発売再延期発表でついに万事休す、キャノンと東芝のSEDテレビ事業 | 留守宅は大丈夫?

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■夢の次世代テレビと期待されたSEDテレビ。
キャノンと東芝が合弁会社を作り開発を進め、
一時は事業化直前まで近づいたが、
様々な要因から再三、販売が延期され、

ここに来て、再び期限を定めずに延期が発表された。
まさに万事休す、といったところ。

SEDは、
Surface-conduction Electron-emitter Displayの略。
いわゆるブラウン管をひらたくして、
電子銃を平面状に配置したもの。

高輝度/鮮明な色/広い視野角といったブラウン管のメリットと、
薄型テレビに求められるパネルの薄型化を
同時に実現できるとして、事業化が注目されてきた。

特にプラズマや液晶より
大幅に低消費電力化が実現することから、
強力なライバルになるとされてきた。

ところが、ここに来て3つの逆風が吹いている。
一つは、大型薄型テレビの低価格化が予想以上に進み、
プラズマTV、液晶TVメーカーは生き残りをかけて、
大幅な設備投資を進めていること。
特に、松下、シャープの何千億という設備投資に対し、
SEDテレビは、何周もの遅れを取っている。

もう一つは、次世代薄型テレビの本命として
有機EL方式が注目されていること。
SEDテレビの事業化が計画された時は、
まだまだブラウン管テレビの時代だったが、
急速に薄型テレビの普及が進み、
今後は、薄さ・軽さが勝負となってきている。
ブラウン管テレビとの比較は、
最早、意味を持たなくなってきている。

そして最大の課題は、
SEDのライセンス契約を結ぶ米社との訴訟が、

長期化が避けられない見通しであること。
米社は、ライセンス契約はキャノンの子会社には認めたが、
3年前につくった東芝との合弁会社SED社は、
キャノンの子会社ではないと主張している点。

このために、すでにキャノンは折半出資のSED社を

東芝から買取り100%の子会社に変更している。
知財は、まず事業化しないことには意味はないので
この米社の動きは、全く解せないが、
何かの弾みで連携がおかしくなったようだ。

いずれにしても、
夢の技術と騒がれたSED方式のテレビは、
発売前に陳腐化するという状況に陥った。
事業化の遅れは大きな痛手だが、
見切り発車で進めた場合は、
さらに大きな山に乗り上げることは間違いない。
気の毒だけれど、賢明な選択には違いない。

ただ、このSED事業、キャノン・東芝両社社長が陣頭指揮し、

事業会社もつくってすでに多額の投資をしてきているので
簡単に撤退とは言えない事情がある。
東芝は、暗礁乗り上げをキャノンや米社のせいに出来、
有機ELに切り替えていくことで活路を見出せなくもない。
しかし、事業をリードしてきたキャノンは、そうはいかない。
行くも地獄、退くも地獄、落としどころは本当に難しい。

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