医療者向け会員制サイト、m3.comでの連載が公開されました。
(m3.comのコンテンツ、医療従事者の経験・スキルをシェアする「メンバーズメディア」内での連載です)
今回のタイトルは
ちょうど、小林製薬の「紅麹」問題がニュースとなっています。
この原稿を書いたのは、ニュースが世に出るよりも前のことだったのですが…
奇しくも、ちょうどタイムリーなテーマとなりました。
非会員の方向けに、以下に本文を転載します。
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医師6年目、内科医のトリおんなです。
この連載では、若手内科医の日常をゆるりと綴っています。
前回は、結婚に伴う改姓の手続きについてまとめました。今回からは、また日常の話題に戻って、連載をお届けしたいと思います。
服用については医師に相談を!?
「無責任」なサプリメント
外来で、ちょっと困った場面に遭遇することがあります。
患者さん:トリ先生、友達からこんなサプリメントを勧められたんですよ。効きますかね?
これです、と言って差し出されたのは、箱に入った健康食品。
聞いたこともないような、謎の野草の名前と、「関節の痛みに効く!」などの宣伝文句が印字されています。
臨床試験を経て発売される医薬品ならともかく、星の数ほどある市販の健康食品の効果なんて、知ったこっちゃないよ……と言いたいのが正直なところ。
でも困ったことに、このような健康食品のラベルには、たいてい
「治療中の方は、服用にあたって医師に相談すること」
などと書かれているのです。
売るだけ売っておいて、服用の判断は医師に丸投げだなんて、そんな無責任な……と、製造元に対してフクザツな思いを抱くのは、私だけでしょうか。
仕方がないので、最低限、自分が処方している薬剤との相互作用の有無を確認して(薬剤師さんに確認をお願いすることもあります)、
「お薬との飲み合わせには問題ないようですが、これは医薬品ではないので、私からお勧めすることはしません。服用される際は自己責任でお願いします」
などというお返事にとどめることが多いです。
この連載をお読みくださっている先生方は、このような場面で、患者さんにどのように説明、対応なさっていますか?
健康食品に副作用なし?!
患者が信じる危険な「神話」
週刊誌などにありがちな『医者に殺されないための心得』『この薬だけは飲んではいけない』などという、センセーショナルな煽り文句に踊らされて、薬の副作用を過度に心配する患者さんは、結構多いものです。
その一方でなぜか、特にご高齢の方ほど、漢方薬や健康食品などは「天然由来のものだから副作用はない」と思い込む傾向もある気がします。
……もちろん、それが誤りであることは、医師ならば誰もが知っています。
以前、かなりの腎障害をお持ちの患者さんが、「体にいいと聞いたから」と、毎日大量のプロテインを飲んだり、カリウムたっぷりの柿やバナナを何個も食べたりしていたことが判明したときには、冷や汗をかきました(ご想像の通り、高カリウム血症と急性腎障害で緊急入院になりました。ホントにやめて)。
患者さん達の間でいまだに蔓延る「健康食品だから安全安心」という「神話」、なかなか厄介だなぁと思います。
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