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★34位
【Happiness Is A Warm Gun】
<THE BEATLES(WHITE ALBUM)>1968.11/22=2:43=
1曲にして3曲の組曲。しかも3分にも満たない奇跡の楽曲!
しかし、ジョンの内相的で気怠い歌い出しから、らせん階段を駆け上っていくような展開と着地感は、すべてのミュージシャンが誰も太刀打ち出来ない次元の境地だと思う。
本当に、こんなこと(楽曲)を思い付くのはジョンくらいでしょう。その後、組曲はどちらかというとポールの必殺技になりますが。
ポールの「ABBEY ROAD」の“You Never Give Me Your Money”も凄い組曲形式だが、こちらはまだ流れるような展開があるが、この曲は初めて聴いたら全く先の展開が読むことすら出来ない異様さなのだ。驚くほかない。
まあ、強いて言えば、ポールのWINGS時代の“Band On The Run”がこれと双璧なのかも知れないけれど…。
とにかく、けだるい楽曲で、ジョン自身は、“あらゆるロックンロールを盛り込んでみようとした”と言っているが、むしろそうではなく、ジョンの“I Am The Walrus”のような「変な部分」を重ね合わせて盛り込んだような楽曲なんだと思う。
まあ、ジョンはこの曲をBEATLES時代のベストソングの1つに挙げているので、本当に納得いく出来だったのだろう。
恐らく、スムーズに書き上げられたのだろう、こんな各パートに不可思議さがあるにも関わらず、繋がりが信じられないくらい自然なのだ。
ジョンは、音楽的な教育は受けていないので、音楽の基本や法則を無意識に、しかもいとも簡単に壊した上で、音楽の秀才が思いもつかないような楽曲を生み出してしまう。これが本当の天才なのだよ。
その代表例が、この曲といっても過言ではないだろう。
タイトルは、元はジョージ・マーティンが持っていた「Happiness Is A Warm Gun In Your Hand」という銃器専門誌からそのまま拝借したもの。
しかし、そこはジョン、“Happiness Is A Warm Gun”は「射精したばかりの男性器」と解釈出来るようにしてある。
しかし、際どい歌詞とも受け止められる中に、歌詞の構成は詩的で、小説の一節のようで、文学の香りすらする美しいものでもある。
このギャップとアートな感覚。もう平伏するしかないですね。
(但し、英語圏の国では放送禁止となる)
そして、もう1つ、この曲にはストレートに銃規制を阻む圧力団体への怒りの意味もあったとジョンは後に語っている。
皮肉なのは、いうまでもなく、ジョン自身が、その“銃”によって生涯を閉じてしまうことになることである。
概ね、未だにこの曲を聴くと胸躍るが、時々、哀しくなることもあるのは、また事実なのです。
楽曲については、複雑な変拍子(8分の9拍子や、8分の12拍子など)が入る曲でもあるので、リズムトラックだけで70テイクまで録音された。
リンゴは、3拍子の部分を敢えて4拍子で叩いている。いやこれ圧巻だわ。
ジョンのVoも素晴らしいが、コーラスも素晴らしい。構成も、入れ方も、さすがの一言。このコーラスもほとんどジョン1人でやっている。僅かにポールの声も聞こえるので、ポールも参加か、ガイド的に歌ったのかも知れない。
ポールは、この名盤で名曲の多いWHITE ALBUMの中で“1番好きな曲”と言っている。
ジョン・レノンという人は、後期になれば、クスリやヨーコの件を始め、精神的にどんどん内側に向かって行ってしまうので、後期に威厳を保てたのは、この曲があるお陰だと思うと言ったら言い過ぎだろうか?
それくらいこの曲は、久々に“永遠のリーダー”の貫録なのだ。
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