トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking -4ページ目

トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking

THE BEATLESファン歴は、約半世紀にて、また、研究し続けて、早40年の、トリジローと申します。

まだ、誰も成し得ていない、全213曲+のランキングと解説を、同時に、そして独自に掲載していきます。

これぞ、究極のTHE BEATLES解説にも挑みます。

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★29位

【Come Together】

<ABBEY ROAD>1969.9/26=4:17=

 

ジョンのBEATLES時代の最後の大きな大きな輝きである。

 

世界最高峰のイントロでしょう。

ジョンの"Shoot me"、ポールの不穏なリフ崩れのフレーズ、リンゴのタムロール…。

 

ジョンの、この曲の歌メロとリズムに対する単語の選び方も冴えている。

BEATLES(特にジョンとポール)が作詞家として他のアーチストと何が違うと思うのは、歌という観点で、音に対する言葉の選び方や使い方のセンスにおいて抜群だということ。特に、ジョンという人の言葉のグルーブ感は図抜けている。

 

1956年のチャック・ベリーの曲“You Can't Catch Me”を、尊敬と軽い気持ちで拝借した(と思われる)ブルーズ曲です。

flat-topの言い回しのあたりは、レコーディング前にポールからチャックの曲に似ていると指摘を受けたようですが、ジョンは構わずオリジナルとして発表しました。

「ちょっと似てしまったかもしれないが、これ程度のものなら良くあることで、少し変えなければなと言い、結果、オリジナリティが勝っているから」と判断したのでしょう。

元はチャックの曲同様に速い曲だったが、ポールの提案で、スローなリズムで、押し寄せるような圧倒的な曲調にしようということになる。

チャック・ベリー本人はこの件に関して何もコメントしてませんが、著作権者であるモーリス・レビーが訴えようとしたのですね。でも、交換条件で話は簡単についてしまったのであります。

ジョンは“無理やり裁判所に連れて行かれたんだよ”なんていう、らしいジョークをかましていますけどね。ジョージの“例の曲”の件もありましたからね…。

ジョン自身は、潜在意識的にリスペクトも含めて、いつか超えたいと目標にしていたチャック・ベリーをようやく超えられたという思いはあったのかも知れないですね。俺はもっと先に行くよという意味でね。

 

この曲に関しては、他の3人が全員、素晴らしいプレイを聴かせてくれている。久々にまとまりのある最高の演奏とも言える。

まず、ジョージのギターのフレーズは、音としては音数が少なくシンプルですが、その中に詰まったアイディアと情念を感じますね。良い仕事してますよ。

次は、リンゴの最小限の音数のグルーブ感が心地良く、そこに例のリフのようなフレーズが繰り替えされる。

さして、極め付けは、曲自体のイメージを支配しているポールのベースプレイ。ただの8分弾きや、弾いてない箇所もあるくらいなのに、このリンゴのフレーズと連動したコンビネーションは最高としか言いようがない。最強のリズム隊なんだと高々に宣言する名演。

更に、ジョン自身が、フェンダーのローズピアノを間奏で弾いていて、これが実に効果を挙げているが、実はこれはポールの考えたフレーズをジョンが弾いてしまっていたのだ。ちょっと、これで問題が起こった…。

ここでは、それはともかく、結果的に全員の演奏とこの曲だけが持つ独特な雰囲気に、後年、ジョン自身がこの曲を“ファンキーでブルージー、この曲は買いだね”と自画自賛したのも頷ける。

 

そして、意外と気付かれていない「低音コーラスの妙」。

曲のイメージ合わせた、通常は上のコーラスパートを歌うことがほとんどだったポールが、常にジョンより下を歌うという新しい試みで、解散間際の最後の最後まで新しいことにチャレンジしていたことの驚きと同時に、嬉しさを感じざるを得ないのです。これはポールの発案かなあ?だとしたらポールはやっぱり凄いな。

曲のイメージに合ったアイディアもまたビートルズの魅力。

細かく解説すると、ジョンがシングルトラックで歌ってきて、最初のヴァースはポールのコーラスが入らず、2回目のヴァースでポールのコーラスが入って来ます。サビではジョンのダブルトラック。

 

歌詞については、かの“I Am The Walrus”とは違った意味での奇奇怪怪な内容で、いろんな解釈をしてみたが、未だに結論に至っていない。そもそも結論(意味)はないのだと思う。

Come Together“一緒に行こうぜ”は、メンバーの事、ドラッグやSexの“イク”の意味とあったりで、すでに解釈が分からない。

 

後になってしまったが、良くこの曲のキーはマイナーで、イントロ最初のコードをDm7と書かれたコード譜を見掛けるが、キーはDメジャーで、最初のコードはD7(#9)でいきなりテンション爆発の曲なのです。

(コードについては諸説あります)

 

ジョンが後年、“Come Togetherは自分がBEATLES時代で書いた曲で1番好きな曲”と発言したこともあります。

張り詰めた空気感と洗練の極地に至るサウンドが織りなす、最強のビートルズ流ロックンロール。

 

何だかんだと御託を並べても、単純に、有無を言わさぬカッコ良さなんだよ、この曲は!

 

 

 

 

 

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★30位

【If I Fell(恋におちたら)】

<A HARD DAY’S NIGHT>1964.7/10=2:18=

 

ジョンとポールという世界最高峰のデュエットが聴ける名曲。

 

恐らく、ジョンが生涯で書いた楽曲の中でも最も美しいバラード曲の1つでしょう。

 

とにかく、2人のハーモニーが素晴らしく、美しい。

しかも、ただ美しいだけでなく、技巧的にも優れていて、主旋律もいつの間にか逆になっていたり、上下のハーモニーパートが逆になったりと、構成も面白い。複雑で、今でも完璧に再現出来る人はほとんどいない程だ。

これは、ポールがコーラスアレンジに大きく関わった部分も大きくあり、むしろ主旋律はポールの方が多いのである。

音域も広いレンジのメロディラインで、2人の声域の広さや、それでも艶を失わない声。

もっと言えば、1本のマイクを挟んで、2人同時に歌った本物の生デュエットであることも大きい。お互いの呼吸を計っていたのでしょう。

この時期だからこその2人の仲の良さと信頼感があっての1発撮りだったことが容易に想像出来ます。

いつも、このマイクに向き合うレコーディング風景を勝手に想像して思い浮かべてしまいます。

 

美しく流れる曲なので、ではコード進行も自然で普遍的なものかと思いきや、結構、複雑なコードワークなのである。しかも、得意の転調すらある。

だから、ただの綺麗だけのハーモニーではないのですね。非常にアーティスティックなハーモニーなのです。

 

ハーモニーに気を取られが、ちだが楽曲についても触れていこう。

何といっても、不可解過ぎるコードとコード進行だ。

キーはDである。にも関わらず、ジョンのイントロの歌い出しは、Ebmから始まるのである。何で?という天才の頭にしか分からない何かがあるのだろう。

そして、Ebm→D→Db→Bbm→Ebm→D→Em→A7といき、その後からポールとのデュエットが始まる。この部分だけで異常だ。最後の着地点でようやくキーがDであることが分かる程度だ。

それでも、何の不自然さもない。強引な展開でもメロディが自然に聴こえる曲を作れることのジョンという人間の作曲家としての常人の及ばない卓越した才能の奥深さと感じずにはいられない。

強いていえばJAZZを解釈したコードなのかも知れない。

 

更に、コードの話ばかりで恐縮だが、サビに移行する繋ぎの部分の"like her" の "her" でコードはD9 となっていて、この効果たるやメガトン級である。胸に沁みる程の感動が押し寄せる。

このD9の箇所のハーモニーの音は C (7th)と E (9th)であり、D9の意味が効いているのである。

 

モノラルVer.とステレオVer.では、Voパートが異なる。

ステレオでは、イントロのVoはジョンのダブルトラックになっており、2度目のサビの“was in vain”の箇所のポールのVoは、少し息切れをしていまっている。

モノラルVer.の方は問題ない。これは、当時は、モノラル重視の時代で、ステレオVer.のミックスを手抜きになっていたためと思われる。

 

ジョンとポールの声がどこで交わり、どこで離れ、どこでどうなっているのか、今も正確には掴めない。

そう、ポピュラー音楽史上、最高のデユエット曲が、この“If I Fell”だ。

 

 

 

 

 

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★31位

【I've Just Seen A Face(夢の人)】

<HELP!>1965.8/6=2:04=

 

ポール必殺のカントリー系ソングの傑作中の傑作である!

 

どんなジャンルに足を踏み入れても、そのジャンルの名曲よりも更に一段上の名曲を書いてしまう、この人の才能って本当に信じられないですね。

突き抜けていくメロディが圧倒的にポールである。

 

カントリー(C&W風)系にしては少し複雑なイントロである。しかし、Aメロの歌メロに入ると打って変わってスピード感のあるリズムになっていく。この流れが最高に気持ち良い。

低音域のAメロとは対照的に、サビに入ると高い声のボーカルラインとなり、ポール自身の2部コーラスで盛り上がっていく。ちなみに、ポールの主旋律とハーモニーはシングルトラッキングである。

とにかく、メロディとギターに乗る早口のアメリカンアクセントの歌詞の乗り方が大好きだ。

 

 

この曲は、メロディやサウンド、アップテンポな展開のフォーキーさなどの素晴らしさもさることながら、嬉しいのは、3本のアコースティックギターの共演だ。もちろんポール、ジョン、ジョージの3人である。

ここが、“Yesterday”などと違って、しっかりとBEATLES演奏で、BEATLESサウンドになっていて、素晴らしいと思うことだ。

 

更に、この3人のアコギに関して、この曲の凄いところは、イントロのジョージの弾く12弦ギターの下降する3音の後から入ってくるポールとジョンの2人で弾くF#mの分散コードだ。

1人は1弦と3弦、もう1人は2弦と4弦を弾いてツインでハモるという普通の感覚では思い付かないようなツインギターであることなのだ。こういう発想と、実際に試みてしまうところが彼等らしい凄さだと思う。

ポールとジョンの歌のハーモニーではなく、ギターのハーモニーが聴けるなんて最高です。正に“夢の人”なんじゃないですか(笑)。

エンディングの終わりの“ジャーン”のギターはポール。AのところをA6と6thの音を混ぜるのがポールらしく、BEATLESらしい。

 

そして、つまり、この曲ではポール(他のメンバーも)はベースを弾いておらず、BEATLESが初めてベースを使用しなかった楽曲ともなりました(同じくBassを使用しない“Yesterday”と同日録音だが、こちらが先)。

 

とにかくポールの新しいジャンルや音楽への探求心と、あくなき向上心が凄くなってきたことを意味する時期でもある。そして、その姿勢は2020年代の今でも衰えていないのが凄いし、今でも現役であり続ける理由なのでしょうね。

だって、この曲のレコーディング日は、まずこの“I've Just Seen A Face”を3時間で録音し、続けて“I’m Down”も3時間で仕上げ、最後にあの“Yesterday”を録音するのである。

信じられませんよね。しかも、曲のタイプが極端に全部違う。R&RにC&W風にバラードと恐れ入るばかりである。

よって、我らBEATLESファンからは、1965年6月14は「ポール・デー」と呼ばれているのです。

 

ポールが、1975年から1976年にかけて行なわれた「Wings Over the World」ツアーで、それまで封印していたBEATLESの楽曲を、解散後に初めてライブで演奏したビートルズの楽曲の1つでもあり、今でもポールの重要なレパートリー曲ですね。

ポール自身は、1番好きな楽器は?と聞かれた際に、迷うことなく「アコースティックギター」と答えたのが印象的で、エレキもベースも拘りあるだろうにと思いつつ、妙に納得出来たのでした。

この曲や“Blackbird”その他のアコギ曲を聴けばね、それはそう思うでしょうね。

 

余談ですが、曲が出来た際は未だ歌詞が全く出来ておらず、ポールの叔母のジンがこの曲を気に入っていたため、「Auntie Gin's Theme (ジン伯母さんのテーマ)」という仮題がつけられていた。

 

この曲は、英国のオリジナルアルバム「A HARD DAY’S NIGHT」のB面の3曲目(CDでは12曲目)に収録されていて、シングルでも“A Hard Day’s Night”のB面曲になるが、当時のアメリカ盤には収録されていない。

実は、アルバム「RUBBER SOUL」に収録されているのだが、何とA面1曲目なのである。まあ、アメリカ市場を考えたら、こういうC&W風の曲がリードトラックというのも分かるが、今となっては安易な曲順と驚いてしまう。

 

これは、どなたかも言っておられましたが、もしポールが自分の目の前で1曲、歌ってくれるとしたら“Yesterday”ではなく、この曲をリクエストしたいですね。

 

 

 

 

 

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★32位

【I Want You (She's So Heavy)】

<ABBEY ROAD>1969.9/26=7:44=

 

圧倒的なるジョンの傑作!

 

ヨーコに対して執着したかのように執拗に“君が欲しいんだ”とフレーズを繰り返す、ブルースロック。

そう、歌詞の内容も難しいものではなく、心を吐露した正に男のブルースですね。

 

暗闇の中を夢遊病者が模索しながら先を求めてるような独特の緊張感が堪らない。

しかしながら、その部分が多くのリスナーから敬遠されているのか、後半の延々と繰り返すリフレインが凡庸だと思うのか、このジョンの世界が暑苦しく感じるのか、BEATLESファンからでさえも余り人気の高い方の曲とは言えない。

だが、個人的には大好きな曲である。あのひたすら繰り返す後半も、ずっと聞いていてもまったく飽きることがない。もう何千回と聴いてもだ。

そんな曲は、“Hey Jude”とこの曲しかない。この2曲は別格なのだ。まだまだ聴いていたいと音源を戻すことすらあるくらいだ(笑)。

ジョンやBEATLESの意図は分からない。ただ、彼等はレコーディングで延々と演奏した曲でもいくつかの曲はバッサリと切り落としているので、この曲は意味があるということなのだ。まあ、でも心身がおかしくなる程の時だったジョンのドラッグ症状と言われれば返す言葉はないのだが(笑)。

 

あの、中盤のジョンの“Yeah~~”と悲痛なくらいの叫びは余りに圧巻だ。BEATLESにはVoの一声だけで曲を支配してしまうような曲がいくつもあるが、この曲が…この叫びがNo.1だと思う。

 

しかし、ヘヴィなギターだ。

イントロ部のアルペジオとリードはジョージのプレイだが、それ以外は概ねすべてジョンのプレイである。BEATLES時代のベストプレイと言って良い程のジョンの素晴らしいリードプレイも聴ける。ジョンのギタリストとしての実力ががここで分かりますね。

いろんなアルペジオやリードに加え、オブリガート的なギタープレイの出てくるが、どの音も録音のバランスが良い。マーティンやエメリックも本当に真剣に向き合っていたことが分かる。

 

そして、圧巻なのが、曲全体を支配しているポールのベースプレイだ!

キャリアのいろんな曲で凄いベースプレイを見せてきたポールだが、サウンドも含め、1番凄いのはやはり、この曲ではないのかとすら思えるのだ。

Dmのアルペジオに前半はオブリガードのように絡み合う、そして後半はひたすら重過ぎるくらい重厚なプレイに変化していく。

エンディングに向かっては、音量も音圧も上がってくる(リズム隊全体ではあるが)流れは、毎度、身体を打ち抜かれてしまう。

その高みに達した時に、何の前触れもなく突然、曲はブツっと切れて、終わりを告げるのである。

こんな曲がどこにあろうか?

 

コーラスも素晴らしい。She So~からの3人(ジョン、ポール、ジョージ)Heavyの輪唱的に声を重ねる部分は痺れてしまう。

更に、ジョージの弾くモーグ・シンセの入れ方も見事で、ラストに向けての後半は他の楽器を消していくくらいのサウンドを希望したジョンの要望にもしっかりと応えている。

 

そんな、歌詞と演奏の表情の対比が印象的なこの曲ですが、何よりもファンを驚かせたのは突然バツンと音が途切れるエンディングでしょう。

これはサウンド確認をしていた時に、突然ジョンが「そこでテープを切れ!」と叫んだことが原因となっています。

散々と引っ張っておいて突然聴き手を突き放す、まさにジョンらしい幕切れと言えますが、レコードではここでA面が終了します。

 

イントロと後半で繰り返すコード「Dm→Eb9→Bb7→Aaug」は普通じゃないコード進行だ。もちろんブルースでも到底ない。

 

曲の後半には、元にあった“ヨーコへの叫び”は正直、ジョン自身もどうでも良くなっていて、むしろ音楽的なジョンがそこに居る気がするのだ。

だから、ヨーコを押しのけてでも音楽にのめり込んだジョンが再びそこにいるような気がして、嬉しいのである。

 

 

 

 

 

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★33位

【Your Mother Should Know】

 

<MAGICAL MYSTERY TOUR>1967.11/27=2:49=

 

古今東西、短調(マイナー)ポップスの極致といえる曲というのは、正にこの曲のこと!

その上に立って、非常に完成度の高い楽曲。

 

ここまでPOPを極めている曲なのに、とてつもなく哀愁があるという、ちょっと他に類のない楽曲だと思う。

もちろん、メロディの素晴らしさは言うに及ばずではあるけれど、こんな年になっても何故か懐かしい想いで胸がいっぱいになる。

 

基調は、ポールお得意のボードヴィル調のスタイルだが、他のそれらの曲とは違い、かなりオブラートに包まれたアレンジになっているので、聴き方によってはまったくそうは聞こえない。

まあ、とはいえ、映画「Magical Mystery Tour」のフィナーレでは、1940年代のハリウッド・ミュージカルを思わせるようなシーンにしていたので、ポール自身もそういう意識な曲なのでしょう。

そうそう、このシーンでポールだけ黒いカーネーションを胸にさしていて(他の3人は普通の赤いカーネーション)、これがまた例の「ポール死亡説」の理由の1つになってしまっていたんですよねぇ。。。

 

で、上記でも書いた通り、元来は古風でシンプルな基調の曲だと思うが、これは、映画「Magical Mystery Tour」のイメージであるトーンで作られている楽曲だということを強調したい。

そう、単調マイナーで古風でも、どこかアバンギャルドな完成品で、そこのギャップがまた凄いのだ。自分がこの曲を好きな理由は実はそこなのだ。曲が良過ぎて前衛色が見えないだけで、それが見えた(感じた)時は、目からうろこが落ちるだろう。

前衛(Revolver)→サイケ(~Peppers)→と来て、(Magical Mystery Tour)はアヴァンギャルドなのだ。アルバムは10曲入りだが、実際は6曲の2枚組EPだった訳で(それでは売れないからとアメリカ側がシングルを寄せ集めた10曲のアルバムにしてしまった)、その6曲は完全にアヴァンギャルドな6曲なのである。まあ、映画に使われている“I Am The Walrus”はシングルではあるけれど…。

 

全編に流れるポールのピアノ…間奏に入るフレーズは音数は少なくシンプルなのに何とも印象的(ダブルトラッキングで録音)。この曲が素晴らしさを放っているのは、このパートがあるからといっても過言ではないでしょう。

しかも、間奏2小節目だけが2拍子で、さり気なくスパイスが効いている。ピアノのメロディも自然なので、2拍子であることにが付く人は余りいないんじゃないかな?

 

そして、いきなりイントロはポールのベースの引っかけの1音(1弦14フレット→2弦7フレット)から始まる訳ですが(直後にピアノとコーラスが入る)、これが効いている。リッケンの音の良さを引き出したミックスも良いね。曲中のプレイは割とこの時期のポールにしてはシンプルな方だが(それでも、低音を使ったプレイと、得意の4ビート主体の構成は見事)、逆な意味で面白い。

 

ハーモニウムとオルガンはジョンが弾いていますが、“Da,da,da,da~”の箇所で、裏メロが入りますが、これがなかなか良いのです。

 

そして、彼等らしい美しく響かせる独特なコーラスも健在だ。

3部コーラスのイントロが美しく、2小節という短かさもメリハリを与えていて、もっと聴きたいなと思わせて、歌に入る感じもいやらしくて好きだな(笑)。

この頃はもうメンバー個々の楽曲が中心になってきているので、本当に最後の輝きのような印象があり、嬉しくもある。

 

ビートルズ研究家の藤本国彦さんが、最後の部分が歌詞がないことについて実は未完成なのでは?と書かれていたけれど、それはないでしょう。「ゲットバックセッション」の時ならまだしも、こんな創作意欲が全盛期の頃のポールが歌詞を付けないままで未完成にしておいたまま完成版にするなんて有り得ない。これは、間違いなく意識してそうしたのでしょう。個人的に何故そう思うかという理由は、この曲はメロディ構成が2つしかない曲なので、同じように流れないように、同じメロディでもアクセントを付けたかったんだと思うから。何かアウトロのメロディを入れるには楽曲自体が始めから完成し切っていて、それはあり得なかっただろうしね。

 

ちなみに、この曲のレコーディング・セッション中の8月23日(1967年)に、マネージャーのブライアン・エスプタインが、BEATLESとスタジオで立ち会った最後の日になり、最後の曲になったのです(4日後の8/27に死去)。

エスプタインは、ツアー活動をやめた彼等がスタジオで音楽制作のみになっていたことも、自分の居場所を失いつつある思いがあったでしょうから、このセッションをどういう気持ちで見ていたのでしょうね。今ではもう知る由もなしなのですが…。

 

 

 

 

 

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★34位

【Happiness Is A Warm Gun】

 

<THE BEATLES(WHITE ALBUM)>1968.11/22=2:43=

 

1曲にして3曲の組曲。しかも3分にも満たない奇跡の楽曲!

しかし、ジョンの内相的で気怠い歌い出しから、らせん階段を駆け上っていくような展開と着地感は、すべてのミュージシャンが誰も太刀打ち出来ない次元の境地だと思う。

 

本当に、こんなこと(楽曲)を思い付くのはジョンくらいでしょう。その後、組曲はどちらかというとポールの必殺技になりますが。

ポールの「ABBEY ROAD」の“You Never Give Me Your Money”も凄い組曲形式だが、こちらはまだ流れるような展開があるが、この曲は初めて聴いたら全く先の展開が読むことすら出来ない異様さなのだ。驚くほかない。

まあ、強いて言えば、ポールのWINGS時代の“Band On The Run”がこれと双璧なのかも知れないけれど…。

 

とにかく、けだるい楽曲で、ジョン自身は、“あらゆるロックンロールを盛り込んでみようとした”と言っているが、むしろそうではなく、ジョンの“I Am The Walrus”のような「変な部分」を重ね合わせて盛り込んだような楽曲なんだと思う。

まあ、ジョンはこの曲をBEATLES時代のベストソングの1つに挙げているので、本当に納得いく出来だったのだろう。

恐らく、スムーズに書き上げられたのだろう、こんな各パートに不可思議さがあるにも関わらず、繋がりが信じられないくらい自然なのだ。

 

ジョンは、音楽的な教育は受けていないので、音楽の基本や法則を無意識に、しかもいとも簡単に壊した上で、音楽の秀才が思いもつかないような楽曲を生み出してしまう。これが本当の天才なのだよ。

その代表例が、この曲といっても過言ではないだろう。

 

タイトルは、元はジョージ・マーティンが持っていた「Happiness Is A Warm Gun In Your Hand」という銃器専門誌からそのまま拝借したもの。

しかし、そこはジョン、“Happiness Is A Warm Gun”は「射精したばかりの男性器」と解釈出来るようにしてある。

しかし、際どい歌詞とも受け止められる中に、歌詞の構成は詩的で、小説の一節のようで、文学の香りすらする美しいものでもある。

このギャップとアートな感覚。もう平伏するしかないですね。

(但し、英語圏の国では放送禁止となる)

そして、もう1つ、この曲にはストレートに銃規制を阻む圧力団体への怒りの意味もあったとジョンは後に語っている。

皮肉なのは、いうまでもなく、ジョン自身が、その“銃”によって生涯を閉じてしまうことになることである。

概ね、未だにこの曲を聴くと胸躍るが、時々、哀しくなることもあるのは、また事実なのです。

 

楽曲については、複雑な変拍子(8分の9拍子や、8分の12拍子など)が入る曲でもあるので、リズムトラックだけで70テイクまで録音された。

リンゴは、3拍子の部分を敢えて4拍子で叩いている。いやこれ圧巻だわ。

ジョンのVoも素晴らしいが、コーラスも素晴らしい。構成も、入れ方も、さすがの一言。このコーラスもほとんどジョン1人でやっている。僅かにポールの声も聞こえるので、ポールも参加か、ガイド的に歌ったのかも知れない。

 

ポールは、この名盤で名曲の多いWHITE ALBUMの中で“1番好きな曲”と言っている。

 

ジョン・レノンという人は、後期になれば、クスリやヨーコの件を始め、精神的にどんどん内側に向かって行ってしまうので、後期に威厳を保てたのは、この曲があるお陰だと思うと言ったら言い過ぎだろうか?

それくらいこの曲は、久々に“永遠のリーダー”の貫録なのだ。

 

 

 

 

 

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★35位

【Let It Be】

 

<Single & PAST MASTERS Vol.2>1970.3/6=3:50=

<LET IT BE>1970.5/8=4:03=

 

どんな人でも1度は耳にしたことがあるだろう、誰もが知るBEATLESの代表曲。

 

こんなピアノを始めて1ヶ月でも弾けてしまうような簡単なコードと循環進行で、こんな名曲を書けてしまうなんて尋常じゃないですよ。

この有名曲が35位で恐縮です。ランクが低いのではなく、彼等には凄い曲があり過ぎるのです。1億回聴いた今になっても、曲を聴くと感動しますよ。

 

ポールが非常に珍しく精神性を垣間見せた楽曲(歌詞)であり、タイトルは新約聖書の聖母マリアの言葉と同じ。

そう、聖母マリアと実母のメアリーが混在する歌でもある。

歌詞に出てくるのは実の母親か?と質問されたポールは答える。

“そうなんだ。60年代、僕は随分辛い時期があった。そんなある時、母の夢を見た。僕が14歳の時に亡くなって以来、もうずいぶん長いこと母の声は聞いていなかったから、あれは本当に素晴らしい体験だった。僕に力を授けてくれたんだ”と。

ポールは、BEATLESが分裂の危機にあることを悲観していた。そんな時に頭に浮かんだ歌でもある。

僕が苦難の時

聖母マリアが現れ

賢明な教えを授けてくれた

“あるがままに”と

 

キーはCである。Cの循環コード(黒鍵をほぼ使わない)ということで、恐らくBEATLESの初期の曲を含めても最も簡単なコードワークの1つだと思うが、あれだけ複雑なコードや展開、変拍子などをキャリアに渡って駆使してきた彼等が、ここまでシンプルにした意味はやはりあるのだろう。歌詞の世界観もそうだろうし、ゴスペルも意識しているだろうから。

しかし、ジョンの“Imagin”と同じように、ポールのピアノの簡単なコードワークや音使いながら、それまで誰も思い付かなかったものであり、故に印象的なのである。真の天才とはそういうものだろう。

 

特筆すべきは、間奏前のビリー・プレストンのオルガンである。直前のピアノのフレーズを受けて、オルガンも同じコードでフレーズを展開させており、一種幻想的な雰囲気を作り出している。

そして間髪を入れずにジョージのギター・ソロが入り、彼のメロディアスで次第に上がっていくフレーズが曲を盛り上げていく。

コーラスもオルガンと混ざり合ってゴスペル風の雰囲気を醸し出す。

 

ベースを弾いているのはポールではなくジョン。お得意の6弦ベースで、コードがAmやFやG7でも、2拍目にCの音を入れてきて地味に効果を上げているのだ。

この曲を後年まで良く思っていなかったジョンだが、音楽作りそのものとなると、ポールやジョージ同様、さすがである。

 

ところで、この曲はアルバムとシングルではVer.が違い、アレンジがかなり異なる。

というか、正確には3種類のVer.がある(シングル&アルバム&Let It Be…Nakedである)。

取りあえず、ここはシングルとアルバムの違いについて。

ファンには周知の、シングルVer.はジョージ・マーティンのプロデュースであり、アルバムに収録されているのはフィル・スペクターのプロデュースのものである。

間奏のジョージのリードギター(+後半のオブリガード)の違いや、シングルVer.は最後のサビのリフレインが1回少ないなど両者は異なるヴァージョンとなっている。

BEATLESファンだとどちらも好きながらも、アルバムVer.の方がより好きな人が多いと思われるが、一般の人はどうなのだろう?

ちなみにシングルVer.は、アルバム「1」に入っているので、若い人はこちらを聴いてる人も多い気がするんだよね(Past Masters Vol.2にも収録)。

(聞き流して頂けるなら、個人的には、シングルVer.のマーティンのプロデュースのサウンドの方が圧倒的に好みで、それは完全にBEATLESサウンドに仕上げているから。ただ、スペクターのアルバムVer,間奏のギターも捨てがたいので、両方を合わせたVer.を作ってくれたら、それもアリかなとも空想したりしますね)

どのVer.が好きかは個人の好みだと思うが、どちらもまた違った面での Let It Be が楽しめる。

 

余談だが、ジョンが、“この曲は、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」にインスピレーションを受けたんじゃないかな”と言う発言を後年にしたが、大きな勘違いである。

Let It Beは1年も早く先にレコーディングされており、例の問題等で発売が遅れだけで、たまたま「明日に架ける橋」の数週間後にリリースされただけのことである。

「明日に架ける橋」のビルボード1位をストップさせ、入れ替わりに1位になったのが偶然にも“Let It Be”だったのだ。

 

 

 

 

 

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★36位

【Help!】

 

<HELP!>1965.8/6=2:18=

 

ジョン本人が認めるターニングポイント曲であり、初期から中期に移行する時代のBEATLESの代表曲。

 

イントロなしの歌から入るBEATLESの曲は数知れずあるが、間違いなくそのトップに位置する曲でしょう。

 

最初は、映画用にと監督がタイトルを考えた、そのでジョンはたった1日で詞と曲を書き上げてきた。

いや、正確には未完成で、ブリッジの部分をポールが作ったようだ。恐らく“Help me if you can, I’m feeling down~”の部分だろう。

 

ジョンは後年、語っている。

「僕がこれまでに書いた中で真実を歌っているのは“Help!”と“Strawberry Fields Forever”だけだ」と。

急激な勢いでスーパースターの一員になったジョンは、それに順応できず、BEATLESが何であるかも分からなくなり、心身ともにおかしくなっていく。

その叫びが純粋に“Help”だったのだ。元来は、もっとスローテンポでディランのような雰囲気もあった曲が、ただBEATLESの楽曲として仕上げなければならない状況で、発表後はアップテンポのノリの良い“カッコいいフレーズのHelp”にファンは思ってしまっていた。それもまたジョンにとってはストレスだったろう。

そもそもジョンという人は基本が常に不安定なところがある人だけに、自らそう言っていたのだから、不安定の極致だったのだろうね。

 

この曲でも、BEATLESはそれまで誰もやったことのない試みをしている。

通常、追っかけコーラスというのがある。メインVoが歌った直後に繰り返してコーラスを入れるものだ。BEATLESの初期のコーラスの特徴でもありますが、これはそれまでも定番的に存在した。しかし、その逆をやったのである。

まず、コーラスが歌い、歌詞はそのままなぞらなくても、最初のフレーズなどをメインVoが追っかけで歌うものだ。これは斬新な手法だったのだ。今でも、そういう楽曲はそうそうない。

このコーラスを考えたのはポールなのだ。完成に向かう曲はジョンの意図しない方向には行ったのかもしれないが、英米チャートNO.1で、映画のオープニングを飾る彼等の代表曲の1つになった偉大なる作品となったのだから、やはり最強のソングライターチームだったのである。

 

演奏は、ジョンやジョージの裏のリズムを強調したプレイが心地良く、リンゴのシャッフルっぽいリズム、リムショットなど徳技を入れてきている。

ポールのベースは、この時点での得意技の和音弾きだ。そう、メンバー全員が、この時代までの得意技をこの曲に注いでる。まあ、完成までに時間がなかったというのもあるのだろうけど、素晴らしいですよ。

 

良く聴けば分かるが、歌メロはほとんど音符の動きがない程の比較的平坦なジョン特有のメロディラインだが、最後の"Won't you please~"でいきなりファルセットになるのが独特で面白い。

最後のコードはすっかり定番になった6thコード(A6)である。

 

この曲は、異なるミックスVer.が4つあるのだ。

まずは、いつものようにオリジナルのモノとステレオミックスの2つ。モノ、ステレオともに第12テイクを元にしているとされているが、モノラルVer.とステレオVer.ではジョンのVoが異なるのだ。

そして、3つ目は、ジョージ・マーティンによると、1987年にCD化されたミックスが、通常のステレオミックスからでは最新機材で再生すると、音の隙間にノイズが目立つということで別テイクからの使用となったものがある。

4つ目は、この曲は映画「Help!」の冒頭のタイトルバックに使われることになった。加えて、その映像をプロモーション用素材として、イギリスのテレビ局に配布することになった。ところが、Voパートと同じトラックに入っているタンバリンの演奏者が映像に映っていなかったため、当時のイギリスの音楽ユニオンによる「TVでの疑似演奏禁止」という規定に引っかかる可能性が非常に高かった。そこで、タンバリンが入らないVoパートを映画スタジオで新たに録音したのだ。そのVer.である。

 

 

 

 

 

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★37位

【Something】

 

恐らく、ジョージ・ハリスンという人を語る上で最も有名な曲であり、代表曲でしょう。 

 

ジョージの繊細で、かつ静かに燃える激情を見事に昇華させたこの傑作。

2人の天才に飲み込まれることなく自分の音楽を追及していき、遂にジョンやポールの代表作にもにも負けない珠玉の名曲を生み出したのである。

 

素晴らしいメロディとアレンジに加え、同じジョージの名曲“While My Guitar Gently Weeps”ではエリック・クラプトンが弾いたソロも、今作はそれ以上ともいえる素晴らしいソロを聴かせた。

そんなジョージのギターの名曲と言える作品だが、意外にも元の曲の発想はピアノから書いたものだった。

ポールの“The Long And Winding Road”がそうだったように、この曲もレイ・チャールズをイメージして書いたのだと言う。実際にレイが後にレコーディングしたのだが、ジョージは嬉しかっただろうなあ。

 

まず、リンゴのイントロのDrのフレーズから始まる曲だが、この掴みは本当に素晴らしい。何気にシンバルの効果も、曲をいかに良くするかを考えている。これこそが素晴らしいミュージシャンのあるべき姿だと感心する。

そして、何といっても、もう100万人位の人が語り継いできた、ポールの圧倒的なメロディベースだ。この曲は、このベースで成り立っていると言っても過言ではない。

決めのフレーズ以外は繰り返さないライン。誰も思い付かない縦横無尽なメロディベース。どこをとっても同じフレーズは出てこない。でも曲もギターも邪魔しない。実に考え抜かれたフレーズ。素晴らしい音のバランス。

何万回聴いても未だに鳥肌が立つ。BEATLES時代のポールのベースプレイの1つであることは間違いないでしょう。

 

ジョンのギターは消されてしまってほぼ聴こえないが、オルガンもジョンなので、意外やこれが曲に活きていると感じる。

ジョージ・マーティンのストリングスアレンジも緻密だ。演奏を邪魔することなく、効果的にストリングスを活かしている。さすがだ。

 

さて、話を主役のジョージに戻すと、Voは哀愁のある歌声も聞き惚れてしまうが、更に美しい方へ誘ってくれるAメロの得意の半音下がりのクリシェ2ヶ所も印象的だ(C→CM7→C7→F)(Am→AmM7→Am7→D9)。

クリシェはポールだけの得意技ではない。ジョージも良い使い方をするのだ。

そして、この曲のイメージである、繰り返し登場する印象的なギターフレーズは名リフと言っても良いだろう。

更に、ジョージの間奏のリードギターは本当に素晴らしい。BEATLES時代のベストプレイなのは間違いのないところだ。

 

サビは、キーがCから→Aに転調するが、シャウト気味に歌うジョージの声は哀愁を帯びたままで、彼の良さが詰まっていて心を打つ。

心の叫びのように歌うジョンに知らず知らず影響を受けた歌い方も少しはあるのかも知れないが、ジョージの曲に対するアプローチなのだと思う。

 

ジョージにとって、初めてのシングルA面曲であり、かつ唯一のA面曲でもある。

つまり、BEATLES全員がジョージの才能を最後の最後に認めたことの証でもあったのです。

 

ちなみに、ジョージはこの時まだ26才になったばかりで、遅咲きと言われ続けたけれど、かの2人が天才過ぎただけで、決して遅咲きでも何でもなかったのだ。

 

BEATLESのメンバーそれぞれが、パートナーと一緒に仲睦まじく過ごす様子を捉えたMVも今でも美しき1ページとして残る。

 

これはファンなら誰もが知る余談ですが、フランク・シナトラはこの曲を“史上最高のラブソング”と評してカヴァーしたが、知る由もなかったのか、“レノン=マッカートニーの中でも特に好きな曲の1つだ”と言ってしまった話は有名である。

悲しいぞ、ジョージ!(笑)

 

 

 

 

 

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★38位

【Get Back】

 

引いて削ってのシンプルロックの代表格。

 

正に、このアルバムの元のコンセプトを体現したようなポールの名曲。

シンプルなブルース調でありながら、独特の引き締まった音像と緊張感を持った唯一無二の渋さが特徴的なロックナンバー。

 

ポールは言う。

「その場で歌詞を書き始め…それが終わったらアップルスタジオで録音。スリリングな1曲の完成だった」

 

ルーズな演奏の中、リンゴのドラムの安定感、キメの入れ方の鮮やかさが光っている。シンバルを入れないセンスも独特。

決して上手いとまでは言えないジョンによるリードギターも音のセンスが良くカッコいい。

ルーフトップでの他のポールがメインVoの曲と比べても、ポールの歌があまり暑苦しくないのも◎。

ビリー・プレストンの押さえ気味のエレピも渋い味を出している。

ちなみに、シングル盤には「ビートルズ・ウィズ・ビリー・プレストン」と表記されている。

 

コード進行は Aメジャー系のダイアトニックが中心で、難しいコードはほとんど登場しないが、初期の初期に戻ったようなシンプルさが心地良い。

シャッフル風のリズムは、実際にバンドでコピーした身としては、このノリがなかなか出せないのである。素晴らしい4人(5人)の演奏だ。

歌とギターが絶妙に溶け合っているバンドとして満点のロックナンバーであると、生涯そう思う。きっと、その魔法は解けないのだろう。

 

元々のオリジナルの歌詞は、当時のイギリスの反移民感情を風刺した「パキスタン人がすべての人々の仕事を奪うことを掘るな」というものだった。

ポールは、パロディ的な人種の餌付けを落とし(誤解されることを懸念して)、放浪するジョジョと性別をひっくり返したロレッタ・マーティンの物語を残した。

ジョジョとロレッタは、ジョンとヨーコではと言われたが、ポールは否定している。

幾通りの意味合いにもとれる。BEATLESの原点回避、元のBEATLES以前(で以後の)自由に戻る、それぞれの家族が出来たから戻る…等で、取り戻すと言う意味もある。

 

当初より本作は、シングルとして発売することを想定して制作されていた。

ポールが徐々に、そして一気に悪鬼上げていく様が、ピーター・ジャクソンの映画「GET BACK」に、その過程が良く描かれている。

1980年の『プレイボーイ』誌のジョンのインタビューでは、本作について、“「Lady Madonna」の更新版という感じ。ちゃんと書き直した感じかな”と語っている。

 

この曲は、ジョージ・マーティン版のシングルVer.と、フィル・スペクター版のアルバムVer.と、後に…Nakidでジョージのギターが一部差し換えられたVer,の3つがある(アンソロジーや、ジャイルズ・マーティンのLOVE Ver.は除く)。

個人的には、シングルVer.が1番好きだ。例え、ジョージのコードが間違っていようが、無理がないセッションの臨場感を取りたいから。

 

アルバム収録のスペクターVer.は、最後にジョンが「オーディションに受かりますように」と言うジョークが、アップル屋上ライブからのものを強引に挿入されて、ラストを締めている。

 

つまり、レコーディング曲としてはともかく、いづれにせよこの曲自体が、すべてのBEATLESのライブ演奏の「最後の曲」となったのである。

 

 

 

 

 

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