〇肩背生癰(肩背部の化膿症)
肩背生癰とは、肩背部の発赤・腫脹・化膿を示す。熱邪が皮肉の間に停滞し、氣血の運行が阻害され営衛不和となり邪が聚って形を成したものである。
⑴火毒凝結型
①メカニズム
脂っこいもの、濃厚なものを過食し六腑の積熱が生じ湿熱火毒が停滞した為に営衛・氣血の運行が阻害されて発生する。
②症状
肩背に発生し初期は局所が突然に腫脹し光沢があり柔らかく表面は発赤し灼熱感・疼痛をともない、次第に拡大し隆起し硬度を増す例が多い。軽症では全身症状がないが重度になると悪寒・発熱・頭痛・悪心・舌苔黄・脈洪数等を呈する。
③特徴
局所の発赤・熱感・腫脹・疼痛が顕著で悪寒・発熱・頭痛・悪心・舌苔黄、脈洪数等を呈する。
④治法
仙方活命飲等清熱解毒薬を中心に対策する。
⑵暑湿薀結型
①メカニズム
夏の炎熱の気候や酷暑の太陽にさらされ暑毒を感受し発汗が十分でなく暑湿が皮膚に鬱滞したり皮膚を搔破し毒邪を感受し営衛・氣血が行らなくなって発生する。
②症状
夏に発生し背部に好発、初期は紅暈を呈し、ついで腫脹・疼痛が生じる。発熱の持続・頭のふらつき・目眩・口渇・口苦・イライラ・背の熱感・肢体の倦怠感・舌苔が黄膩・脈滑数あるいは洪数等を呈する。
③特徴
夏に発症し発熱の持続・頭のふらつき・目眩・口渇・口苦・イライラ・背の熱感・肢体の倦怠感・舌苔黄膩・脈滑数あるいは洪数等を呈する。
④治法
加味清暑湯等清暑化湿薬を中心に対策する。
⑶瘀血凝結型
①メカニズム
荷物を担いで肩に負担がかかり瘀血が凝結し氣血の運行が阻害されたり毒氣を感受し営衛・氣血が阻滞した為に発生する。
②症状
背部に好発し初期は局所の腫塊・灼熱感・疼痛を呈し発熱・悪寒をともない腫脹・疼痛が強くなり化膿する。局所と全身症状・経過は火毒凝結と同様。
③特徴
局所の腫塊が明らかで軟化する速度は緩慢で全身症状はあまりみられない。
④治法
仙方活命飲等に活血・軟堅薬を追加したものを中心に対策する。

