【行政視察】(前編)北上市:震災経験からの今後の防災への取組について | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。

7月28日―29日の日程で総務企画委員会としての行政視察へ赴きました。

小金井市議会では、委員会ごとに毎年視察を行うことが通例となっており、その予算も措置されています。昨年は例外的に1泊2日で2か所、日帰りで2か所、と行かせて頂きましたが、あくまでそれは「例外」なようです。必要であれば行き先を増やす柔軟性も欲しい所です。行政視察はとても為になりますが、何の為に、何を視察するのか、を明確にしないと行っても徒労に終わる事もあるようです。行政視察についての提案は以下にまとめてあります。

※議会改革提案~行政視察のあり方について
http://www.slideshare.net/shirai106/slide-share-20140129

今回は、東北地方の2か所へ行くことになりました。岩手県・北上市と、宮城県石巻市です。いずれも東日本大震災で被害を受け防災と復興に関して小金井市がまだ経験したことのない事態を経験された自治体の「経験」とそれを受けての「今後の防災への取組」を視察することが目的です。最終的にはそのエッセンスを小金井市にも活かすことが求められます。
ちなみに、北上市については小金井市と桜を通じた90年を超える交流があり、既に災害時相互応援協定も結んでいる自治体です。それゆえ、少し桜行政についてもご説明がありました。





=================================

【視察報告書】
北上市 <東日本大震災での被害状況と現状について> 




北上市は内陸部に位置し、今回の東日本大震災で特徴的であり印象的な津波被害とは縁がないが、それゆえ同様に内陸の多摩地域である小金井市としても大規模自然災害時の内陸部の自治体での経験を小金井市にどう活かせるか、という視点で視察に伺った。

▼大災害を経験しての災害時対応の3つの課題



①災害対策本部が機能しなかった点:
机上での計画では部長職者を中心に組織する本部員会議との連携を考えていたものの、結局は実行部隊である対策本部が本部員会議からの指示まち(受け身)になってしまい、充分機能しなかった。

②避難所の運営のあり方:
震災時にどこの避難所があいているか、という点が住民にとって分かり辛かったようだ。後で述べる通信インフラ遮断状態だったとはいえ、避難所運営について住民がどこへ行けばいいのか即座に判断できる仕組みになっていなかった。

③通信インフラの確保:
通常考えられるインフラが全て遮断され、消防の無線を駆使して連絡を取り合ったようだが、情報発信と収集の手段がなかったことで混乱し初動に影響した。また、タイムリーな情報発信ができず、住民に必要な情報が伝達できなかったことは住民が避難生活を送り続ける上でも支障があった。

上記3点が実際に震災を経験して改善すべき課題として挙げられていたが、これらはいずれも小金井市でも起こりうる課題であり、小金井市の防災計画の改訂と今後の運用にも参考になる経験である。

▼市民の声をもとに地域防災計画を改定

北上市では経験からの考察で地域防災計画を改定したが、そのプロセスとしては、全自主防災組織を集めての意見交換、アンケートの実施、そして避難所である全16地区交流センターの指定管理者、町内会へのアンケートを経て課題発見とその解決策を設計した(最終的にはパブリックコメントを実施)。

住民を巻き込んでの取組により、住民が自分ゴトと捉えて今後の地域防災を考えるきっかけにもなったのではないか。4月に行財政改革調査特別委員会で視察した牧之原市で事例紹介された地区防災計画の住民による検討・策定とは少し趣が異なるが、自助・共助を求める上では、計画策定にもできる限りの住民の参加が期待される。

▼小金井市の実情と比較して

小金井市の災害時の大きな課題は勤務時間外の初動体制であるといえる。

市内に居住する職員は約3割であり、遠方に居住する職員も2割程度存在すると聴く。大部分は近隣自治体に居住するゆえに、数時間あれば参集できると想定するものの、実際に大規模自然災害が発生した場合に、その時には自身の家族の安否確認や安全の確保ができないと家族を置いて小金井市へ参集に向かうことは安易ではない。女性職員の割合も少なくない。また「共助」はどこでも共通の認識であるがゆえ、職員が居住する地域で一定程度活動をせざるを得なくなる。結果的になかなか参集に向かえないことも想定すべきではないか。

北上市では緊急初動体制の強化としてあくまで近隣居住職員による災害初動体制に変更し、現実的に迅速な初動対応が可能な体制を考えている。小金井市の場合はそのままトレースはできないものの、現状の職員の居住実態を踏まえた上での初動体制を想定しておかねば、実質機能不全となる恐れがあるのではないかと思う。

北上市の担当職員の説明はとても分かりやすく、何を経験し、何が課題で、どう改善したのか、が明確に伝わってきた。視察のテーマとは異なるが、プレゼンテーションと質問に対する回答の分かりやすさは、住民への説明などのコミュニケーションでも「伝わりやすい」効果があるのではなないかと考える。こういう点は職員のベーススキルとして身に付けておくべきだと思う。


<桜行政について>

北上市が桜行政にどれほど想いと力を入れてきたかは、東北3本指に入る桜観光の名所になっていることから安易にわかる。市立公園であることでの違いが実は大きいとは思うが、小金井市としての桜行政はどうか。北上市では市が主導し、実行を観光コンベンション協会がおこなっていると聴いたが、小金井市の場合は市の役割と観光協会、黄金井の里の役割が明確ではないと感じる。

市が観光行政をどこまでイニシアティブとっているのか、改めてこの3者の機能と役割を整理した上で再定義が必要なのだろう。今ちょうど中間支援組織の設立についての検討を審議会形式でやっているが、まさにこのテーマについて関連しているといえる。引き続きこの経過に注目したい。

===============================




【ご意見・お問い合わせなどなど】
■Twitter= https://twitter.com/shirai106
■mail= kogaomo@gmail.com
■白井とおるホットライン= 080-7006-8964
■こがおもWebサイト= http://kogaomo.com/
■facebook= http://www.facebook.com/shirai106
※facebookの「友達申請」はリアルにお会いした方を対象としております。ご了承ください。