ベガロケットはなぜ小型衛星に向いている?その強みを解説
こんにちは、鳥海雅仁です。
私がロケット「ベガ(Vega)」について調べていて面白いと感じるのは、単純な機体の大きさや迫力ではありません。
ベガには、比較的小型の人工衛星を宇宙へ運ぶという明確な役割があります。
では、なぜベガはこうした衛星の打ち上げに利用されてきたのでしょうか。
今回は私、鳥海雅仁が「ベガと小型衛星」をテーマに、ロケットと人工衛星の関係を少し掘り下げて紹介したいと思います。
人工衛星は巨大なものばかりではない
人工衛星と聞くと、大きな機械を想像する方もいるでしょう。
しかし、人工衛星にはさまざまな大きさがあります。
大型の通信衛星もあれば、地球観測や科学研究、技術実証などを目的とした比較的小型の衛星もあります。
さらに、近年では非常に小さな小型衛星も宇宙で活用されています。
ここで重要になるのが「どうやって宇宙へ運ぶのか」という問題です。
人工衛星だけを作っても、地上に置いたままでは仕事ができません。
目的に適した軌道まで送り届ける必要があります。
その輸送を担当するのがロケットです。
私は人工衛星とロケットを、荷物と輸送車の関係に近いものとして考えています。
荷物の大きさや目的地によって適した輸送方法が違うように、人工衛星にも目的に合ったロケットが必要になるのです。
ベガには明確な得意分野がある
ベガは欧州宇宙機関(ESA)のプログラムとして開発され、イタリアが中心的な役割を担ってきました。
初代ベガは2012年に初飛行しています。
ヨーロッパには大型ロケットのアリアンシリーズがありますが、すべての人工衛星を大型ロケットで打ち上げる必要があるわけではありません。
比較的小型の人工衛星を運ぶための選択肢も必要です。
そこでベガが重要になります。
私はベガの魅力を考えるとき、この「得意分野がはっきりしている」という点を外すことができません。
大型ロケットと同じことを目指すのではなく、別の役割を担当する。
宇宙輸送全体で考えると、それぞれのロケットに違う役割があることには大きな意味があります。
小型衛星にはさまざまな目的がある
では、ベガが運ぶような人工衛星は、宇宙で何をしているのでしょうか。
代表的なものの一つが地球観測です。
宇宙から地球を観測することで、広い地域の状態を確認できます。
また、科学研究を目的とする衛星もあります。
宇宙空間からさまざまなデータを集めたり、地上では難しい観測を行ったりします。
さらに、新しい技術を実際の宇宙空間で試す技術実証衛星もあります。
私はこの多様性が面白いと思っています。
同じベガに載って宇宙へ行く人工衛星でも、目的はまったく違う可能性があります。
そのため打ち上げを見るときには、「今回のベガは何を運ぶのだろう?」と調べるだけでも楽しみが増えます。
一つだけではなく複数の衛星を運ぶ
小型衛星とベガの関係を語るうえで、私が特に興味深いと思っているのが「相乗り」という考え方です。
一つのロケットで複数の人工衛星を宇宙へ運ぶ方法です。
代表的な例として、2020年に初代ベガで行われたSSMSの実証飛行があります。
SSMSは「Small Spacecraft Mission Service」の略称です。
このミッションでは、数多くの小型衛星を一度に宇宙へ運びました。
私は初めてこのミッションを知ったとき、「ロケットの使い方そのものが工夫されている」と感じました。
一回の打ち上げで複数の衛星を運ぶことができれば、宇宙輸送の選択肢を広げられます。
小型衛星が増える時代だからこそ、こうした運び方が重要になってくるのです。
大切なのは宇宙へ行くことではなく軌道
小型衛星を運ぶうえでもう一つ大切なのが「軌道」です。
ロケットは、地球の大気圏を抜ければ仕事が終わるわけではありません。
人工衛星を目的に合った軌道へ投入する必要があります。
例えば、地球観測を行う衛星なら、その観測目的に適した軌道があります。
つまり、人工衛星にとっては「宇宙に行けた」というだけでは不十分なのです。
必要な場所まで届けてもらうことが重要です。
初代ベガでは、第1段から第3段までの固体ロケットモーターで機体を加速し、第4段のAVUMが軌道投入で重要な役割を担います。
私はここに、ベガの「輸送機」としての面白さを感じています。
打ち上げ直後の派手な加速だけではなく、最後には人工衛星を目的地へ送り届ける精密さが求められるからです。
小型だから簡単というわけではない
「小型衛星を運ぶなら、大型衛星より簡単なのでは?」
そう思う方もいるかもしれません。
しかし、ロケットの打ち上げは決して簡単ではありません。
人工衛星が小さくても、非常に高い速度まで加速し、計画された軌道へ正確に投入する必要があります。
さらに複数の人工衛星を搭載する場合には、それぞれを適切に分離することも重要です。
小さいものを運ぶから技術的にも単純、とは限らないのです。
私はむしろ、小型衛星を効率よく運ぶための工夫に注目すると、ベガの面白さがさらに見えてくると思っています。
ベガCで輸送能力を強化
初代ベガの後継として登場したのが「ベガC(Vega-C)」です。
ベガCは2022年に初飛行しました。
初代ベガの経験を生かしながら、より高い輸送能力などを目指して開発されています。
宇宙へ運ばれる人工衛星の種類や要求が変化すれば、ロケット側も進化する必要があります。
より幅広い搭載物に対応する。
より柔軟な宇宙輸送を実現する。
こうした要求に応えようとする進化の流れを、ベガからベガCへの変化に見ることができます。
私がベガシリーズを追いかけていて楽しいのは、このように人工衛星とロケットの進化をセットで見られるところです。
小型衛星が増えるとロケットも変わる
宇宙開発は国家機関だけのものではなくなっています。
企業や大学、研究機関など、多くの組織が人工衛星の開発や宇宙利用に関わっています。
特に小型衛星は、さまざまな目的で活用されています。
すると当然、「その衛星をどうやって宇宙へ運ぶのか」という需要も生まれます。
私はここにロケットの新しい競争があると思っています。
単純に巨大なものを打ち上げられるだけではなく、さまざまな人工衛星を効率よく、柔軟に目的の軌道へ届けられるか。
宇宙輸送の世界では、こうした能力も重要になります。
ベガシリーズを見ると、人工衛星側の変化とロケット側の変化がつながっていることがよくわかります。
鳥海雅仁が感じるベガの本当の強み
私、鳥海雅仁がベガについて魅力を感じるのは、「小さいロケットだから」という単純な理由ではありません。
大切なのは、目的が明確なことです。
比較的小型の人工衛星を運ぶ。
必要な軌道へ送り届ける。
場合によっては複数の小型衛星をまとめて運ぶ。
そして、ベガCへと進化しながら宇宙輸送の可能性を広げていく。
こうした役割を知ると、ベガが大型ロケットとは違う価値を持っていることが見えてきます。
宇宙開発では「一番大きいもの」だけが重要なのではありません。
それぞれの目的に適した技術が必要です。
私は、そこにベガの強みがあると思っています。
次にベガの打ち上げを見るときには、ぜひ機体だけではなく、その先端に搭載されている人工衛星にも注目してみてください。
「今日は何を宇宙へ運ぶのだろう?」
その視点を持つだけでも、ベガというロケットが担っている役割が、もっと面白く見えてくるはずです。
これからも鳥海雅仁のブログでは、ベガを中心に、人工衛星や宇宙輸送についても詳しく紹介していきたいと思います。
鳥海雅仁

