シューベルト:歌曲集 ボニー/パーソンズ (1994) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】
作曲:シューベルト

曲名:アヴェ・マリア(エレンの歌第3番)D839 (6:17)
   ガニュメート D544 (4:16)
   ミニョンの歌(ごぞんじですか、レモンの花咲く国)D321 (4:25)
   ミニョンの歌(語らずともよい、黙っているがよい)D877-2 (3:54)
   ミニョンの歌(もうしばらくこのままの姿に)D877-3 (3:24)
   ミニョンの歌(ただ憧れを知るひとだけが)D877-4 (3:23)
   変貌自在な恋する男 D558 (1:58)
   野ばら D257 (1:51)

   恋人のそばに D162 (3:40)

   ます D550 (2:17)

   水の上で歌う D774 (3:39)
   夕映えのなかで D799 (4:01)
   聴け聴け、ひばり(セレナード)D889 (4:18)
   きみは憩い D776 (4:23)
   糸を紡ぐグレートヒェン D118 (4:11)
   グレートヒェンの祈り D564 (4:06)
   岩の上の羊飼い D965* (11:36)

演奏:ボニー(s)、パーソンズ(p)、カム(cl)*
録音:1994年4月 ベルリン TELDEC Studio

CD:WPCS-21241(レーベル:TELDEC、販売:ワーナーミュージック・ジャパン)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

すべてがシューベルトの歌曲集というCDは初登場です(笑)。いままで、いくつかの曲は登場していました。何と言っても歌曲王シューベルトですので、美しい曲ばかり。ドイツリートを確立したというシューベルトの作品群ですが、このCDにもある、「糸を紡ぐグレートヒェン」の作曲された1814年10月19日は、ドイツ・リート誕生の日とも言われているとのこと。また、最後の「岩の上の羊飼い」は1828年10月作曲で、それは死の一か月前のことでした。白鳥の歌の「鳩の便り」とともに、シューベルトの最後の作品ではないかと言われており、伴奏にクラリネットを含む曲になっています。選りすぐりの歌曲集という感じです。

 

【演奏について】

バーバラ・ボニーの歌うシューベルトです。最初は、アヴェ・マリアで始まります。ちなみにですが、このアヴェ・マリアという曲は、宗教曲ではないのですね。歌詞の内容に、苦境においての聖母マリアへの祈りが多く含まれるということでした。さて、冒頭からボニーの透明感のある美しく、また明晰な声でアヴェ・マリアが歌われます。惚れ惚れする声で、一気にシューベルトのリートの世界に持っていかれます。素晴らしい構成です。

 

このCDに含まれるリートで、このブログを書き始めてから聴いたのは、その「アヴェ・マリア」や「ます」などですが、さすがに有名曲のCDですので、あまりリートを聴かない私でも、大部分の曲を聴いたことがありました。その中でも、最近も聴いていい曲だなと思っていた「水の上で歌う」。バーバラ・ボニーさんの輝かしい歌声で聴いて、ますます好きになりました。ということで、YouTubeから2つ貼り付けておきたいと思います。

 

アメリングさんの歌唱。透明感のある声はボニーに似た感じもしますね。

リストによるトランスクリプションをユジャ・ワンが演奏しています。

 

このCDで、もう一曲とても気に入ったのは、最後の「岩の上の羊飼い」です。10分超と、もはやリートの枠を超える曲ではありますが、シューベルトがその生の最後に書いた曲の一つ。そんな辞世の曲は、静かなピアノを、憂いのあるクラリネットがサポートしながら伴奏が展開します。ソプラノとクラリネットとピアノが競演する10分間。シューベルトの最晩年の音楽に、じっくりと耳を澄ませました。

 

バーバラ・ボニー、アンドレ・ワッツ、デイヴィッド・シフリンというオールスターの競演で演奏されたライヴの映像です。

 

【録音について】

バーバラ・ボニーの美しい声がよく捉えられていると思います。

 

【まとめ】

シューベルトのリートの世界を一望する素晴らしいCDでした。感動的な演奏だったと思います。こういった名曲集を聴くと、同じ曲を何度も聴くことにはなりますが、名曲は何度も聴いて、でも含まれている曲が微妙に特徴があったりする、というのも楽しみだと思います。

そして、これを機に、貼り付けた動画のような、スターたちの饗宴を聴くことができたのも楽しかったと思いました。さすが歌曲王です。

 

購入:2023/07/29、鑑賞:2024/02/21

 

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