【行政視察】(後編)石巻市:大震災の経験と被害と復興、そしてこれからの「協働」のまちづくり | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。


2日目は石巻市へ。北上市を視察後在来線を乗り継いで2時間半くらいかけて石巻市へ入りました。



石巻市は日本が誇る漫画家の石ノ森章太郎氏の生誕地だとか。至る所に彼の作品を目にすることができます。



庁舎前にも仮面ライダーV3が。ちなみにこの庁舎は震災後にデパートを庁舎にしたのかと思ったら、実は震災前にデパート撤退の際に譲り受けたと聴きました。リフォームしても自前建設よりも大分安くついたようです。



以前、氷見市が高校の体育館を流用した新庁舎が話題になり、直接市長のお話も聴いたところですが、全国にはまだ色んな事例があるようです。小金井市は純粋に新庁舎だけを建てるとの一点張りでこの財政事情が厳しい折、今後建替えなどが予定されている施設との複合化を模索すべきだと思いますが、工夫と知恵が足りないのでしょうか。この石巻市には震災や復興だけではなく、新庁舎を行政視察しにくる自治体も多いようです。



1Fにあったコミュニティカフェ、気になってたのですが寄れませんでした…。


視察とは関係ありませんが、あまりにも不吉な番号が並んでいたのでパチリ・・。



視察は2日目の午前中、そしてお昼を挟んで午後からバスで1時間程度市内の被災状況を見せていただくことに。

早朝、7時に朝食を済ませ集合時間まで少し時間があったので、1時間半程度市内を散策してきました。






上記の家は、広々とした荒野にポツンと立っており、近寄るまでは普通に住居として使われているものだと思っていましたが、中は廃墟でした(誠に失礼ながら勝手に窓から写真を撮らせて頂きました)。



下の写真の家も、遠くからだと気付きませんでしたが、戸や窓には目張りが打ちつけられており、人が住んでいないことが判りました。こういう住居はまだ数多くありました。





復興住宅も遅れているようです。予定よりも遅れている原因としては、資材費等の高騰により入札が不調に終わる事も何度もあったと聴いています。元々沿岸部にあった市民病院の移転も、実質予定価格の1.4倍程度の価格に跳ね上がっている例もあるとのことです。資材費高騰・人件費高騰は震災の復興に大きな影響を与えている現実があります。


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【視察報告書】 石巻市

石巻市では、行政説明の冒頭の幾つもの震災当日の映像、そして現場視察を含めとても貴重な体験をさせていただいた。震度6強の地震、そして想定をはるかに超えた津波により、死者約4,000人、全壊・半壊・一部損壊を合算すると市内全家屋の70%を超える被害、と甚大な被害に遭った石巻市。死者の95%は溺死であり、約65%が65歳以上の高齢者であったという。確かに津波は小金井市にはやってこないが、何より、甚大な被害に遭った現場を見聞きすることで、そもそも命を守る防災、災害時対策の大切さを改めて思い知らされた。

▼災害時に遮断されない情報インフラの整備

死者の割合で高齢者が多いことは想定できることだが、小金井市でも一人で避難できない高齢者や要援護者への災害時の即時支援が大きな課題といえる。その為にも、まずは情報インフラの確保が重要であり、情報収集体制と地域との連絡経路が確保できるかもう一度再検討が必要である。

先の北上市でもこの石巻市でも、大規模自然災害発生時に共通していえたことはこの情報インフラの遮断による、情報収集と住民への情報伝達ができなかったことが対応を遅らせた要因だと述べられている。様々な属性の住民がいる中、多様な手段メニューを網羅し、避難所との連絡や住民への情報伝達のインフラ構築を漏れなく設計し時間をかけてでも構築することが求められる(石巻市では「災害情報伝達手段の多層化」という言葉を用いられていた)。

石巻市では総務省推奨のオープンソース化された情報ツールであるORENGEを構築したり衛生携帯電話、コミュニティFMなどの活用が挙げられていたが、検討が必要であると考える。ただし、すべてあればいい、というわけではなく限られた予算の中で一般通信網が遮断された際に、多層化しやすいメディアを優先順位をつけて選定し検討すべきである。


▼避難所を民間にも協力してもらう仕組み

石巻市では上記に述べたように家屋被害も多かった為に避難所のパイも課題として挙げられている。それをクリアする手法として民間の建物で一定の条件をクリアすれば最大1,000万円までの補助を出して避難場所として指定する仕組みをとっている。現在までで7施設がそれに指定されたと聴いた。

小金井市には企業は少ないが、避難所が各居住地域からの距離を勘案し、既に私立中高や大学敷地等を指定しているものの、もう少し幅広く自前ではない施設の利用を検討することも視野にいれてはどうか。また、広域での避難所相互利用については、接地する近隣市全てと協定を結ぶことはできないか。


今後の石巻は協働のまちづくりを掲げている。いわゆる地方都市である石巻市であっても地域コミュニティは課題になっている現状からすると、自治会・町会加入率が50%を切る小金井市でも本格的にこういうスタンスに舵を切ってはどうか。共助をより現実的なものにするためにも、これからの行政のあり方としては、協働をファシリテートする機能が重要となると思う。

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市役所での視察説明と質疑後、昼食を挟んで少し市内を案内してもらいました。









津波の被害があった地区を眺めてみると、言葉が出ない、というのが本音です。

視察説明の前に津波の映像の数々を見せてもらいましたが、圧倒的な自然の力の前に為す術もない、という状態でした。

ただ、事前の取組によって助かる命と助からない命の分かれ目ができる、ということも今回の視察を通して改めて感じさせられたことです。

大きな被害を受けた自治体の経験を聴き、それを踏まえて今後何をやるべきか、という点を詳しく聴けたことは大いに感謝いたします。そして、小金井市に当てはめて何をすべきか考えていきたいと思います。

ありがとうございました。


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