消えてなくなり、負担のみ増えていくことになるのです。

こういった15年後も視野に入れた長期的視野で施設運営・維持管理の負担について、市は特に想定にないという主旨の答弁でした。



ちなみに、この後別の複数の議員が「C:本庁舎耐震工事費」の件について、今の本庁舎の建物構造から考えると、恐らく通常業務をしながら並行して工事は「困難」だろう、と指摘が入りました。いわゆる、工事期間はどこか別の場所へ一時的に移動して、工事を進めざるを得ないのではないか、ということです。そうすると、単に耐震化工事のコストのみならず、それに付随してプレハブ仮設庁舎やどこかを一時的に借りるなどの措置が必要となります。
これらの耐震化工事費の根拠やそれに付随しての移動を伴う一時的なオフィスを設けるコストを含め、試算を示すように、というところで長く議事が休憩に入りストップしました。

結局、3時間近く経過して「調整して出せる資料は出したい」と市が答弁し、その段階(19時過ぎ)で本日の全員協議会は幕を閉じました。



▼公共施設全体の再配置の「絵」について


私は個人的にこだわっていることは、どこの計画にも書いていない第2庁舎を購入するということは、床が約6,000㎡も増えることになります。既に市は公共施設マネジメントについて「方針」を示しており、そこの基本原則には「総量の抑制」と書かれてあります。

これらから考えると、第2庁舎を取得するということは、市全体の公共施設の再配置に関わる問題から切り離せない、ということです。なぜなら、公共施設は小金井市も例外ではなく高度経済成長期に建てたハコモノが多く存在し、平成23年時点で「築30年以上の施設」は65.6%を占めていました。すでに「小金井市施設白書」策定から2年半が経過しようとしていますが、今なら「築30年以上の施設」は70%あたりまで増えているのではないか、と思います。

再配置計画は待ったなし、という段階まで迫っており、15年後以降まで待っているわけにはいきません。

私ははじめにこの話を聴いたとき憤慨しましたが、ほぼ同時に「新庁舎も建設し、併せて第2庁舎も買ってそれを拠点に公共施設の再編を進めるのか」と思いました。それが合理的な内容ならこんなベストな選択肢はない、とも思ったくらいです。

ただ、残念ながらあくまで「平成28年度までに再編計画をつくるように」という総務省のお達しに触れるだけの答弁に終始し、今回の第2庁舎の取得は一連の公共施設再配置計画とは一線を置いた独立した扱いともとれます。全体の中で組み立てられた案ではなく、購入ありきで後付で理由を肉付けしている、という印象を受けたとも述べてきます。



他にも色々と質疑をしたり提案をしたりしましたが、今回調査と一連の質疑を通して感じていることは、3つです。


①選択肢の提示が本来は必要ではないか
 →第2庁舎購入は保留して、もう少し現実的な選択肢を幾つかつくり、調査予算もかけて本当の意味での「あらゆる方策」を市民も議会も含めて一緒に考えていくことが必要ではないか。

②言いたくはないが、とても重要な案件なのに、杜撰すぎる穴だらけのプランである
 →気持ちとして理解できるのは、予算を使って調査をかけたり業者に提案してもらったりができない点。いわば、市職員の力量だけでえいやっと作成したプランであるということ。そこには限界があることが明らか。

③長期的視野で後年負担、そして公共施設全体との位置づけも想定に入れていない
 →本来、行政とは計画を粛々と執行することが求められるはず。ただし、そもそも長期的視野で物事を捉えていない時点で、小金井市の統治は破綻している、と言われてもおかしくない。


確かに、目の前のキャッシュフローの面ではメリットはあることは確かであるが…。


今日の続きは24日(水)の本会議終了後となります。午後はまわるでしょう。この結論、本当に26日につけるのか…。



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