チャイコフスキー/ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 グリンゴルツ (vn) (2001) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

①作曲:チャイコフスキー

 曲名:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op35 (34:59)

②作曲:ショスタコーヴィチ

 曲名:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op77 (37:28)

演奏:グリンゴルツ(vn)、パールマン指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2001年12月、テルアビブ Frederic R. Mann Auditorium

CD:471 616-2(レーベル:DG)

 

【曲について】

三大ヴァイオリン協奏曲とは、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスということらしいのですが、チャイコフスキーのこの曲を加えて「四大ヴァイオリン協奏曲」ということもあるとのことです。いずれにしても、演奏され続けて名曲でもあり、親しみ易いどうしで、メンデルスゾーンと組み合わせたLPやCDとして発売されることも多く、それは「メンチャイ」と呼ばれていたりもします。

 

【演奏について】

グリンゴルツ。聴くのは初めてです。パールマンの指揮も初めて…。事前情報は?と、仕入れたところによると、グリンゴルツはパールマンの指導を受けたようですね。ということは、師弟関係の競演でもあります。チャイコフスキーとショスタコーヴィチという、かつてソ連の巨匠たちがよく演奏した2曲。レニングラード出身のグリンゴルツがどういう演奏を見せてくれるのでしょうか。

 

チャイコフスキーの協奏曲です。パールマンの前奏は、ちょっと緩い感じで始まります。そこに入ってくるグリンゴルツのヴァイオリンは、どうもかつてのソ連の巨匠たちと比べると、随分趣が違いますね。繊細な音ですが、きつい音にはならず、旋律を優美に歌っていきます。緩急のニュアンス付けを各所で行い、美しく歌う事を主に演奏しているようです。今までの巨匠たちの演奏とは違って、これも新時代の演奏ということでしょうか。頭にあるこの曲とは、かなり雰囲気が違って聴こえます。パールマンの指揮はこの演奏の表情にうまく合わせている感じです。オーケストラ主導で盛り上げるという形にはならず、あくまでグリンゴルツのヴァイオリンが主に音楽を作っているように感じます。

 

もう一曲はショスタコーヴィチの第1番。グリンゴルツとパールマンの演奏は、この曲によく馴染んでいると思いました。ヴァイオリンの旋律は、明快に美しくこの曲を表現していきます。オーケストラも集中力を増した感じがしました。グリンゴルツはパガニーニ・コンクールの覇者でもあり、技術的には確かなもの。その裏付けのあるこの演奏はこの曲の性格を、純音楽的にストレートに表現していると言えるのではないかと思いました。

 

【録音について】

2001年の録音で、適度な残響もあり、問題ありません。

 

【まとめ】

グリンゴルツは、現代曲も多く演奏しており、また室内楽についても、自らカルテットを編成して、精力的に活動しているようです。1982年生まれなので、このCDの頃には20歳だったのですね。いろいろなことに取り組まれており、これからも注目していきたい音楽家と思いました。

 

購入:2023/07/29、鑑賞:2023/11/09