季節外れのシジュウカラガンの出現。何故!?

 

(2024.6.20 千葉県南部)

 

 

 

6月も後半のある日のこと。先輩バーダーのお一人から1枚の写真が送られてきました。

 

「ん?これって?えっ?何で????」

 

写真に写っていたのは、なんと1羽のシジュウカラガン。

 

6月も終わるという夏手前のこの時期に、シジュウカラガンとは不可解です。通常では考えられません。

 

彼らが毎年越冬している地域ならば、いわゆる「越夏個体」だろうということになりますが、ここは関東地方でしかも房総半島の南側。彼らの越冬地は遙か北の彼方。東北地方です。

 

 

シジュウカラガンは全長60センチ程のカモ科コクガン属の水鳥。日本では中部地方以北で越冬し、アリューシャン列島などで繁殖します。一時、日本では激減しましたが、近年は手厚い保護の結果数が増加しているとのこと。多くの亜種に分かれていることでも有名なガン類です。(よく混同されるカナダガンは、この鳥の1亜種名です。)

 

私も昨年の春、北海道まで行ってこのガンの群れを観察してきました。

 

つまり彼らは北の大地の鳥。それが千葉県の南に、しかも夏にいるのは大変不自然なことなのです。

 

しかしその理由はすぐに分かりました。

 

先輩曰く、どうやら片目に疾患があるとのこと…

 

そこで後日、この個体を見に行くことにしました。

 

 

教えていただいた水田を歩いてみますが…なかなか見つかりません。

 

話では元気に餌(畦の草)を食べていたとのことですが、、、ん~いないな~。

 

しばらくあちらこちら探していると、ひょっこり。顔を出しましたよ。

 

ホッペが白く可愛いお顔。この顔が小鳥のシジュウカラを連想させるのでシジュウカラガンです。

 

ん~でも、右の目は大丈夫そうです。

 

 

で、左目ですが…ん!

 

 

何か異常ですよ、これは! 半開き?

 

 

ああっ、閉じてしまいます。

 

なんだか目が白い膜のようなもので、閉じていきます。

 

 

ああ…ついに完全に閉じてしまいました。

 

これは…?

 

 

あっ、開いた!

 

でも…

 

 

ああ…また閉じちゃいました。

 

どうやら自分の意思でなく、勝手に閉じてしまうようです。

 

これでは左目が見えません。そうなると、まともに飛行することは難しいでしょう。

 

おそらくこの子は、短距離を飛びつつ転々と移動し、たまたまこの地にやって来たと推測します。本来なら北へ向かうはずですが、もしかしたら方向すら定まらなかったのかもしれません。到底、渡りをする仲間たちの群れについて行くのは不可能と言えます。しかもじっとうずくまり元気がなさそうなのです。

 

断定は出来ませんが、この目の白い膜は瞬膜(鳥類や、は虫類そして一部の哺乳類にある瞼の下にある膜のこと。目を保護する役目がある。)かと思われます。元々瞬膜は半透明ですが、ここまで白いのは異常ですし、閉じ方もなんだか不自然です。

 

やはり目の疾患とみて間違いなさそうです。

 

ん~なんだか以前ご紹介した、同じガンの仲間の「ヒッシーくん」のことを思いだしました。

 

このヒシクイは、完全に片目が見えないと思われる状態でした。

 

(ヒッシーくんの詳しいお話は、こちらをご覧下さい。)

 

 

目に疾患があり、元気なく動かないこの子が心配ではありましたが、あまり人間が見ていてもストレスになると思い、早々に立ち去ることとしました。

 

果たしてこのシジュウカラガンは今後生きて行けるのでしょうか? もし生きて行けたとしても、遙かアリューシャン列島まで渡っていくのは、この目では不可能です。そうなると、ここに居着くことになるのでしょうか? でもここは湖などではなく水田です。何らかの人間の影響を受けてしまうかもしれません。

 

ん~…と悶々と考えていましたが…翌日朗報が。先輩バーダーが再び様子を見にいったところ、元気に餌を食べていたとのことでした。しかも周りにいたカルガモを追い払うといったやんちゃぶりも発揮しているとか!(元々シジュウカラガンは気の強い鳥)

それに目の方も、先日より開いている時間が増したとの話でした。

 

あ~良かった。本当にホッとしました。

 

そして7月現在。このシジュウカラガンの姿はその水田にはありません。

 

おそらく旅を再開し、飛び去ったと思われます。

 

ちなみに以前ご紹介したヒシクイの「ヒッシーくん」は残念ながら、今年に入りその姿を見ていません。ちょっと正直生存しているかは難しいのかなとは思ってはいますが…まだ諦めず、引き続き探してみようと思っています。

 

聞くところによると、ガン類などの目に付く寄生虫がおり、それが彼らの目の疾患の原因となることがあるそうです。

 

このシジュウカラガンやヒッシーくんの目の疾患が寄生虫によるものかどうかは不明ですが、自然界には思わぬ危険も潜んでいるのですね。

 

いずれにせよこのシジュウカラガンの今後の無事と、ヒッシーくんとの再開を願いたいと思います。

 

 

ということで、今回はこの辺りで…ニコニコ

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

次回またお会いしましょう。

 

では皆々様~

 

👋またでーす爆  笑