≪効果は女性の方がより高く≫
食品の香りは、味とともにその食品を特徴づける重要な要素です。香りの働きの一つとして、前回、コーヒーの香りのリラックス効果について述べ、脳波のα波を指標として比較すると、特にグアテマラの香りがリラックス効果が高いということを紹介しました。
今回はコーヒーの香りの脳の働きの活性化効果のことを話しましょう。以前、必須脂肪酸であるアラキドン酸を高齢者が摂取すると脳が活性化されること、すなわち、頭の回転が速くなるということを示しました。そのとき述べたように、脳の活性化の指標には、「P300」という脳波が用いられます。P300のことをもう一度簡単におさらいしておくと、P300は、人がものを見分けたり聞き分けたりする能力を表す脳波です。その能力が高まると、P300は大きく、低下すると小さくなります。
6種(ブラジルサントス、グアテマラ、ブルーマウンテン、モカマタリ、マンデリン、ハワイコナ)のコーヒー豆の香りをかいでいるときのP300を測定したところ、マンデリンが一番大きいという結果でした。前回、α波を測定した場合には、マンデリンはα波が少なく、リラックス効果が低いといいましたが、P300の結果をみると、マンデリンは脳の働きを活性化することがわかりました。
つまり、コーヒーの香りを利用して、リラックスしたり、頭の回転を速くしたりしたいと思うときには、それぞれの豆の効果の特徴を考えて利用すると、目的に適した効果が得られるということが、実験の結果からいえます。
香りの研究をしていると、効果は男女で差がありますか、ということをしばしば聞かれます。コーヒーの場合、男性に比べ明らかに女性のほうがP300が大きいという結果を、以前の実験で得ました。つまり、女性のほうがコーヒーの香りによって脳の働きが活性化されやすいということです。また、他によく受ける質問として、香りに対する好き嫌いがP300に影響しませんか、というものがあります。このことについては、香りによって、好き嫌いがP300に影響を与えるものと与えないものとがあるというのが答えです。
コーヒーの場合には、香りが好きなほどP300は大きくなる傾向がみられます、一方、アロマセラピーで用いられるエッシャルオイルの代表であるラベンダーは、好き嫌いはあまり関係がありません。つまり、嗜好(しこう)と脳の働きとは関連がある香りとない香りがあるということです。
少し前までは、香りが脳の働きを変化させるなどとはあまり考えられていませんでした。しかし、脳波分析を利用することによって、実際にはここに紹介したように、その影響は少なからずあることが分かりました。
これまで、食品の効果は、摂取したときに栄養素としてどのような作用があるかということを中心に考えられてきました。香りが脳の働きに与える影響についての研究は始まったばかりで、まだ分からないことがたくさんありますが、今後、香りについての研究が積極的に進められることによって、食品の効果が香りも含めて総合的かつ科学的に評価されることが望まれます。
産経新聞より
やっぱりそうですかぁ。コーヒーも匂いでリラックスできてましたもの。
