はじめまして、織田流剣術殺陣師範(創始者)、演出家の織田真己です。
物心付いた時には、マイ木刀を振っていた事を覚えています。幼少の頃には虚弱体質で、週の内半分以上は病院から学校に通っていました。母が女剣士の先駆けの存在で、日本国内で３人の内の１人に入る女性剣士だったと知ったのは十三の歳でした。
時代は荒廃していました。中学生が学校で暴れている時代です。喧嘩に強く成りたい。出来れば最強に成りたい。武道に強さを求めて道場を渡り歩く様に成り、危ない武闘の世界に身を置き、命のやり取りをしました。
映画が好きで映画の世界に入った時、好きだった時代劇に魅せられて、実戦で鍛えた剣術から自分流の殺陣を作り上げる基盤が出来ました。それが織田流剣術殺陣です。
真剣(日本刀)の使い方から繰り出される独特の剣術は、とても物理学的に体を使うもので体術とマッチしたものであり、世に達人と呼ばれる人は皆、この技を体得している筈です。しかし、剣術を殺陣に昇華したものは、亡き萬屋錦之助さんが錦耀会で作品を残してくれているのみです。
織田流剣術殺陣は、現代の芸能界に於いて最も安全な殺陣です。また実際の剣術に即しているため、最も合理的で、かつ最も迫力と真実味のある殺陣です。
このブログは、そんな私の経験値から作り上げた“織田流剣術殺陣”を、アマからプロの俳優の殺陣となるノウハウとして順を追って書いているものです。
【息(いき)】
【拍子】でも書きましたが、和物の表現の基本は“拍子”に有ります。それは殺陣に於いても、同じです。では剣術ではどうでしょうか。剣術に於いて、“拍子”等は有りません。リアルな剣術では、“拍子”では無く、“息(いき)”で相手の動きを掴み、相手の攻撃を躱し、捌き、相手を攻撃します。
表現に於いて、“拍子”を合わせて行うのは、作り物(真似事)だからです。剣術に於いては、リアルな実戦が伴います。と言う事は、相手の思考を考え、実力を測り、攻撃を読んで、状況を判断し、呼吸を読む事が、戦いに勝つ最小限の作業です。その中でも、“呼吸を読む事”を“息を読む”と言います。リアルな実戦に於いて、相手の“息を読む”事が出来れば、その相手の“息(いき)”を外して攻撃すれば、必ず決まると言う事に成ります。
【剣術と実践】でも書きましたが、実戦無くして強く成る事は出来ません。そして、生き残る事も出来ません。剣術の心得は、全ての道の物の考え方に通じる所が有ります。この理屈で俳優道を考えると、俳優が俳優として生き、実力を付け、生き残る為には、実戦あるのみだと言う事に成ります。現代では、どこか弱者にとって、有益な時代に成っていますが、その弱者も、権力と言う力を持つと、豹変する事が度々あります。財界や政界では、良く見る光景です。
臨機応変、時代に即すと言う考え方は、理に適っています。しかし、古きを知り、新しきを作ると言う考えも、又、理に適った考えです。現代から未来に対して、どの様に変化しようと、日本人は日本人であり、日本は日本です。変化に恐れず、立ち向かって行く事が、務めであり、真の日本人のアイデンティティではないでしょうか。独自の物を開発・発明する事は、非常に困難な事ですが、先人達は皆、そうして文化・文明を作って来たのですから、現代に生きる者も、先人と同じく、生きて行く事が、自然の理(ことわり)と言えるでしょう。
なかなか面白いものです。
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