皇居前に一人の若者が来ていた。
平凡な顔つきだがその目には何かの決意が篭っている。
若者はトーナメントに参加しようとしていた。
若者「ここが皇居か…トーナメントの受付はどこかな?」
建物の中へ入ると受付嬢がいた。
若者「すいません、トーナメントに参加したいのですが…」
受付「申し訳ございませんが、実は既に定員に達してしまいまして、今は受付を行っていないんです」
けんもほろろ。
しかし若者は粘る。
若者「そんな!折角のフーリエ級数獲得のチャンスだったのに…何とかなりませんかね?」
受付「難しいです。ですがかえってよかったかもしれませんよ。私はここでずっと受付をしていましたが、参加者の中には皇室に仕える私ですら身じろぐような方が大勢いらっしゃいましたから」
若者「それでも俺には…優勝しなければいけない理由があるんですよ」
若者の強い意志を持った目に受付嬢は息を呑んだ。
ーこの若者になら自分の悲願を託せるかもしれないー
確認の意を込めて受付嬢は若者に尋ねる。
受付「因みに能力はお持ちですか?」
若者「はい。『図形と方程式』です」
受付「そうですか。実は私もトーナメントに参加することになっています。…憎き仇を討つために。ですが…」
若者「?」
受付「もしもあなたが私の代わりに仇を討ってくださるなら私はトーナメントに出場資格をあなたにお譲りします」
若者「!」
受付「残念ながら私は能力者ではございません。あなたに託した方が私の悲願を成就させられるような気が致しまして」
若者「…分かりました。あなたの仇、俺が討ちます。そいつの名前を教えてください」
受付「保川守という男です。『正の数と負の数』の能力を、私の大切な方から奪っていきました…」
若者「保川守…分かりました。トーナメントで当たれるといいのですが…」
受付「とにかくあなたを選手登録しておきます。お名前をまだお聞きしていませんでしたね」
若者「俺は…
関和弘といいます。」
和算の申し子・関 和弘(図形と方程式)
この物語の主人公である。