天皇「なんと本日は参加者のほとんどが能力者という史上類を見ない大会になっておる。トーナメントという形式上、優勝者はそのすべての能力を手に入れることになるのだから恐ろしいのう」
保川(おかしい…なんで天皇から…)
天皇「ということで皆の者、優勝目指して励んでくれい!以上だ」
保川(…能力者の気配がするんだ?)
司会「ありがとうございました、では早速第一試合の準備に取りかかります。鎌田聖治さん、サンドラスさん、お越しください」
関「頑張ってこいよ、鎌田!」
鎌田「楽勝っすよ♪」
関(まあ、あいつなら大丈夫だろうな…)
日本異能力開発研究所、通称「ラボ」。
ここでは所属する能力者に対し、多くの研究員がその能力の活かし方、有効な戦い方、想定される敵能力者との戦い方などを日夜研究している。
現在の所属能力者は…一人。
総勢740人のスタッフが全員鎌田の能力を研究しているのだ。
740人の期待を背負い、鎌田は試合へ臨む…
競技場となっている一階は完全に封鎖されており、鎌田とサンドラスの二名を除いてそこには何もない。
司会「それではいよいよ、第一試合スタートです。日本異能力開発研究所の秘蔵っ子、『錬金術師』鎌田聖治選手に相対するは、素手のみでいくつもの暴力団を壊滅に追い込んだ『天下一の豪腕』サンドラス選手。果たして今大会初勝利を飾るのはどちらでしょうか?はじめっ」
第一試合、スタート!
鎌田「実数弾!」
開始と同時に鎌田は実数の弾を放つ。
サンドラス「クックック…実数壁!」
サンドラスは目の前に壁を作って対処する。
ーギャラリー
保川(壁を貼った!?あいつ、この短期間に実数壁をマスターしたということか…)
鎌田の放った実数弾はサンドラスの壁に阻まれ…
…なかった。
バキイイイイッ
実数弾は実数壁を簡単に破り、サンドラスを襲った。
サンドラス「チッ」
辛うじてかわすサンドラス。
サンドラス(今の実数壁にはかなりエネルギーを込めたはず。何故ああも簡単に破られる!?)
鎌田(壁が破られて不思議そうだな、畳み掛けるか…)「実数弾!!」
ドドドドドッ!!
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保川(今の実数弾、そこまでエネルギーが込められているようには見えなかった。何が起きた?)
井上「何故今の実数弾がサンドラス選手の実数壁を破れたか不思議そうですね…数の番人・保川守さん」
保川「…?」
井上「ヒントをあげましょう。私のデータによれば鎌田選手の能力は『指数・対数』ですよ」
保川「…なるほど」
井上「あなたの視線を見ているとどうもサンドラス選手が気になっているようなので念のためお知らせしておきました」
保川「…お前は誰だ?」
井上「しがない一参加者ですよ」
保川(…なんなんだこいつは)
錬金術師・鎌田聖治。
その能力は井上芽金が言ったように、「指数・対数」である。
エネルギーは皆平等に持っており、全て実数弾に変換すると1000に相当する。
鎌田に関してもその例に洩れない。
では何故実数壁をいとも容易く破れたのか。
「威力は数値に左右され、消費エネルギーは数字に左右される」
実数弾について通常このような説明がなされるが、「数値」と「数字」の表現の違いが何を意味するかに気づくものは少ない。ラボの研究員は鎌田の能力こそ、この表現の違いの恩恵を最も受けるものだと気づいたのだ。
10^5の実数弾を打つ際、消費エネルギーは数字、即ち10と5で15である。
しかしその威力はなんと10^5=100000となる。
この圧倒的なコストパフォーマンスこそ、ラボで鎌田が「錬金術師」と呼ばれる由縁である。
そして今、そんな鎌田から五発の実数弾がサンドラスに放たれた。
サンドラス、絶体絶命!!!
サンドラス「クックック…、優勝候補の俺様がこんな所で負けるとでも?」
鎌田(笑っている?気がおかしくなったか?)「終わりだああああっ!」
五発のうちの一発目が当たらんとするとき、サンドラスの右腕が光った。
サンドラス「食らええええい!40t・実数拳っ!」
ドゴッ!!
なんとサンドラスに殴られた実数弾は消し飛んだ。
サンドラス「おらおらおらぁっ!」
鎌田「馬鹿な!?素手だと?」
その勢いで残りの四発も消し飛ばすと、今度は鎌田に殴りかかった。
サンドラス「食らええええええい!」
鎌田「実数壁」
サンドラス「無駄だあああああっ!!」
バキイイイイッ
何と鎌田の実数壁までもサンドラスは殴り割る。
そしてー
ドガッ!
鎌田「ぐはっ」バタッ
司会「決着ーっ!」
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関「!?!?!?」
保川「???」
井上「!?????」
一同、あまりの急展開に理解が追い付かず。
それもそのはず、サンドラスの技は他の参加者の誰にも真似できないものであった。
数日前までのサンドラスの最大の弱点は「土俵に立っていない」ことであった。
しかし保川たちに敗北したことで猛特訓を重ね、実数弾・実数壁を習得したサンドラスはその類い稀なる怪力を活かし、能力者にも劣らない力を手にしていた。
40t(=4000000g)パンチに500のエネルギーを込めたサンドラスの「実数拳」は4000000×500=2000000000相当のエネルギーを持っていたのだ。
そして、サンドラスは勝利したことで更なる進化を遂げたのであった。
サンドラス「クックック、力がみなぎってくるぞ、これが「能力者」になった証か。俺様に相応しい能力だといいがな!」
司会「一回戦勝者、『天下一の豪腕』サンドラス選手!」
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関「鎌田…」
「お仲間か?」
関「お前は…フリードリッヒ=マウス!」
フリードリッヒ「レベルの低さに驚きだぜ。まあジャップの開いた大会に端から期待などしていなかったがな」
関「…安心しろよ、お前は俺が倒す」
フリードリッヒ「ほう、あの哀れな老人の仇討ちのつもりか?ちょうどいい、大統領からの依頼も最近は陳腐なものが多くてな、退屈してたところだ、せいぜい楽しませてくれよ」
関「…っ」
司会「それでは続いて第二試合、井上選手、橋本選手、両名はお越しください」
つづく…