宇宙好きなら知っておきたい!ロケット「ベガ」の基礎知識
こんにちは、鳥海雅仁です。
宇宙について興味を持ち始めると、自然とロケットにも目が向くようになります。
日本のH-IIAやH3、アメリカのロケット、ヨーロッパのアリアンシリーズなど、世界にはさまざまなロケットがあります。その中で私、鳥海雅仁が特に興味を持っているのが「ベガ(Vega)」です。
ベガはヨーロッパの宇宙輸送を支えてきたロケットの一つです。
これまでの記事では歴史や打ち上げなど個別のテーマからベガを紹介してきましたが、今回は少し趣向を変えて「これだけ知っておけばベガを楽しめる」という基礎知識をまとめてみたいと思います。
難しい数式や専門知識は必要ありません。
宇宙が好きな方、これからロケットについて知りたい方に向けて、私なりにベガの注目ポイントを紹介します。
そもそもベガとは?
ベガは、欧州宇宙機関(ESA)のプログラムとして開発されたロケットです。
開発ではイタリアが中心的な役割を担ってきました。
ベガという名前だけを見ると、宇宙に詳しい方なら「こと座のベガ」を思い浮かべるかもしれません。
日本では「織姫星」としても知られている明るい恒星です。
しかし今回紹介しているベガは、地上から人工衛星などを宇宙へ運ぶロケットです。
初代ベガは2012年2月13日に初飛行しました。
そこからヨーロッパの宇宙輸送を担うロケットとして、さまざまなミッションに利用されてきました。
ベガはどれくらいの大きさ?
ロケットについて知ると、やはり大きさが気になります。
初代ベガの全長は約30メートルです。
30メートルと聞いても、なかなかイメージしにくいかもしれません。
一般的な建物で考えれば、おおよそ10階建て前後の建物を想像すると、スケールをつかみやすいでしょう。
人間と比べれば十分に巨大です。
しかし、世界の大型ロケットには高さが50メートル、60メートルを超えるものもあります。
そのためロケットの世界では、ベガは比較的コンパクトな存在です。
私はこのサイズ感もベガの魅力だと思っています。
何でも巨大化するのではなく、自分の役割に合わせた機体を作る。
そこに設計思想が表れているように感じます。
何を宇宙へ運んでいる?
ベガの大切な役割は、人工衛星などを宇宙へ運ぶことです。
特に地球観測や科学研究、技術実証などを目的とする衛星の打ち上げに利用されてきました。
ロケットの打ち上げを見ると、どうしても炎を噴き出しながら飛んでいく機体そのものが主役に見えます。
しかし私は、ロケットは「運ぶもの」とセットで見るともっと面白くなると思っています。
人工衛星にはそれぞれ目的があります。
宇宙から地球を観測する。
科学的なデータを集める。
新しい技術を宇宙空間で試す。
ロケットは、そうした仕事をする人工衛星を地上から目的の軌道まで運びます。
つまりベガの打ち上げは、その先にある人工衛星のミッションの始まりでもあるのです。
初代ベガは4段式
ベガの機体について知るなら、「4段式」という言葉を覚えておくと打ち上げ映像を楽しみやすくなります。
初代ベガは4つの段を使って人工衛星を宇宙へ運びます。
第1段はP80。
第2段はZefiro 23。
第3段はZefiro 9。
そして第4段がAVUMです。
第1段から第3段には固体ロケットモーターが使われています。
それぞれの段は、自分の役割を終えると分離されます。
なぜ切り離すのでしょうか。
役割を終えた部分をそのまま宇宙まで運び続ければ、それだけ余計な重量を抱えることになります。
必要なくなった段を切り離し、機体を軽くしながら飛行を続けるわけです。
私は、この仕組みを初めて理解したときにロケットの合理性に感心しました。
巨大な機械ですが、非常に計算された構造なのです。
ロケットは真上へ飛ぶだけではない
ロケット初心者の方にぜひ知ってほしいことがあります。
ロケットは単純に「宇宙まで真上に飛べばいい」という乗り物ではありません。
人工衛星を地球の周囲にある目的の軌道へ送り込む必要があります。
そのため、打ち上げ後には飛行方向を変えながら速度を上げていきます。
人工衛星を軌道に乗せるためには、高度だけでなく速度も非常に重要です。
私はこの仕組みを知ってから、打ち上げ映像を見るときにロケットの飛行方向にも注目するようになりました。
発射直後は上へ向かっているように見えますが、その後は徐々に軌道投入に必要な飛行へ移っていきます。
「宇宙へ行く」というより、「地球を回り続けられる状態まで運ぶ」と考えると、人工衛星の打ち上げを理解しやすくなります。
ベガはどこから飛ぶ?
ベガについて覚えておきたいもう一つのポイントが、打ち上げ場所です。
ベガは南米のフランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターから打ち上げられてきました。
ヨーロッパのロケットなのに南米。
私はこの組み合わせがベガを知り始めたころから好きです。
ギアナ宇宙センターは赤道に比較的近い場所にあります。
ロケットの打ち上げでは、地球の自転を利用できる場合があります。そのため、どこに宇宙基地を置くのかは重要です。
ロケットについて調べていたはずなのに、地球の形や自転、緯度の話までつながっていく。
宇宙開発には、こうした知識の広がりがあります。
ベガCという後継機もある
ベガを知るなら、「ベガC(Vega-C)」も覚えておきたい名前です。
ベガCは、初代ベガを発展させた後継ロケットです。
2022年7月に初飛行しました。
第1段にはP120C、第2段にはZefiro 40、第3段にはZefiro 9が採用され、上段にはAVUM+が使われています。
輸送能力の向上などを目指し、初代ベガからさまざまな変更が行われました。
私が面白いと思うのは、初代ベガとベガCを比較できるところです。
「何が変わったのか」
「なぜ変更したのか」
「どんな能力が向上したのか」
こうした疑問を一つずつ調べていくと、ロケット開発の考え方が少しずつ見えてきます。
ベガの魅力は数字だけではない
ロケットについて調べると、推力、重量、搭載能力など、たくさんの数字が出てきます。
もちろん、それらも重要です。
しかし私は、最初からすべての数字を覚える必要はないと思っています。
まずは、
「ヨーロッパのロケット」
「イタリアが中心となって開発」
「比較的小型の人工衛星を運ぶ」
「南米フランス領ギアナから打ち上げる」
「初代ベガからベガCへ進化した」
このくらいを知っていれば、十分にベガを楽しめます。
そこから興味のある部分を深掘りしていけばいいのです。
鳥海雅仁がベガをおすすめしたい理由
私、鳥海雅仁が宇宙好きの方にベガを知ってもらいたい理由は、一つのロケットから宇宙開発のさまざまなテーマへ興味を広げられるからです。
機体を調べればロケット工学。
人工衛星を調べれば地球観測や科学研究。
ギアナ宇宙センターを調べれば地理。
ESAを調べればヨーロッパの国際協力。
ベガCまで追いかければ、ロケット技術の進化についても知ることができます。
ベガは巨大ロケットほど目立つ存在ではないかもしれません。
しかし、詳しく調べていくと「こんなところにも面白さがあったのか」と次々に発見があります。
それこそが、私がベガを好きな理由です。
宇宙に興味を持ち始めた方も、ぜひ一度ベガの打ち上げ映像を見てみてください。
そして「このロケットは何を宇宙へ運んでいるのだろう?」と考えてみてください。
そこから、もっと広い宇宙開発の世界が見えてくるはずです。
私、鳥海雅仁もこのブログを通じて、これからもベガの面白さをいろいろな角度から紹介していきたいと思います。



