フランス海軍が次期原子力空母計画を公表 | 黒潮会・海鷲便(うみわしだより)

黒潮会・海鷲便(うみわしだより)

アフリエイトはじめました。

 【パリ共同】フランスのマクロン大統領は8日、同国が保有する原子力空母シャルル・ドゴールの後継について、再び原子力空母とすることを決めたと発表し「原子力は私たちの戦略的自立性の要であり続ける」と強調した。中部ルクルーゾにある原子炉製造会社の施設を視察し、演説した。


 フランスは核兵器に加え、核ミサイルを搭載する原子力潜水艦も開発。ディーゼルエンジンなどの通常動力よりコストがかかる原子力を改めて選択したのは、軍事戦略だけでなく技術を保持する狙いもある。マクロン氏は「民間用原子力なくして軍事核はなく、逆もしかりだ」と述べた。

 

 

2040年までに退役が予定される仏海軍唯一の空母「シャルル・ドゴール」の後継空母にまたしても原子力艦とする事をマクロン大統領が正式に公表しました。

 

現時点で分かっている性能は

 

推進システム:原子炉×2

軸数:3~4

満載排水量:70000~75000t

全長:約300m

電磁カタパルト×3

艦載機:次世代型戦闘機×32、早期警戒機E-2D×2~3

乗員:900~1080名、航空要員:550~620名

 

ところでフランスでは空母が「ドゴール」1隻だけでは運用に余裕がないので2番艦の建造は以前から模索されていた。「ドゴール」は造船所やドックなどのインフラ事情に合わせて空母としては小型(満載排水量:40600t、全長:261m)な船型でした。しかし、小型故に艦上での艦載機の運用に難があるなど運用者からの評価は芳しくない。その為、「ドゴール」同型の2番艦が建造される事はなかった。

 

その後、イギリス海軍の「クィーン・エリザベス2世」の準同型艦であるPA2が計画されたがこれも実現しなかった。そしてこの度、ようやく次期空母計画が決定したのですが竣工は2038年でありその頃には「ドゴール」は退役してしまいます。フランスの財政事情を考えれば次期空母の2番艦が建造出来るかどうかはかなり微妙な感じであり「ドゴール」と同じく仏海軍では21世紀中盤から後半にかけても空母1隻体制が続くかもしれない。

 

空母は実戦即応体制、慣熟訓練中、ドック入渠中各1隻と計3隻保有するのが理想ですがフランスではとても無理そうです。しかし、英米軍との連携が前提なので1隻あればとりあえず何とかなるのかもしれない。英米軍も仏海軍が1隻でも空母を保有していれば何かと助かるのでしょう。

 

前述した様に「ドゴール」の反省から次期空母はかなり大きな船型としている。この大きさであれば艦載機運用には十分な柔軟性を持てるだろう。先端装備としては電磁カタパルトがあるが米海軍でさえ実用化に戸惑っている状況なのでフランスが独自開発するには相当な困難が予想される。やはりアメリカ製を輸入するのが現実的か・・・・

 

もちろん、次期空母でもっとも注目されるのは原子力艦とした事です。英海軍の「QE2」が通常動力を採油したのと比べて大きな考え方の違いがあります。原子力艦にもメリット、デメリットそれぞれあるがやはり無限に近い航続距離は何にも代え難い大きな魅力でしょう。また、「QE2」がV/STOL空母なのに対して次期空母は米空母と同じくCTOLです。仏海軍はCTOLに強い拘りがあるようです。

 

 

にほんブログ村 政治ブログ 軍事・防衛へ
にほんブログ村