医療者向け会員制サイト、m3.comでの連載が公開されました。
(m3.comのコンテンツ、医療従事者の経験・スキルをシェアする「メンバーズメディア」内での連載です)
今回のタイトルは
今回のコラムは、研修医やレジデントなど、私よりもさらに若手の医師の方に向けたものです。
若手医師にとって、看護師さんとの接し方に苦労するのは、結構「あるある」で…
私なりの解決策を書いてみました。
若手医師向けの内容なので、万人向けの記事ではありませんが、もしご興味がある方がいらっしゃいましたら、ご一読いただけますと幸いです
非会員の方向けに、以下に本文を転載します。(一部修正)
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医師6年目、内科医のトリおんなです。
メンバーズメディア5周年企画として、私・トリおんなの連載で読みたいテーマをアンケート形式で募集しました。
皆さまからいただいた質問・コメントのなかから、ピックアップして回答します。
それではどうぞ。
<質問>
今年から大学病院勤務です。病棟で血液培養のオーダーをしたところ、看護師さんからものすごく嫌そうな態度をされ、心が折れました。どうすれば、看護師さんとうまくやっていけるのでしょうか?
普段から「顔の見える関係」を
読みながら、思わず「わかるわかる~」と頷いてしまったのが、こちらのご質問でした。
若手のうちは、看護師さんとの付き合い方にはとにかく神経を使うものですよね。日々の勤務、本当におつかれさまです。
問題解決のために、看護師さんが嫌な態度をとる理由をいくつか想像してみました。
・考えられる理由その1:「日頃の関係構築がうまくできていない」
普段から病棟によく顔を出し、看護師さんとの間で患者さんについての情報を共有しておくと、お互いに「顔の見える関係」を築くことができ、患者さんの急変など、イレギュラーな事態にも、素早く対応してもらいやすくなります。
でも、電子カルテの指示簿や電話だけでのやりとりがデフォルトになってしまうと、お互い顔が見えないので、いざイレギュラーが起こったときに、連携不足になりがちなのかな、と思います。
ちなみに…
私なりのコツですが、看護師さんに何かを頼むときには「名前」で呼ぶと効果絶大です。看護師さん一人一人の名前を覚えている医師は、意外と少ないものなので、看護師さんから好印象を持ってもらいやすいものです。
※研修医時代に、看護師さんの名前を覚えるため工夫した話→
女性研修医直伝?!看護師攻略術
看護師さんの「顔色を窺う」必要は全くありませんが、人間関係の潤滑油として、このようなちょっとした気遣いは、意外と大切かもしれません。
夜間休日は病棟のマンパワーにも配慮して
・考えられる理由その2:「看護師の“マンパワー不足”」
私たち医師と違って、看護師の勤務は明確なシフト制です。
夜勤帯や休日など、元々人手が少ないタイミングで、突然「血液培養2セット採取してください!」という、医師からの指示が降ってきたとしたら…
看護師さんの脳内は、もしかするとこんな感じかもしれません。
(まだこれから、Aさんのナースコール対応と、Bさんの清拭・食事介助が残っているのに、そのうえさらにCさんの血液培養?!
滅菌手袋と、培養用のボトルと、消毒キットと、針と、シリンジを用意して、2箇所から採血かぁ……Cさん、静脈が細くて採血激ムズなのに……鬼かよ)
そんななかで、指示を出した医師本人が(はた目には)涼しい顔(に見える表情)で座っていれば、
(いや、暇なら採血くらい自分でしてよ。医者なら、看護師と違って動脈採血が許されているんだから、大腿動脈から採血すれば一発でしょ)
とさえ、思うかもしれません。
そんなわけで、病棟看護師さんのマンパワーが少ないタイミングなら、いっそ、自分で済ませてしまうほうが手っ取り早い場合もあります。
何事もバランスなので、ご自分一人で無理をしすぎる必要はありませんが、病棟の状況に少し目を配ると、看護師さんとの関係性が良い方向に向くかもしれません。
単純な面倒くさがりなら…
ビシッと言っちゃえ
上のいずれの理由にも当てはまらなければ、あまり考えたくはありませんが…
・考えられる理由その3:「看護師がただ面倒くさがっているだけ」
一般論として、「大学病院よりも市中病院の看護師さんのほうが、フットワークが軽い」、「大学病院の看護師さんは、何かと医師に意見しがち」などと、まことしやかに囁かれているのを耳にした先生方は多いはずです。職場全体の体質として、極力面倒ごとを避けようとする風潮がまかり通っているならば、由々しき問題です。
医療現場で優先すべきは、「仕事の量を減らすこと」ではなく「患者さんの安全を守ること」です。
必要なら、たとえ嫌な顔をされたとしても、
「患者さんの命を守るための検査なので、お願いします」
と、毅然とした態度で言ってみることも、時には必要だと思います。
まとめ
コメディカル、特に看護師さんとの関わり合いは、若手医師なら誰もが経験する関門です。いろいろと書きましたが、質問者の先生には、試行錯誤のなかで、ご自分なりのやり方を見つけていただければと思います。応援しています。
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