大学生の頃から、機会があったら都電荒川線に乗ってみようと思っていた。東京で最後のちんちん電車。
市電に轢かれて亡くなった人が昔はいたそうだが、このスローな乗り物に僕は心が惹かれた。
でも、学生時代は時間があれば、劇場や映画館に足を運ぶばかりで、荒川線は、僕に関わりなくずっと走っていた。ある学生サークルが、荒川線に乗るイベントを行ったが、都合が悪くて参加できなかった。
最近になって、患者団体の事務所の手伝いに時々出かけるようになったのだが、何の縁なのか、そこは大塚駅を降りた場所にあった。横目で、実物の荒川線の車両を見ながら、手伝いに通う。都電最中も買わなくてはと思ったりしていた。
9月12日、渡すものがあるので久しぶりに事務所を訪問。その日は、特に手伝う作業もなかったので、ちょっとばかり休んでから、家に帰ることにした。事務所のあるビルのドアを押した特、何だ、都電に乗るいい機会ではないかと気が付いた。この時まで、なんと長い時間が経過したことだろうか。
都電の大塚駅で、最初に早稲田方面か三ノ輪橋方面にするかで迷った。結局、長い距離の法を選んだ。透析患者も身障者なので、都営交通の無料乗車パスを頂いている。ということは、いつでも都電乗り放題なのだ。これも縁なのだろうか。
乗った電車は、荒川車庫止まりであった。
荒川車庫から終点の三ノ輪橋まで。商店街を見たあと、今度は早稲田行きに乗る。途中、梶原駅で降りて、これも念願の都電最中を買う。
その日も連日続く猛暑であったが、涼しい都電の中から車窓と乗客を見ながら、早稲田で遅い昼食、早稲田から大塚駅に戻って最初の荒川線の小さな旅を終えた。
都電最中の包装紙に、名所案内付きの絵入りの路線図が印刷してあった。今度、また乗る時は、途中下車してどこを訪れようか。
しかし、最近の睡眠不足がたたって、ひどく疲れる旅であった。まあ、荒川線を長いこと待たせたのだから、そのくらい仕方ないな。疲れには甘いもの。当然、都電最中。ぎゅうひ入り。







