時節的なシンクロニシティを感じずにはいられない、憂国の漫画二作品。
今日も原発再稼働反対デモで、国会議事堂前に多くの人が集まっているようです。
果たして、この後の夜のニュースではどのように扱われるでしょうか。
キーチVS 9巻
新井英樹
ボクらは、どんな動機と状況なら
なにかを始められるんですか？
一人の男・染谷輝一によって、日本が革命されて行く「キーチ!!」の続編、「キーチVS」。
様々なメディアが口を噤むタブー、現代社会が抱える闇へ率先して斬り込み、論じて行く様は得も言われぬ爽快感があります。
この9巻は、「キーチVS」の中でも特に素晴らしい巻だと思いました。
是非とも、現代の様々な問題を抱える日本に生きる全ての人に読んで欲しい作品。
今、一番読まれて欲しい漫画です。
輝一の相棒である、甲斐。
脱税の冤罪で投獄されてしまっていた彼は、久々にキーチと対面する。
今巻の表紙がまた、素晴らしいのですよね。
拳を付き合わせようとする二人の絵。
胸が熱くなります。
言葉少なに、しかし大望を語る輝一、それに一も二もなく参画の表明をする甲斐。
シビれざるを得ない展開です。
そして、19時からの2時間生放送の番組に出演する2人。
そこで甲斐は語ります。
記者クラブ、
電波オークション、
クロスオーナーシップ、
新聞特殊指定等々なんでも、
国を蝕む既得権の話ガッツリしたろか。
胸がすくような生放送。
フィクションですけれども、興奮します。
実際に、地上波の生放送でこういった問題を論じてくれる日は来ないものでしょうか。
そして、二人は教え子である子供達自身に、自分たちの日本の事、未来の事を語らせます。
狂牛病についての、米国に配慮した欺瞞とその犠牲を暴いていくシーンは圧巻。
「大人」というのは、
自分より前の世代の人から大切ななにかを受け取って、
あとの世代に一番大切なことを手渡す人のことじゃないんですか？
だとしたら
今、この国に「大人」はどれだけいますか？
という言葉に真っ向から答えられる「大人」はどれだけいるでしょう。
日本が本当にアメリカの言いなり、属国なら、
「属国は嫌だ」って言える人が政治家だと思うけど
そんな人、本当にいるんですか？
いつまで属国のままなんですか？
100年先ですか？200年ですか？300年ですか、400年ですか、500年ですか。
永遠ですか。
国民が世の中を知るため政治を考えるための新聞やテレビが正義のふりをして
完了の天下り先、官僚の広報として世論を操作してるって本当ですか。
テレビ局が電波を利用するための利用料の8割、
500億円以上を、
携帯電話の利用者に払わせているって本当ですか？
政治家は相続税、大銀行は法人税を払ってないって本当ですか？
消費税を上げると輸出をたくさんしてる大企業は
上げた分だけ還付ってお金を国から貰えるって聞きました。
現実に蔓延る様々な病理を指摘していきます。
そして、「日本がひっくり返る」DVDによって明かされる衝撃の事実。
更に、作中では民進党とされていますが、民主党が2009年の選挙で実際に掲げたマニフェストを批判しつつ、それを選んだ国民をも批判します。
頭に火が点けられる作品。
ネタバレになるので敢えて触れていませんが、テーマ性だけでなく物語のエンターテイメント性も十分に持っています。
「キーチ!!」9巻、「キーチVS」9巻の計18冊と既にそれなりの量ですが、是非読んで何かを感じ考えて欲しいです。
90点。
ムダヅモ無き改革 8巻
大和田 秀樹
政界を舞台に、有名人たちが麻雀で激闘を繰り広げる、破天荒な麻雀漫画。
兎に角、ツッコミ所が多過ぎてツッコミが追い付かないこの作品。
麻生太郎氏に続いて、石破茂氏も帯に登場！
民主党の方にも帯コメントを書いて頂きたいものです。
石破シゲルの元で創設されし国防組織「第13独立麻雀部隊」。
その「仕分け」を賭けて、新章の主人公・真田二佐や防衛省記述県本部の乾技官が民主党議員らと鎬を削る！
今巻もレンホー議員が凄い事になっております。
ここまで来ると怒られても致し方ないレベルかと思いきや……
個人的には、此れ位格好良く描かれてしまっては納得する他ありません(笑)
敵味方問わず、相変わらず燃えが溢れた闘牌に滾ります。
「フィラデルフィアエクスペリメント」を理屈付けに用いた秘技なども流石。
そして、ついに鳩山ユキヲ総理も参戦ッ!?
憲政史上に残る迷言を引っ提げての登場。
その妻、鳩山ミユキも。
恒例となっている巻末のオマケ漫画、今回はどんな内容かと期待していたら……
意外！それは『萌え4コマ』ッ!!
ムダヅモ女性キャラを使った学園モノ。
ティモシェンコさんが不良化しているとは(笑)
途中の扉絵といい、そろそろ大和田先生もこういうのを描きたくなったんでしょうねぇ。
政治家、ギャグ、燃え、サブカルネタ。
色々な物が詰まっており、どれかに興味があれば十分楽しめる作品です。
こちらで試し読みもできるようです。
http://dl.rakuten.co.jp/prod/800676514.html
80点。