今日のテーマは緑内障(頭目脹痛)です。
頭目脹痛は頭部と眼が脹って痛むことで、まずは偏側に発生することが多いが両側性のこともある。緑内障に相当し慢性化すると失明に至る。
緑内障(頭目脹痛)の原因を中医的に分類すると以下の4つです。
・痰湿上逆型
・肝火犯胃型
・肝陽上亢型
・陰虚火旺型
①痰湿上逆型
・メカニズム
痰飲の体質・飲食不節により脾胃(消化器系)の損傷等で脾氣が虚し痰飲(病的な水分)が停滞し痰濁が清窮を蒙閉する為に陽氣が頭目を上栄できなくなり頭と目の脹った痛み・視力障害・瞳孔膨大等が発生する。
・症状の特徴
脾胃氣虚の体質や生冷物の摂取で湿が寒化し寒痰となって上逆するので眩暈・水様物の嘔吐・舌苔白膩・脈儒細等をともなう。
・症状
頭痛・眼球が脹って痛む・視力障碍・眼孔散大・悪心・水様物の嘔吐・胸苦しい・身体が痛い・食欲不振・口渇があるが水分を欲いない・舌苔膩あるいは黄膩・脈儒細あるいは滑数。
・治療薬
黄連温胆湯など清熱化湿で和胃降逆薬を中心に治療する。
②肝火犯胃型
・メカニズム
激しい怒りやイライラ等で肝火が清窮を上擾する為に発生する。
・症状の特徴
頭と眼球が脹って痛み眼孔が散大し、視力が急激に障害され明暗が分る程度となり肝胆経は側頭に上行するので割れるような頭痛や眼球が飛び出るような痛みを呈し情緒の変動にともない増減し頻繁な嘔吐・舌質紅・舌苔黄・脈弦滑等がみられる。
・症状
強い頭痛と眼球の脹った痛みが生じ、甚だしければ割れるような頭痛と眼球が飛び出すような感じがあり、瞳孔散大・急激な視力障害・イライラ・怒りっぽい・口渇して水分を欲する・頻繁な嘔吐・舌質紅・舌苔黄・脈弦滑等をともなう。
・治療薬
瀉肝湯など清肝瀉火で和胃降逆薬を中心に治療する。
③肝陽上亢型
・メカニズム
肝胃陰虚で肝陽が上亢し清窮を擾乱した為に発生する。
・症状の特徴
虹視・瞳孔散大・頭と眼の脹った痛み等に頭のふらつき・悪心・視力減退・腰や膝が怠く無力・口乾・喉痛・舌質紅・舌苔薄・脈弦細等の肝腎陰虚・肝陽上亢の症候がみられることがある。
・症状
偏側性の頭痛・眼球の脹った痛み・瞳孔散大・視力障害・虹視・頭のふらつき・悪心・口乾・喉痛・腰や膝が怠く無力・舌質紅・舌苔薄・脈弦細。
・治療薬
杞菊地黄丸など育陰潜陽で平肝明目薬を中心に治療する。
④陰虚火旺型
・メカニズム
憂思過度等により心血・肝血が不足し陰血不足から陰虚上炎が生じ清窮を上擾する為に発生する。
・症状の特徴
頭と眼球の脹った痛み・瞳孔散大・虹視等、心肝血虚による頭のふらつき・目がかすむ・動悸・睡眠が浅い・舌質紅・舌苔少・脈細数無力等の症候がみられる。
・症状
頭痛・頭のふらつき・眼球の脹った痛み・瞳孔散大・両眼がかすむ・虹視・動悸・焦躁感・睡眠が浅い・舌質紅・舌苔少・脈細数無力。
・治療薬
天王補心丹+帰脾湯など養血寧心で滋陰降火薬を中心に治療する。

