【米国市況】株は軟調、CPI発表控え-ドルは135円台前半
John Viljoen、Alice Atkins-
債務上限協議の行き詰まりも株の悪材料、地銀株は上昇
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4月のCPIは前年比5%上昇の予想、なお高インフレ
9日の米株式相場は軟調。消費者物価指数(CPI)の発表を翌10日に控えて売りが優勢になった。債務上限協議の行き詰まりも地合い悪化につながった。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 4119.17 | -18.95 | -0.46% |
| ダウ工業株30種平均 | 33561.81 | -56.88 | -0.17% |
| ナスダック総合指数 | 12179.55 | -77.37 | -0.63% |
通期の調整後営業利益率の伸び見通しを引き下げたペイパル・ホールディングスが急落。S&P500種株価指数の構成銘柄の中で下げが最もきつかった。大型ハイテク株で構成するナスダック100指数は0.7%安。景気減速が懸念される一方、米金融当局の利上げが終わる可能性があることから、主な株価指数は狭い取引レンジ内にとどまっている。
米債務上限を巡る対立の解消に向けた動きに注目が集まっている。マッカーシー下院議長は、短期的な債務上限延長に反対の姿勢を示した。同議長は米東部時間16時からバイデン大統領らと会談を行っている。イエレン財務長官は財務省が早ければ6月1日に債務上限未満に抑える余地がなくなる危険性があるとの警告を繰り返している。
米債務上限引き上げ間に合わなければ大統領は決断迫られる-財務長官
B. ライリー・ウェルス・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「暗礁に乗り上げている債務協議をこの会談が打開する可能性は低いが、問題に対する注目がようやく高まる可能性がある」と記述。「議会が会計年度の終了する9月30日まで債務上限を引き上げることが最も可能性の高いシナリオだ。そうなれば、2024年度予算と債務上限の全てに対し一度に協議するもっと大きな闘いになるだろう」と述べた。
S&P500種は今年、3800から4200の間にとどまっている。ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」を創業したトム・エッセイ氏は「ソフトランディングに向かっているとデータがもっと明確に示し、地方銀行がこれ以上破綻せず、コアインフレが予想より速く低下、米金融当局が利上げ停止を明確にし、債務上限協議で合意に達した場合」、株式相場はようやくレンジを抜け出して、上昇する可能性があると指摘した。

BTIGのチーフマーケットテクニシャン、ジョナサン・クリンスキー氏はS&P500種が3800を割り込むと弱気派はみていると指摘。「広く認知されている全ての問題にかかわらず、相場は底堅く、下値を割り込まないと強気派は主張している」とした上で、「それほどまでに相場が力強いのなら、4200を下回る水準で長く推移し、その水準を上抜くことができないでいるのはなぜだろうか。ボラティリティー指数(VIX)が16を下回り、多くのハイテク株が年初から20%超上げているにもかかわらずだ。その理由は騰落レシオとクレジットだ」と述べた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「年内に利下げする理由はどこにも見当たらない」と述べたが、利上げ停止の可能性については否定しなかった。金利スワップ市場は年内に少なくとも0.5ポイントの利下げが実施されることを織り込んでいる。
中国の輸出が4月に落ち込み、新型コロナウイルス対策の緩和を受けた中国経済の回復が期待ほど力強くないと示唆したこともセンチメント悪化につながった。
10日発表の米CPIは前年比5%上昇が見込まれており、物価圧力が金融当局にとってなお不快なほどに高いことを示唆している。
パックウェスト株が2.3%上昇し、KBW地銀指数を押し上げた。
米国債
米国債相場は下落。ただ、3年債入札が好調だったため、下げ渋った。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 3.84% | 1.5 | 0.40% |
| 米10年債利回り | 3.52% | 1.1 | 0.33% |
| 米2年債利回り | 4.02% | 2.1 | 0.52% |
| 米東部時間 | 16時54分 |
外為
外国為替市場ではドル指数が小幅高。債務上限協議とCPI発表を控え、ドル買いがわずかに優勢になった。ドルは対円でもしっかり。一時は135円36銭まで上げた。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1222.01 | 1.69 | 0.14% |
| ドル/円 | ¥135.23 | ¥0.13 | 0.10% |
| ユーロ/ドル | $1.0960 | -$0.44 | -0.40% |
| 米東部時間 | 16時54分 |
原油
ニューヨーク原油相場は上昇。一時下げていたが、反転した。バイデン政権が戦略石油備蓄(SPR)について、年内に保守作業を完了した後に補充を開始すると発表したことに反応した。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=73ドル台で終了。一時は2.5%下げる場面もあった。この日は中国の4月の輸出が減速し、輸入は落ち込んだことが材料視され、原油は朝から軟調な展開となっていた。米政権は、以前議会が義務付けた約1億4000万バレルの売却を取りやめ、年内にSPRの補充を開始することを決定。これが相場の反転につながった。

TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏は「米国がSPRの補充を開始する上で価格は適正な水準にあり、景気低迷の逆風が強まる中で原油の強気筋には待望の買いの機会が訪れそうだ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は55セント(0.8%)高の73.71ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は43セント上げて77.44ドル。
金
ニューヨーク金相場は続伸。米政策金利の軌道に関する手掛かりを得るため、市場は経済に関する新たなデータを待っている状況だ。
世界経済や米債務上限問題、米地銀の健全性を巡る懸念が続く中で金は買われており、過去最高値付近にとどまっている。

米経済データはこれまで、まちまちな状況が続いている。10日には4月のCPIが発表され、金融政策の見通しを巡る議論が再び活発になりそうだ。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時49分現在、前日比0.8%高の1オンス=2036.55ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、9.70ドル(0.5%)高の2042.90ドルで引けた。