今日から数回連続で、表題の件について私の考えを記そうと思います。
なお、任意団体は「権利能力なき社団」と混同されることがありますが、ここでは加入・脱退が任意である社団という意味で「任意団体」という語を用います。反対語は「強制団体」です (市町村などが該当します…住んでいるなら必ず住民登録しなければならないという意味で「強制」です)。
数週間前、将棋や囲碁の NPO 法人としてどんなものが存在しているのか調べていました。いくつかの団体の定款を見て、「この定款で団体を維持するのは大変そうだな」という感想を持ちました。
NPO 法人の定款は雛型と呼べるものが存在します。山西行政書士事務所に1つの雛型が置いてあるので、よければ読んでみて下さい。
団体 (社団) って、構成員の加入動機によって性格がかなり変わるのです。
血生臭い例になってしまいますが、例えば革命集団。加入者には実現したい夢があって、加入者ごとに少々違いがあるかも知れないけど方向はだいたい一致していて、その夢が実現できるのなら集団の長は割と誰でもよい、という集団と言い切ってよいかと思います。そういう集団だと、「〇〇会議は〇〇が招集する」とか「〇〇の監査役を1名おく」とか、そういうことを中心とした規程 (≒定款) が重要です。
でも将棋の団体の構成員の加入動機はそういうものじゃないですよね? 「どんな苦難があっても〇〇支部を永久に存続させる」みたいな動機で加入している人はほぼいなくて、「会費」「参加費」「運営労力」みたいな負担に見合う「対局機会」「棋力向上」「知り合いと話せる楽しさ」のような効用 (≒利益) があるから加入しているのです。
そうすると、「〇カ月に1回、支部役員会を開く」とか「支部長選挙のためにはまず選挙管理委員会を発足させて…」とかいらないのです。自分が嫌いな人が支部長になったら退会する、のような方針だって構わないわけです。
将棋ではないのですが、私たちの身の回りで加入動機と規程 (定款) が最も乖離しているのは町内会だと思います。
任意団体なのですから、町内会は会員の「これくらいの負担はしてもよい」と「町内会員としてこういう効用 (≒利益) を得たい」を天秤にかけて活動内容を決めればよいのですが、残念ながら日本国内の殆どの町内会は行政機関などの手先になってしまい、活動内容・活動量を自分たちで決めることができない状態になっています。
ここで、先ほどの NPO 法人定款の雛型の第13条を見てください。
理事及び監事は、総会において選任する。
これは総会を開くことが当然である団体で通用する規程であって、そうじゃない団体ではきついことが多いです。
たとえばあなたの支部、会員は全部で何人いますか? 本当に過半数が一堂に会することができますか? 委任状? 本当に集めることができますか? 定足数に達しない場合はどうする予定ですか?
殆どの将棋団体の場合、話を逆にする方がよいです。会員は「気に食わなくなったらすぐに退会しますよ」とか「とても嫌な方針になったら他の会員も引き込んで一斉退会し、新しい団体を立ち上げますよ」とか、それくらいの気軽さでやってもらう方がよいです。そうすると総会を開く必要性もほぼなくなります。なにしろ多くの会員の賛同が得られる方針にしないと退会されてしまうのですから、自然と多くの会員が納得しやすい方針になります。
団体会計の問題はちょっと複雑で、まあ、基本的にお金をため込まない団体にするのが望ましいです。極端な話、毎回の例会・大会の会場費とか備品購入の積み立てとか以外には金銭を集めないようにすると、会計監査もほぼ不要になります。「団体の会計は1円たりとも不明瞭であってはならぬ」と主張する人がいたら監査せざるを得ないですが、そういう人はそういう人だけで集まって団体を立てればよいでしょう。私は、会員1人あたり100円未満の不明瞭な会計があっても気にしません。たったそれだけのために往復1000円の交通費をかけて半日潰して総会をするくらいなら、不明瞭なままでいいです。
NPO 法人の認定を受けるためには総会規程とかそれなりに作りこむ必要があることは理解しますが、多くの将棋団体 (NPO 法人認定を受けたりしない団体) は会員の負担と効用を天秤にかけて厳密さを設定すればよい、というのが私の考えです。