皮膚黒斑とは皮膚に生じる点状、網状、地図状に黒色斑があり隆起していないものをいいます。
⑴肝鬱氣滞型
①メカニズム
氣血が停滞により発生し氣滞は瘀血を引き起こし瘀血には氣滞がともない両者は相互に影響し氣滞は軽症で瘀血は重症である。
②特徴
黒斑が対称的で眼囲に多く脇痛、イライラ、怒りっぽい等、肝氣欝結の症状をともなう。
③症状
前額、両頬、上唇等の顔面に対称的に黒色斑が生じ境界明瞭で圧により退色せず脇肋の脹った痛み、イライラ、怒りっぽい、舌質紅、舌苔白、脈弦等を呈する。
④治法
逍遥散等疏肝解欝和営化斑を中心に対策する。
⑵瘀血型
①メカニズム
氣血が停滞により発生し氣滞は瘀血を引き起こし瘀血には氣滞がともない両者は相互に影響し氣滞は軽症で瘀血は重症である。
②特徴
単側の眼や頬等に好発し辺緑は淡色で中央部は濃く眼球結膜にも波及する。
③症状
黒色斑の眼や頬等の顔面に好発し辺緑は淡色で中心は濃く眼球結膜に及ぶこともある。舌苔薄、舌辺斑点、脈細緩を呈する。
④治法
通竅活血湯等活血化瘀通絡活絡薬を中心に対策する。
⑶脾虚型
①メカニズム
脾虚で氣血の生化が不足し皮膚の栄養が不足した為に発生する。
②特徴
食欲不振、腹満、泥状、水様便等脾虚の症状を呈する。
③症状
頬、前額、耳後等に片状の黒色斑が好発し食欲不振、腹満、軟便、倦怠感、舌質淡で歯痕、舌苔薄白、脈濡弱等を呈する。
④治法
加味帰脾湯等健脾益氣養血消斑薬を中心に対策する。
⑷腎陰虚型
①メカニズム
腎精不足により血を濡養出来ず虚熱が上亢し上半身を灼傷し皮膚の栄養が低下し発生する。
②特徴
頭のふらつき、耳鳴、腰や膝が怠く無力、五心煩熱、遺精、早漏等の腎陰虚の症候をともなう。
③症状
頬、前額、手背等に黒色斑が生じ腰や膝が怠く無力、耳鳴、頭のふらつき、五心煩熱、遺精、早漏、舌質紅、舌苔少、脈細数等を呈する。
④治法
知柏地黄丸等滋陰補腎降火消斑薬を中心に対策する。

