拓 「あ~暇だ。早く帰ろうぜ」
啓 「まぁまぁ、仕方ないよ。業者さんまだ終わらないみたいだし
回線工事はどうしても必要でしょ」
拓 「そりゃ、そうだけどよ。なんで俺らが残ってなきゃならないんだよ」
啓 「聡美さん用事あるみたいだし、いいじゃんたまには。岩さん今日は
暇だったんでしょ?」
拓 「暇は暇だけどよ。今日はいつも見てるお笑い番組の日なんだよな」
啓 「お笑い?岩さんお笑い好きなんだっけ?」
拓 「好きだよ。くだらないお笑いは嫌いだけどな。やっぱり漫才が一番だな」
啓 「コントとかは?」
拓 「コントも面白いやつは面白いけどな。漫才のほうが瞬発力がある」
啓 「へぇ、知らなかった。岩さんがそんなにお笑いにこだわってるなんて」
拓 「こだわってるわけじゃねぇよ。要は面白ければいいんだ。見る側として
理想的なのは、一瞬で笑わせてくれるような破壊力のある一言を持ってる
人がいるといいな」
啓 「例えば?」
拓 「大喜利ってあるだろ?お題があって、それにみんなで答えるやつ」
啓 「笑点だ」
拓 「そう。あれをさ、今のお笑い芸人全員でやったら、面白いとおもわねぇか?
きっとうまい奴、下手な奴はっきり分かれるぜ」
啓 「かもね。でも自信のある人ならいいけど、自信のない人にはちょっと
かわいそうかも」
拓 「実力がはっきりして良いと思うけどな。うまく笑いをとれない奴は
テレビに出なくてもいいと思わないか?今お笑い芸人が増えすぎなんだよ」
啓 「おっと、急に批判ですか?」
拓 「要は質の問題だ。なんでもそうだけど、人数が増えるほど、質は反比例して
落ちていく。弱いやつは淘汰されてしかるべきだ」
啓 「弱肉強食か、それはどの業界でも同じだよね。でも今テレビに出てる人もさ
かなりの倍率を勝ち抜いているはずだよね。それってもう淘汰されてるとは
言えないかな?」
拓 「段階だよ。テレビに出るまでが一段階。テレビに出てからが二段階。そこで
生き残ったやつが、さらに上を目指す権利を得る。っていうシステムだ」
啓 「岩さん、そっち関係に進んだら?」
拓 「何言ってんだよ。俺は一視聴者としての意見を言ってるだけだ
作る側なんてまっぴらだね。第一、おもしろくなさそうだ」
啓 「でも、批判はするんだ」
拓 「批判じゃねぇって。俺が言いたいのは-」
啓 「言いたいのは・・・?」
拓 「早く帰ってお笑いが見たいってことだ」
「お待たせしましたー。終わりましたんで・・・」
啓 「終わったってさ。良かったね」
拓 「おし、帰るか。良かったらうち来るか?お前にも漫才の良さを
教えてやるよ」
啓 「遠慮しとくよ」