10月7日(日曜日)、築地市場のお祭りにでかけた。
10月10日魚(トト)の日に合わせ、毎年この時期に行われている。このお祭りの目的はズバリ、「魚食促進」。ぼくの日々の活動にも大いに繋がるところである。
お祭りには様々な出店や催し物があり、その中の一つ、マグロ解体ショーにとりいちのマグロでお世話になっている樋長の飯田社長が出演されるらしく、それも楽しみにしていた。
小雨の降る少々寒い朝ということもあり、人手はさほど出でもなかったのかもしれない。しかし、いざ特設ステージに立った飯田社長は、軽妙なトークに織り交ぜた専門的な知識で、ぼくら観客の興味を引いていた。
ふつう、100キロを超える海洋生物など容易に想像できるものではなく、大きなマグロを間近で見ることができただけでも来たかいがあるというもの。それを刃渡り60センチや1メートルもある特殊な包丁でさばく様は圧巻。マグロを捌くためだけに発達してきた包丁とは、昔からマグロを食べてきた先祖たちの職人気質のなせるものなのだろう。継承してきた文化の凄みを改めて感じる瞬間でもある。
解体ショー以外にも、人気料理屋さんによるトークショーや魚のおろし方実演など、魚食促進イベントは盛りだくさんだ。そんな中で子供たちが大いに喜んでいたのが、お魚タッチコーナーだった。
4メートル×2メートル高さ40センチくらいの水槽に海水を張り、その中に十種以上の海の生き物が(もちろん)生きたまま放たれている。タイ、ヒラメ、ハタ、アナゴ、シマアジ、メジナ、ミル貝、ホヤ、平貝、タコなどなど、泳げるものは元気に泳いでいる。
子どもならば、それらの生き物を自由に触っていいというのである。子どもたちはヒラメを抱え上げ、タイを捕まえ、タコを引っ張り、アナゴに逃げられ、大暴れ。ずぶぬれになりながらも大いに楽しんでいた。たくさんの海の幸、おいしいものがあることを知ってもらいたいというメッセージなのだろう。効果は間違えなく、絶大である。子どもにとって(実は子どもだけでなく)、見ることより触ることのほうが記憶に残る。何度も言っていることだが、たくさんの種類の海の幸を食べることが、海の豊かさを守ることになるのだ。「おいしいものはマグロやサーモンだけじゃないよ」という思いは、きっと子供たちに届いたことだろう。
ぼく自身も改めて自分の食育活動を思う。
視覚情報のやり取りに終わらない子どもたちとの関係をこれからも続けていきたい。



