〜股関節専門医の正しい受診方法と「地域医療連携」の仕組み〜
長年、変形性股関節症の保存療法(ジグリング等)についてご相談を受けていると、患者さんから様々なSOSのお声が届きます。先日も、ある患者さんからこんな切実なご相談をいただきました。
「クリニックで変形性股関節症と言われ、自分なりに調べてジグリングを試してみたのですが、逆に痛みが強くなってしまいました。こういうことはあるのでしょうか?」
結論から申し上げますと、稀ではありますが「あり得る」のです。そして、このような時に最も大切なのが「股関節の専門医による正確な診断」です。
今回は、ご自身の体を守るために絶対に知っておいていただきたい「専門医受診の重要性」と、スムーズに専門医に診てもらうための「地域医療連携制度の正しい使い方」についてお話しします。
■ 「股関節痛=すべて同じ」ではない
股関節が痛むと、多くの方が「変形性股関節症」を疑います。しかし、股関節の病態は一つではありません。
例えば、骨盤と太ももの骨の間にある軟骨のフチ(関節唇)が傷ついてしまう「関節唇損傷(かんせつしんそんしょう)」という病態があります。この場合、良かれと思ってジグリングのような動きを行うと、かえって組織を刺激し、痛みを増大させてしまうケースがあるのです。
ジグリングは、適切な病態(変形性股関節症の軟骨再生など)に対しては素晴らしい効果を報告されていますが、万能薬ではありません。ご自身の痛みの原因が「骨」なのか「軟骨」なのか、「関節包の炎症なのか」、「関節唇」なのか、それとも、他に原因があるのか。これを見極められるのは、高度な知識と経験を持つ「股関節専門医」だけなのです。
■ 病院迷子にならないための「地域医療連携制度」
先ほどの患者さんに、「関節唇損傷の疑いもあるため、かかりつけの先生に症状を伝え、股関節専門医への紹介状を書いてもらってください」とお伝えしました。
すると、患者さんはこうおっしゃいました。
「それなら、そちらでどこか有名な良い病院を教えてください。その病院宛に、かかりつけ医に紹介状を書いてもらいますから・・・」
お気持ちは痛いほど分かります。ネットで名医を探し、そこへ行きたいと思うのは当然のことです。しかし、実はこの方法は患者さんの予約・受診費の割り増し等、手間もかかり(トラブルにもなりやすい)やり方なのです。
ここで知っておいていただきたいのが「地域医療連携制度」という仕組みです。
現在の医療は、地域のクリニック(かかりつけ医)と、大きな専門病院(中核病院)がネットワークを組み、役割分担をしています。かかりつけの先生は、「この症状なら、あの病院の〇〇先生が専門だ」という地域のネットワークと太いパイプを必ず持っています。
患者さんがネットで調べた見ず知らずの遠方の病院を指定して「ここに書いてくれ」と頼むよりも、かかりつけの先生に「今の治療(あるいはジグリング等)で痛みが増して不安なので、先生が連携されている股関節の専門医をご紹介いただけないでしょうか?」と相談する。これが、最も確実で、最も早く適切な専門医にたどり着ける「正規のルート」なのです。
■ 自分の体を守るための「正しい手順」
先ほどの患者さんにもこの「地域医療連携」の仕組みを丁寧にご説明したところ、「そういうネットワークがあるとは知りませんでした。まずはかかりつけの先生にしっかり相談してみます」と、ご納得いただきお約束をしてくださりました。
保存療法でご自身の治癒力を引き出すことは本当に素晴らしいことです。しかし、その土台には必ず「専門医による正しい診断」があることが望ましいのです。
あちこちの病院を渡り歩く「病院迷子」にならないために。そして何より、あなた自身の足で歩き続けるために。この「正しい手順」と「地域連携の仕組み」を、ぜひ心の片隅に留めておいてください。
また、自動ジグリング器を使ったジグリングがご自身の症状に良いかどうかを簡単に見分ける方法があります。それは、自力で、5~10分位を日に5,6回、続けて2~3日行ってみることです。これで股関節の痛みが増大しなければジグリングの適用はあると考えても問題はないと思います。そのまま、自力でジグリングを1日1時間半程度行うこともよいですし、自力でこの時間を行うことがきついと感じられれば自動ジグリング器のご使用も検討されてはどうでしょうか?
〜変形性股関節症と医療費の裏側に潜む真実〜
変形性股関節症に悩む方が、一番に望むこと。
それは「できれば手術を回避して、自分の足で歩き続けたい」という切実な思いではないでしょうか。
しかし近年、お問合せをいただく患者さんからこんな声をよく聞くようになりました。
「初めて病院に行ったその日に、いきなり手術を勧められた」
「まだ痛みが出始めたばかりなのに、人工関節にするしかないと言われた」
実は、変形性股関節症のような進行性の慢性疾患における「本来の治療プロトコル(手順)」は違います。まずは体重管理や運動、そして「保存療法」を処方して一定期間経過を観察する。その間にMRIやレントゲンなどの検査結果を慎重に分析し、どうしても改善が見られない場合に初めて手術の検討に入るのが、本来あるべき医療の姿です。
ではなぜ、初診から「即手術」を示唆するケースが増えているのでしょうか。約10年にわたり保存療法の現場に関わってきた私は、皆様に「医療費増大の裏側にある不都合な事実」を知識として知っていただきたいと考えています。
■ なぜ「保存療法」は後回しにされるのか?二つの壁
そこには、医療現場が抱える構造的な「二つの壁」が存在します。
第一の壁は、病院も「経営体」であるという事実です。現在の日本の医療は「出来高払い」が基本です。もし患者さんが、自宅での保存療法によって自立して治癒に向かってしまえば、病院にとっては通院という「診療報酬」が減ってしまいます。さらに言えば、利益率の高い「人工関節置換術」のような手術の機会を失うことにもなります。病院が経営を維持しなければならない以上、儲からない保存療法を大々的に勧めることは構造上難しいのです。それでも、患者さんの利益(症状の改善)を最優先して、保存療法を積極的に勧めておられる医師も少なくないことは一つの救いになっています。
第二の壁は、国の「医療機器認定」の壁です。安くて良い訓練機器があっても、医療現場で使うための認定には莫大な資金がかかり、それが機器の価格に上乗せされてしまいます。結果として、手軽な保存療法の道具が医療現場に行き渡りにくくなっています。
病院は経営のために手術を優先しがちになり、国は過剰かもしれないルールで新しい保存療法の普及を遅らせる。この構造がある限り、病院任せにしていては、本来試すべき「手術以外の選択肢」を見落としてしまう危険性があります。
■ 知っておくべき「ジグリング」の効果と現実
変形性股関節症の保存療法の中でも、患者さんが自宅で取り組める有効な手段の一つに「ジグリング(貧乏ゆすり運動)」があります。
これまで、ジグリングを継続することで「疼痛(痛み)の緩和」や、失われた「関節軟骨の修復・再生」が見られたという臨床報告が多数あがっています。メスを入れず、自宅で座りながらできる。まさに患者さんの望みに寄り添う療法です。
しかし、ここで一つ疑問が湧くかもしれません。
「そんなに効果があるなら、なぜもっと強く推奨されていないのか?」と。
これも、先ほどの「壁」が関係しています。ジグリングのような自宅で行う非侵襲的(体を傷つけない)な療法は、医療機関にとって問診・処方以外の大きな利益を生みません。莫大な資金を投じて国のお墨付き(高い推奨レベル)を得るための大規模な臨床試験が行われにくいのは、まさに「経営的に利益が期待できにくい」ということに原因があると考えられます。
「推奨レベルがまだ高くない=効果がない」ではありません。「ビジネスとして成立しにくいから、積極的な推進が後回しにされている」というのが、医療現場のリアルな側面なのです。
■ 自分の体と財布を守る「賢い選択」
もちろん、病態によってはどうしても手術が避けられない場合もありますし、その正確な診断を下すのは医師の重要な役割です。医療や医師の大きな責任はここにあります。
しかし、もしあなたが「初診でいきなり手術を勧められた」としたら、少しだけ立ち止まって、今日お話しした「医療の構造」を思い出してください。
「まずは保存療法で経過を見たい」と伝えることは、患者の正当な権利です。
すぐに決断せず、ジグリングのような自宅療法を試しながら、ご自身の治癒力を引き出す期間を設けてみてください。
医療費が上がり続ける今、「自分の身体は自分で守る」という知識と行動こそが、あなた自身を救う最大の防衛策になります。ご自身の足で歩き続けるために、まずは今日からできる自宅ケアがあることを知ることは大変重要な改善へ第一歩となります。
医療施設でのリハビリテーションと在宅リハビリの両輪で、
変形性股関節症の保存療法を行う大切さについて、
動画を作成しました。
変形性股関節症と診断されて、
なんとか手術を回避したいと考えておられる皆様へ、
参考になればと思います。
施設でのリハビリは、週1、2回、
手術を回避するには圧倒的にリハビリ時間が足りません。
そこで、在宅で行うリハビリ、
ここではジグリングをご紹介しています。
自力で行いながら、また、自動ジグリング器を使いながら、
ご自身のペースで、リハビリ時間を増やし、
股関節ケア。
ユーチューブチャンネルリンク
週1回病院でのリハビリだけ?それでは変形性股関節症改善はできません。
ユーチューブでは、ジグリングチャンネルを開設していて、
保存療法としてのジグリングの様々な情報もアップしています。
是非ご覧ください。
いつもこのブログへのご訪問ありがとうございます。
変形性股関節症の保存療法として
ジグリングを行うにあたっては、
自力で行う方法と自動ジグリング器を使う方法がありますが、
自力で行うジグリングについて
また、
に関する動画を更新いたしましたので、
ご参考になればと思いブログを書きました。
それぞれ、リンクが貼ってありますので、
ご参考にしていただければ幸いです。
今後とも、自動ジグリング器の
ご愛顧を賜りますようよろしくお願いいたします。