【米国市況】株は小幅高、雇用統計後の勢い失速-ドル上昇、146円台
Rita Nazareth-
強い製造業指数、利上げ終了観測に水差す-メスタ-総裁発言も影響
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原油はバレル85ドル台に上昇、米国債利回りをスティープ化
1日の米国株式市場でS&P500種株価指数は小幅高。8月の雇用統計が利上げサイクル終了が近い可能性を示唆したものの、楽観的な見方は製造業の強い指標に打ち消され、株価は上昇の勢いを失った。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 4515.77 | 8.11 | 0.18% |
| ダウ工業株30種平均 | 34837.71 | 115.80 | 0.33% |
| ナスダック総合指数 | 14031.81 | -3.16 | -0.02% |
S&P500種は週間ベースで6月以来の大幅高。週明けの4日はレーバーデーの祝日で休場となる。
個別銘柄では電気自動車(EV)メーカーのテスラが5%下落。同社は「モデル3」の初の改良版を発表し、上位車種「モデルS」と「X」の価格を引き下げた。
バイオ医薬品メーカーのアムジェンは278億ドル(約4兆290億円)での同業ホライゾン・セラピューティクス買収計画を実行に移せることになった。計画阻止を目指して訴訟を起こしていた米連邦取引委員会(FTC)が、合併後にホライゾンの主力薬品2品目を抱き合わせで販売しないとした両社の決定を受け入れた。
エネルギー株は原油高を好感して上昇した。
8月雇用統計は労働市場が制御された冷却過程にあることを示した。雇用は堅調で、賃金の伸びは減速、労働市場へ復帰する人が増えている。市場の鈍化は今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る余地を連邦準備制度理事会(FRB)に与える一方、年内利上げの選択肢は維持させる。
熱の下がった米雇用市場、FRBに利上げ見送りの余地-今のところは
ルネサンス・マクロ・リサーチの米経済調査責任者、ニール・ダッタ氏は「雇用統計はソフトランディングを期待する楽観主義者の勝利ではあるが、米連邦準備制度理事会(FRB)が警戒を解いても大丈夫と想定するのは無責任な見方だろう」と述べた。「経済成長は持続できないほどに強い状態が続いている。FRBがブレーキを緩めようとしている矢先に、経済はシクリカルなモメンタムを伴って力強く成長している」と解説した。
金利スワップ市場は年内利上げの確率を50%未満として織り込む一方、利下げ予想は6月から5月へと前倒しされた。
クリーブランド連銀のメスター総裁は、米国のインフレはこのところ改善が見られるもののなお高過ぎると指摘、労働市場は依然として力強いとの認識を示した。「今後の政策判断はリスク管理、そして金融政策の引き締めが過度な場合と不十分な場合とでの異なるコストをどう管理するかだ」と述べた。
HSBCアセット・マネジメントのマクロ・投資ストラテジスト、フセイン・メディ氏にとって今月FOMCでの利上げ見送り観測は「圧倒的になった」という。「しかし積極的な引き締めサイクルの影響が時間差を伴って波及を続け、企業が合理化を加速させる来年は、リセッション(景気後退)は避けがたいだろう」と述べた。同氏はポートフォリオにおいて「慎重かつディフェンシブなスタンス」を維持しているという。
8月の雇用統計は十分な説得力を持ち、今月はうまく利上げ見送りにこぎ着けそうだが、その後に若干の引き締めを望んでいるタカ派をなだめるには至らないと、BNPパリバのカール・リカドンナ、エレーナ・シュルヤティエバ、ウィリアム・マーシャル3氏はみている。
「11月のFOMC会合までにマクロ経済の熱が下がり、利上げ休止の延長が正当化されるとわれわれは予想する」と述べた。
米投資運用会社ブラックロックでグローバル債券担当の最高投資責任者(CIO)を務めるリック・リーダー氏は、米労働市場の冷え込みが利上げ打ち止め観測を後押しし、債券の妙味がここ数カ月で最も高くなっていると指摘した。
「統計は労働力にたるみが生じている事実を示す新たなベンチマークに使えると思う」とリーダー氏。「しかもこれは、インフレ率が低下しているタイミングで起きている」とブルームバーグテレビジョンで1日に述べた。「FRBの金融引き締めは終わったと考えて良いはずだ。この数カ月の状況に比べて、もう少し金利へのエクスポージャーに肩入れしても大丈夫だろう」と話した。
米国債
米国債相場は下落。強弱混在の経済統計と来週に予想される大量の社債発行、原油価格の上昇を受けて、利回り曲線はスティープ化した。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.29% | 8.4 | 1.99% |
| 米10年債利回り | 4.18% | 7.1 | 1.72% |
| 米2年債利回り | 4.88% | 1.6 | 0.32% |
| 米東部時間 | 16時51分 |
利回りの上昇は総じて、8月の米雇用統計発表から約1時間後に始まった。同統計の発表直後は相場が押し上げられ、利回りは年限を問わず、ほとんどが今週の低水準に下げていた。
短期物を中心に利回りが一時的に下げたのは、失業率が3.8%に上昇したことで市場が織り込む年内利上げの確率が50%を割り込んだため。スワップ市場での織り込み具合は先物の引けまでこのままだった。
やがて市場のフォーカスが来週の社債発行見通しに移ると、利回りは反転。8月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数と関連物価指数が予想を上回った後、利回りは一段と上昇し、昼頃にはこの日の高水準に達した。
外為
ドル指数は上昇。労働市場の熱が徐々に下がりつつある中で、製造業の活動が安定に向かっていることを示唆した経済統計を受けて、プラスに転じた。カナダ・ドルは主要10通貨中、対ドルで最も軟調となった。カナダ経済が4-6月(第2四半期)に予想外に縮小したことを受け、来週の中銀政策決定会合では金利が据え置かれるとの見方が強まった。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1245.62 | 5.47 | 0.44% |
| ドル/円 | ¥146.27 | ¥0.73 | 0.50% |
| ユーロ/ドル | $1.0774 | -$0.0069 | -0.64% |
| 米東部時間 | 16時51分 |
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、米雇用統計の発表直後に0.3%下げる場面もあった。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の為替戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏は「ドル相場、および長期債を中心とする国債利回りが持ち直したのは特筆に値する」と指摘。「インフレを目標水準に戻すには、米国経済は余りにも強い」と述べた。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州最高投資責任者(CIO)、ソリタ・マルチェリ氏は「不透明感が残るため、投資家はFRBの次の行動について臆測を巡らすしかなく、市場では不安定な値動きが続くだろう」と指摘。「11月のFOMCまでに経済は明白な減速兆候を示し、FRBは1980年代以来の急激な利上げについに終止符を打つ」と予想した。
ユーロは今週、対ドルで0.2%下落。欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス銀行(中銀)総裁は、利上げサイクルの終わりは近いとの考えを示した。
円も対ドルでは週間ベースで0.2%安。鈴木俊一財務相は為替の急激な変動は望ましくないとして、しっかりと動きを注視していきたいと述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は7営業日続伸と、1月以降で最長の上昇局面となった。バレル当たり85ドルを上回り、昨年11月以来の高値で引けた。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が数カ月続けてきた供給削減が、現物市場に影響を及ぼしている。世界の原油消費の主要なけん引役である中国が景気押し上げ策を講じていることも強材料となった。
CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダーのレベッカ・バビン氏は「ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の85ドルは非常に大きな心理的節目だ」と指摘。「この水準を突破して維持するには、サウジアラビアとロシアの減産延長を確認する必要がある。中国の刺激策が効果を表し、中国国内のセンチメントが改善し始めたとの確信も必要だろう。85ドル超の水準を維持すると思うが、まずはそれを試して数回失敗するかもしれない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物10月限は前日比1.92ドル(2.3%)高の1バレル=85.55ドルで終了。週間では7.2%上昇し、3月以来の大幅な上昇率を記録した。ロンドンICEの北海ブレント11月限は1.72ドル(2%)上昇し、88.55ドル。
金
金スポット相場はほぼ変わらず。ドルと米国債利回りが米雇用統計の発表直後の下落から持ち直したことで圧迫され、上げを失った。
金スポットはニューヨーク時間午後2時33分現在、1オンス=1940.54ドル。一時は0.7%上昇し、その後0.3%安まで売られる場面もあった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は1.20ドル(0.1%)高の1967.10ドルで引けた。

原題:Stock Rally Wanes at End of Best Week Since June: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Slump Amid Mixed Data, Corporate Supply Outlook(抜粋)
Dollar Recovers Alongside Rise in Treasury Yields: Inside G-10(抜粋)
Oil Surges Through $85 Barrier as OPEC+ Supply Cuts Grip Market(抜粋)
Gold Erases Gains as Traders Digest Cooling US Jobs Data(抜粋)
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