弱者の戦略 その一 | 南国の日の丸レストラン

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思いのままに書いています

バンドンで、素人の私が鳥元を創業した時に考えたことは先駆の強豪

2店舗((先駆の競合2店舗とも言えます。)にない商品を探し、それを、

強い4番バッターに育てることでした。


弱小の新球団が、まともに、先駆の球団に正面から、立ち向かってい

けば、飛んで火にいる夏の虫になるのが関の山です。


開店後しばらくして、私の竹馬の友で、福岡県大川市で、本格寿司店

彦寿司のオーナーである龍野正明氏が、バンドンにきてくれました。

その際、同氏が、彦寿司秘伝の味 「彦寿司のちゃんこ鍋」 を鳥元

バンドンに伝授してくれました。


しゃぶしゃぶ、すき焼きは、海外の和食レストランの定番となっています。

これを頑張って、先駆の2店舗より、美味しいものを作ったところで、先駆

の味に慣れた人は、先駆がホンモノで、あとで追っかけたほうがニセモノ

という危険性があることは、繊維ビジネス、アパレルビジネスで経験して

いました。


そこで、舞の海商法の猫騙しです。かと言って、お客様を騙すわけでは

ありません。真っ向勝負を避けるという弱者の戦略を取ったわけです。


バンドンで 一番おいしい しゃぶしゃぶ と宣伝するのは、たとえそれが

本当であっても、それは、個人の嗜好の問題だし、相対的なもんですか

ら、よほど、決定的で、効果的な差がでない限り、お客様はそうかな?と

感じてしまいます。(心理的なもんです。)


そこで、自慢のちゃんこ鍋にしぼり込んで、 「バンドン初のスタミナ料理

ちゃんこ鍋 !」として、販促活動に集中したわけです。


これを、弱者の戦略では、一点集中効果の法則ともいうようです。


もちろん、鳥元のちゃんこ鍋は、絶品です。商品力がなければ、戦略も

なにもありません。このちゃんこ鍋に関し、実際、苦情や不満が、お客様

から発せられたことは 一回たりともありません。


とにかく、またたく間に、ちゃんこ鍋が、不動の4番の地位を確立しました。

すると、どうでしょう。それまで、脇役というか引立て役だった鳥元のしゃぶ

しゃぶまでが、「バンドンで一番おいしいしゃぶしゃぶ。」、と言われるように

なり、3番か5番を打てる打者に成長したのです。


業界、業種が違っても、同じようなことを、前身時代に経験しています。

商売や商品企画の基本はすべて同じだと思う所以です。


古い昔の話ですみません。

私が狂ったように好きだった西鉄ライオンズの黄金時代を築いた三原監督

が、セリーグの最下位チーム 太洋ホエールズに移籍したその年に、いき

なり、日本一になりました。私は、その時、小学校の高学年でしたが、校長

先生が全校集会で、「為せば成る!」、というようなことを言われたのを覚え

ています。私も、子供心に、感動しました。


弱者にもチャンスありです。 


私の出身校佐賀高校の流れを汲む佐賀北高校が、からだも腕っぷしも違う

東京の帝京や広島の名門光陵を破り、夏の甲子園で、全国優勝を果たした

のは記憶に新しいです。


太洋の三原監督も佐賀北高校の監督も、弱者の戦略を駆使されたのだと

信じています。


精神力や根性だけでは、こんな奇跡の優勝 は起こらないはずです。