※ユリエスで流血注意、本編ネタバレです!
空気中に赤い粒子があちらこちらで舞っている。本来は目に見えないエアルだ。濃度が濃くなって見えるようになっているのだ。
その中心にそびえ立つ御剣の階梯(みつるぎのきざはし)で俺は仲間に見守られながら操られたエステルと戦っていた。
アレクセイはもうこの場にいない。ザウデ不落宮とやらへ逃げて行った。
今すぐにでも追いかけたいがエステルがそれを許してくれない。
いくら戦いが好きだと言ってもエステルと戦うなんて望んでなんかいない。
それに 、エステルは俺の・・・ ・・・。
「っ!」
どうやら隙が出来ていたらしい。エステルが容赦なくこちらに剣を向けてきた。
辛うじて自身の剣、宙の戒典(デインノモス)を構え、受け止める。いつもとは違う強い力に驚きながらはじき返す。
ギィン、と金属と金属が噛み合う。
「目ぇ覚ませ!エステル!」
さっきからエステルに呼びかけてるが全く聞こえていないらしい。返って来たのは剣の衝撃波だ。
「蒼破っ!」
いつもより低めの高さの蒼破刃を放って相殺する。
「お前だってこんな事、望んでないだろ!」
今度はこちらに走ってきて、剣を俺に向かって振るう。ギィン、またはじく。いつまでもこんなことやってられない。
こんなことしつづければいつかどちらかがやられてしまう。何かいい方法は無いか。そのことで必死に頭の中を回転させ、考える。
隙をついて一気に決める、この考えがいつもだがこの場合、手加減を間違えるとエステルの身に取り返しがつかなくなる。それか、自分もやられてしまう。
「(・・・っ!ああするしかない・・・)」
一番やりたくない方法だが、これでエステルが帰って来るのなら。
「エステル!」
大きな声で名前を呼ぶ。一瞬止まったが、剣を持って突進してきた。簡単によけられるがあえてかわさなかった。逆に宙の戒典をからり、と捨てて両手を広げる。
「っ・・・!」
スピードを落とさず、とびこんできたエステルの体を受け止めるとともに腹にひどい激痛が走った。
「「ユーリっ!」」
リタとカロルの悲鳴じみた俺を呼ぶ声。
「安心しろって!」
返答し、血がつたっている剣を自らの体から力強く引きぬいた。
さらにひどい激痛。すぐに傷からおびただしい血があふれてくる。そして足場を赤黒く染めてゆく。気を失いそうになるのを必死と耐える。きっと普通の人がこういうことをすると、ほぼ確実に命は無い。
俺はエステルの服に血がつかないように少しだけエステルの体を浮かす。それから手に持っていたあるものを見せる。
「ほら、これ見ろよ・・・」
「!それ・・・は・・・!」
それは以前、エステルが捨てようとしていた母の形見の髪飾り。エステルに頼まれて俺がいままでずっと預かっておいたのだ。
それを見た瞬間、エステルの瞳が揺れる。一瞬のチャンス。
「帰ってこい。エステル!お前はこのまま道具として死ぬつもりか!?」
「わた、わたしは・・・わたしはまだ人として生きていたい!」
エステルから光があふれ、エアルが渦巻いていた帝都は一瞬にして晴れ空へ変わる。
「はあ、はあ・・・」
「帰って・・・来たな」
「はい・・・」
微笑むエステルを見て安心する。安心するのはつかの間、アレクセイが作りだしたシステムでエステルは赤い球体に閉じ込められた。そこから発動する赤い波動で吹き飛ばされそうになる。
リタがシステムをチェックし、驚いている。だが、聖核(アパティア)の代わりがあればエステルをすくいだせるらしい。
「この剣・・・使ったらどうだ!?」
隣で治療してくれるカロルも頷いた。とても泣きそうな顔であったが。
「・・・・・・やってみる!」
リタが自信があるように頷いた。
「ユーリ!剣を!」
「っしゃあ!」
リタが俺に合図を出す。俺は残っている力の限りで宙の戒典を宙に放り投げた。
真っ白な光に包まれ、赤い球体からエステルが倒れこんでくる------そしてその温かい体を受け止める。
「おかえり」
「ただいま」
俺の腕の中でエステルは微笑んだ。傷はだいぶふさがり、血を拭いているのでエステルが自分の血で汚れることは無い。ホントに良かった。ホント・・・に・・・
クラリ、と目眩がしてカクン、と膝をつく。もちろん、エステルをその前に離れてもらってからだけど。
「ユーリ!?」
慌てるエステルに「平気だよ」と呟いて立ち上がろうとするが立てない。刺された時に流れた血が多かったのだろう。皆も駆け寄って来る。
「休んだ方が良いよ!すっごい傷だったんだから」
治療をしてくれたカロルが言う。みんなも頷く。ま、しょうがねぇか。これは俺が悪いし。
「分かってる」
俺はしぶしぶ返事した。眠ってるのはつまらねぇからな。
「・・・ん」
目が覚めると、もう夜だった。暗いので明りをつけると、俺の眠っていたベッドに頭をのっけてすぅすぅ眠るお姫さん。ずっと見ててくれたのか。
「ったく。無防備に寝てるな」
エステルの頬をつんつんつつくと「ふぇ~?」とわけのわからないことを言ってからぱっちりと目を開ける。
「んん・・・?あ!ユーリ!起きたんですね」
「ああ、心配掛けたな」
「ごめんなさい、わたしのせいでこんな目に・・・」
「何だよ、これぐらいで俺が死ぬかって。俺は強いんだぜ?」
「ふふ、もう、ユーリったら」
エステルが小さく微笑む。それにな、と俺は言葉を続ける。
「エステルが生きてる限りは俺、死ぬつもりないんだけど?」
立ったエステルを自分のもとへ引き寄せ、そっと抱きしめる。
「ゆ、ユーリ・・・」
「ちなみにこれ、冗談じゃねぇからな?なんなら誓ってやる」
俺はエステルの桃色の前髪をそっとかきあげて、露わになった額に口づけた。
「額に口づけは誓いのしるし・・・です」
「そ。これで信じてくれるか?」
「・・・はい、もちろんです。でも、ウソついたら針千本飲んで下さい」
「かくじつに死ぬよな、ソレ」
「ユーリなら死にませんよ。だって、強いんでしょう?」
こりゃ一本取られたな。
「っはは、分かったよ」
俺はエステルの頭をそっと撫でるとエステルは花が咲いたように笑った。
~End~
話がベタすぎてつまんないですね^^;そして多少の、いや、大分本編変わってますね^^;
ごめんなさい><久しぶりのUPでした♫