標準的な治療プロトコルと「病院でリハビリがない」と言われたときの対処法
先日、お電話でこのようなご相談をいただきました。変形性股関節症と診断されたら?
「今日、整形外科で『変形性股関節症の初期〜進行期』と診断されました。先生から『貧乏ゆすりをするといいよ』と教えてもらったのですが、その病院では手術後のリハビリは行っているが、保存療法のリハビリはやっていないと言われてしまって……どうすればいいでしょうか?」
診断を受けた直後は、「これから歩けなくなるのではないか」「手術しかないのか」と強い不安を感じるものです。しかも、通院先でリハビリが受けられないとなると、「放っておくしかないの?」と戸惑ってしまうのも無理はありません。
今回は、変形性股関節症と診断された場合の標準的な診療プロトコル(治療の全体的な流れ)を整理したうえで、なぜ病院によってリハビリの対応が異なるのか、そしてご自身でできる対策について解説します。
1. 変形性股関節症の病期(ステージ)とは?
変形性股関節症は、関節軟骨の摩耗や骨の変形度合いによって、一般的に以下の4つのステージに分類されます。
| ステージ | 状態の目安 | |
| 前期 | 臼蓋形成不全など骨の形態異常はあるが、軟骨のすり減りは見られない:運動後のだるさ、軽い違和感 | |
| 初期 | 関節の隙間(軟骨の厚み)がわずかに狭くなり始める:立ち上がりや歩き始めの鈍痛 | |
| 進行期 | 軟骨の摩耗が進み、骨硬化や骨棘(骨のとげ)が出現する:歩行時痛の悪化、階段昇降やつめの手入れが困難 | |
| 末期 | 軟骨がほぼ消失し、骨同士が直接こすれ合う:強い持続痛、安静時や夜間の痛み、歩行障害 |
「初期〜進行期」は保存療法の最も大切なタイミング
今回ご相談いただいた「初期〜進行期」という段階は、ご自身の関節軟骨を守り、進行のスピードを緩やかにするための最も大切な分岐点です。まだ軟骨が残っている状態だからこそ、適切な対策を講じる意義が非常に大きい時期といえます。
2. 変形性股関節症の標準診療プロトコル
日本の整形外科診療ガイドライン等に基づくと、変形性股関節症の治療は原則として「保存療法」から始めるのが標準プロトコル(手順)です。
【診断】レントゲン・問診・可動域チェック
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【第一選択:保存療法】(初期〜進行期を中心に実施)
├─ 運動療法(股関節周囲筋の強化、関節拘縮予防、非荷重運動)
├─ 生活指導・荷重コントロール(減量、杖の活用、洋式生活への変更)
└─ 薬物療法(痛みが強い時期の消炎鎮痛剤・湿布等の対症療法)
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▼ (効果が不十分、または末期で日常生活に著しい支障がある場合)
【第二選択:手術療法】
├─ 骨切り術(比較的若年で関節の変形が軽度な場合)
└─ 人工股関節置換術(THA:痛みの劇的な改善を目的とする)
医師が「貧乏ゆすりをしなさい」とアドバイスされたのは、まさに第一選択である「保存療法(股関節に負担をかけない運動療法)」をご自身で実践してほしいという意図があったと考えられます。
3. なぜ「うちでは術前のリハビリを行っていない」病院があるのか?
「治療プロトコルで保存療法が第一選択なら、なぜその病院でリハビリをしてくれないの?」と疑問に思う方も多いはずです。
これは決して医師が冷たいわけではなく、日本の医療機関における「機能分化(役割分担)」が背景にあります。
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手術・急性期中心の病院:
手術室や高度な検査設備を備え、入院患者や手術直後のリハビリを優先する体制をとっています。外来での慢性疾患に対する定期的なリハビリ枠を確保できないケースが珍しくありません。
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保存療法・クリニック中心の施設:
理学療法士を多く配置し、外来での通院リハビリや生活指導をきめ細かく行うクリニックやリハビリテーション病院です。
つまり、「当院では術前のリハビリを行っていない」と言われた場合、「当院の設備・体制上、外来での継続リハビリが提供できない」という医療機関側の事情であることが大半です。
4. 自宅でできる保存療法:「貧乏ゆすり運動(ジグリング)」の力
通院リハビリの枠がない場合でも、悲観する必要はありません。変形性股関節症における保存療法の基本は、「股関節に体重などによる負担をかけずに、股関節を動かすこと」です。
股関節軟骨には血管が通っていないため、関節軟骨の健康を維持するには「関節液の循環」が欠かせません。体重をかけた無理なウォーキングは軟骨を傷めるリスクがありますが、椅子に座った状態で行う貧乏ゆすり(ジグリング運動)には次のような特徴があります。
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非荷重(体重がかからない)で動かせる
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小刻みな往復運動により、関節液の循環を促す
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筋肉をこわばらせず、リラックスした状態で関節を刺激できる
担当医がびんぼうゆすりを推奨されたのは、医学的にも理にかなったセルフケアだからです。
継続のハードルをどう乗り越えるか:
一方で、「毎日何十分、何時間も自力で貧乏ゆすりを続ける」のは、足の筋肉が疲れてしまったり、意識を集中し続けなければならず、意外と根気がいる作業です。
そのため、テレビを見ながらや読書をしながら、無意識かつリラックスした状態で足を揺らせる自動ジグリング機器などを取り入れ、無理なく生活習慣に組み込む工夫をされる方が増えています。
まとめ:焦らず、今できる手当てを一つずつ
変形性股関節症と診断されると、誰でもショックを受けます。しかし、「初期〜進行期」は、ご自身の足を守るための選択肢がたくさんある時期でもあります。
病院でリハビリを受けられないと言われたとしても、諦める必要はありません。
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まずは痛みの出ない姿勢・生活環境を整える
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股関節に体重をかけない運動(貧乏ゆすり等)を日常に取り入れる
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無理のないセルフケアを毎日コツコツ継続する
今回お電話をいただいた方にも、まずは2週間の無料貸出で「足を小刻みに揺らす感覚」を体験していただくことになりました。
「自分の状態でも使えるだろうか」「どんな使い心地なのか試してみたい」という方は、どうぞ無理のない範囲でお気軽にご相談ください。あなたの股関節と長く上手に付き合っていくための第一歩を、一緒に見つけていきましょう。

