武蔵小金井駅南口第2地区再開発事業の都市計画案に対する会派の意見<提出> | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。


7月31日(木)は全員協議会が開催されました。武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業に係る都市計画案が議題でした。過去4月と5月の全員協議会に引き続き、様々な議員から厳しい指摘が入っておりましたが、市長はあくまで「スケジュール通りに進める」と一点張りの姿勢です。

発言・指摘した議員の要点は大体以下に集約できそうです。

<各議員から出た指摘など>
・人件費や資材費が高騰する中、結局事業費と市が支出する補助額はいくらになるのか
・財政の見通し、及び他の事業への影響や市民生活への影響は
・補助支出そのものが妥当な判断なのか
・近隣住民とのコミュニケーションや情報発信が不十分である
・市全体を巻き込んでまちづくりの機運を高め、地権者のみならず意向を汲み取るべき
・周辺商業施設や商店街などへの影響と連携は
・駅周辺全体のエリアマネジメントを度外視すれば個別の乱開発になる
・デベロッパー任せでどこにでもあるチェーン店ばかりの商業施設では魅力がない
・なぜ、頑なにこのスケジュールにこだわるのか

本来なら、こういう論点を明確にして、市民に示し意向を汲み取っていく、というプロセスが大切なのではないでしょうか。確かに地権者発意の住民主導のまちづくりは尊重すべきだしそれに反対はしません。ただ、市が補助金を出すことで市が関わることになります。特に駅周辺の広大な敷地であるわけですから、市が想いを持って地権者と近隣を含めた住民全体の緩衝剤の役割を担わないといけないと思うのです。



全員協議会でも私も質問・指摘・意見を言わせて頂きましたが、会派としてのこの件に関する意見集約を行い残す、と議長の取り計らいがあったので、早速意見をまとめて提出いたしました。以下、その全文です。


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武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業に係る都市計画案に対する会派の意見
小金井をおもしろくする会 白井亨


<市のまちづくりに関する取り組み姿勢について>

武蔵小金井駅周辺全体をエリアマネジメントできていないことが問題である。武蔵小金井駅周辺には既に完了した第1地区の再開発エリア、来春から開業予定の商業施設nonowa武蔵小金井、さらに今後北口の再開発がささやかれている。そしてそもそも駅周辺エリアに6つの商店会が存在している。これらを駅周辺の一体のエリアとして、どこにどのような役割・機能を担当させていくか、という全体調整機能が働いていない。これでは各自が個別の大型乱開発になってしまう。もしくは、同じような施設が点在しているという、魅力的ではない武蔵小金井駅周辺のまちづくりとなってしまう。これらを調整させる役割は市にあり、互いの利害調整を含めて実施すべきではないのか。

都市計画マスタープランでは、第2地区の位置づけとして「武蔵小金井駅周辺は総合拠点」「小金井の顔」「中心市街地活性化の核」「シビックセンターの機能強化」「業務・研究・教育施設のネットワークの核」「少子高齢社会に対応するさまざまな機能導入」と書いてある。先ほどのエリアマネジメントの視点でいうと、この第2地区にこれらのどの機能を重点的に持たせるか、という機能の具体的設計が必要なはずであるが、そういう考えと取組がないことが小金井の「顔」である武蔵小金井駅周辺のまちづくりの大きな問題である。

<近隣住民とのコミュニケーションの不足について>

近隣住民、とりわけ隣接するマンション2棟が大きく生活環境に影響を受けることになる。4月25日の都市計画原案説明会前に一度各住民への説明会を実施したと聴いたが、5月2日までの全員協議会でも複数の議員からも指摘があったように、不満が募る対応だったと聴いている。特にコスモフォーラムの住民側からは陳情書が提出され、組合側の対応に不満が蓄積し、協議の場すら設けてもらえないことへの憤りへとなっているのが現実である。にも関わらず、昨日7月31日の全員協議会で判ったことは、それ以降再び協議どころか説明をする機会すら設けていないことが明らかになった。どこまで不誠実な対応をするつもりか。完全な民間開発であれば、民民の紛争となるが、今回は市は補助金を支出する予定の事業であり、市民生活に大きな影響が想定される中その誠実な対応を組合側へ厳しく指導しないのは市の怠慢でしかない。揉めるようであれば補助金を支出しないくらいの条件を提示し、誠実な対応を求める。


<都市計画マスタープラン、市民参加条例との整合性について>

市民参加条例の第4条には、「…市民にわかりやすい方法で十分に説明する義務を負う」とある。今回の再開発事業は確かに組合施行であるがゆえ「市の事業ではない」という答弁もあった。ただ、補助金を出すならそれは立派な補助金を出すという市の事業であるはず。このまま市民意向を汲み取る取り組みをしないまま、都市計画決定を8月に執行することは、上記条文の主旨からそれていることになる。

都市計画マスタープランP.46には「武蔵小金井駅南口第2地区の再開発の着実な事業化と武蔵小金井駅北口のまちづくりについては、権利者や市民の意向を踏まえて検討します」とあるが、権利者以外の意向はどこに踏まえているのか疑問である。

また、同P.65には「市民や各種市民団体、事業者など(以下「市民等」とする。)の理解と協力に加えて、まちを良くしていこうという市民の自主的な活動と、これに対する市の支援や努力など、市民等と市の協働(コラボレーション)によるまちづくりです。」「市民主体のまちづくりを進める上で、市民等と市は相互に課題の提起を行い…」とあるが、ここで示されているのは、事業者(権利者)のみならずそれ以外の市民も対等な参加者としての協働という考え方のはずである。これに反しているのではないか。

さらに、P.66では「…その成果を市全域に、かつ多くの人々に周知することで、市全体のまちづくりの機運を高めていくことが重要です。このため、まちづくりの成果を広く市民にPRするとともに…」とある。残念ながら一度市報に掲載されたのみで、当該地区以外では周知活動されている気配はないし、気運も高まっているとは考えにくい。


<公共性について>

市長は事あるごとに「公共性は高い事業である」旨を答弁されてきたが、そうであるならばなおさら広く市民の意向を聴かないと理屈が合わない。「公共性」という言葉の意味は、一般的に「広く社会一般の利害にかかわる性質。またその度合い」という風に訳されるはずである。利害が広く社会一般にわたるのであれば、すなわちそれは広く市民に、という捉え方で相違ないだろう。市長は自ら広く市民に利害が及ぶ事業である、と述べていることになる。補助金を支出する理由づけで公共性の高さを言われていると思うのだが、補助金を支出するということは市民が関わる機会が必要であるということ。特に現在の試算で15億円という高額な補助をするにも関わらず、市民をないがしろにして進めることは許されない。


<財源の見通しと事業の優先順位について>

経常収支比率が平成24年度は99.0%と多摩26市でワーストであり、今後新庁舎やごみ処理施設、福祉会館、待機児童問題、公共施設の更新、など大きな事業が目白押しである。こんな状況下においても、市は財源の見通しを示さずに今回の補助を進めようとしている。これに対して様々な議員からも懸念が示されているが、市長は7月31日の全員協議会で過去の第1地区の開発について議会から「財政破たんするのではないか」と言われたことを引き合いに出して「今財政破たんしていない。市民生活に特に支障が出ていない」旨の発言があった。とんでもないことを述べられた。待機児童数が過去最高を更新し多摩26市でワーストの発生率を更新し、異議申し立てが60数件提出されている事実をどう受け止めているのか。ひとえに、保育枠の拡充とりわけ認可保育枠を増やしてこなかったことが現状の問題を引き起こしていることからすると、そこに予算をつけてこなかったからである。何を優先すべきかの判断もつかずに、将来見通しも提示せずに大きな事業を進めるというのは、もはや経営ではない。

<最後に>

上記に色々とあるべき姿を述べてきたが、ひとえに、近隣住民との協議の場をもち誠実に対応していただきたい。また、市民全体に周知し関わるきっかけが必要である。そして、財源の見通しを示し、投資に対する将来の回収見込みもできうる限り明確にすべきである。第2地区を開発することには反対しないが、そのプロセスに納得感がない。いつまで経ってもこんな旧来型の一方的な権威主義的民主主義をやっているから市政が進化しない。誰のための市政か。もう一度考えて欲しい。まずは、私は関わっていないものの、住民投票条例の直接請求の署名がおこなわれている。都市計画決定はこの結果を待ってからおこなうのが妥当だと思われる。

以上



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