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一年を二十四に分け、季節の移ろいを細やかに感じ取る暦、二十四節気。
そのひとつが「雨水(うすい)」です。
降り積もった雪が雨へと変わり、氷がゆるみ、山の雪がゆっくりと溶けはじめるころ。
昔からこの時季は農耕の準備を始める目安とされてきました。
目に見える景色はまだ冬の名残をとどめながらも、地の下では確実に春へと向かう力が動き出しています。
山から流れ出す雪解けの水は、「雪汁(ゆきじる)」や「雪消の水」と呼ばれます。
時に川や海をやわらかく濁らせる様子は「雪濁り」。
白い世界がほどけ、水となって大地を潤す――その静かな変化こそが、雨水の情景です。
この季節を菓子に映したのが、百合根寒です。
真っ白な百合根と黒豆を、みずみずしい寒天でかためました。
透き通る寒天は雪解けの水を、百合根の白は残雪を思わせます。
黒豆は、これから芽吹く命の種や、大地の存在をそっと忍ばせました。
派手さはありません。
けれど、透明な寒天の奥に、冬から春へと移ろう時間を閉じ込めています。
二十四節気の和菓子を作ることは、季節を記録することでもあります。
自然の変化に目を向け、その瞬間を形にする。
そして、ひと口の中で季節を味わっていただく。
この百合根寒もまた、雨水という小さな節目を映す一菓です。
一年を通して、二十四の季節を菓子で表現していく――
そんな試みを、少しずつ積み重ねています。
透明な寒天の中に、ゆっくりとほどける季節を感じていただけたら嬉しいです。
Wagashi Studio
アメリカでオーダーメイドの和菓子作品の制作、オンライン和菓子教室やワークショップ、デモンストレーション、展示、レシピ提供などを行っています。著書「甘くてかわいい、食べられる宝石 琥珀糖のレシピ」 日本・台湾・香港にて上梓。
優しい味に自然に口もとがほころぶ和菓子は、季節の移ろいも運んで来て、生活に豊かな色どりをそえてくれます。アメリカでそろう材料で和菓子を楽しんでみませんか?
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