わびしい。
ねびです。
SV400Sのタンデムシート、破けてきました。経年劣化で表皮も硬い。
わびしい。みっともないので張り替えにチャレンジします。
せっかくなので生地はエクセーヌにします。
昨今の高級車の内装材として引っ張りだこな人工皮革です。耐水性(水洗いできる)、耐候性(色落ち、劣化しにくい)に優れ、熱に強いなどの特徴があり、肌触りや見た目の高級感も上等。
バイクのシートに使うと滑りにくくなって良いとか、滑りが悪すぎて乗りにくいとか、日光下に放置しても熱くならないとか、濡れても傷まないけど乾きにくいとか。素材なりの特徴があるようです。
特にシート張替え屋さん(ググるとすぐ出てきますよ!)のブログにあるダカールラリー出場車両の写真を見ると、短期間で過酷な使い方されてもへっちゃらみたい。じゃぶじゃぶ水で洗ってたし。
出てくる画像、ドカティ、アグスタ、BMWと高級外車の数々…。国産ボロ中古バイクに使ってる例はほぼ皆無。
ちなみに東レは現在、ウルトラスエードという名前で販売しています。イタリアのアルカンターラ社で作ってるのがアルカンターラらしいのですけど、開発元は東レのはず…このへんはよく分かりません。
一口にウルトラスエードと言っても、仕様の違いからかなりの種類があり、一般的に自動車内装に使われるのは厚さ1mm程度で420g/m^2のウルトラスエードRXとか、GUとか呼ばれる製品のよう。その他にも、衣類やソファだったり、いろんな用途に向けて展開されています。
見てるだけでも楽しいから、東レの公式ページ見て下さい。
入手先については、合皮専門の通販サイトや、バイクのシート張替え屋さんが生地だけで販売していたり。0.5mm厚で安いのも出てきたんですが、薄地のものは衣料品向けで、バイクのシートには1mm以上のが良いよと、優しい方がtwitterで教えてくれました。
なんでアルカンターラ張ろうなんて思ったかと言えばですね、交換用シート表皮があまりにいろいろあって、考えるの面倒くさかったからなんですよ!
たしかに専用品として売ってるシート用レザーはあるんですよ。
あるんですけど、ポリウレタン(PU)レザーはよく伸びるけど劣化が早いとか、ポリ塩化ビニル(PVC)系は色あせが…とか。私のSVのシートはそもそも純正表皮でしょうから、そっくり同じようなやつで良かったんだけど、お尻が滑るのが厄介。滑りが減れば良いなぁ…などと考えておりました。ただ、どれが良いのか、うまくいくのか、わかんねえ!
何をやっても博打。
なら、派手な博打を打ってやろ、と、そういう魂胆なんでございます。
派手な博打と言いつつ使った金額、送料込み3,990円。わびしい。
エクセーヌ、アルカンターラ、ウルトラスエードの品質的な違いが調べて分からなかったので、合皮.jpさんのアウトレットで、メートルあたり3,240円っていう、フツーの人工スエードなのでは??って値段でエクセーヌを買いました。だいたい本来はメートル単価で12,000円から、上述の自動車用RXだと16,000円からのようです。合皮.jpさんのアウトレットはいつも在庫があるわけじゃないみたいですが、お買い得。スグ来たよ。
というわけで、SVのシートをもいできました。
裏側にタンデムベルトとロックの金具があるので10mmのレンチで外します。
タンデムベルトの穴がちょっと引っかかったけど、ラクラク。
タッカーで止まってるホチキスを、ラジオペンチやマイナスドライバーでこじって抜きます。
なんだかんだマイナスドライバーが使いやすかった。
どっかの工場でおばちゃん達が一生懸命作ってくれてるんだろうなー。
ちょうど角の部分は剥がれやすい?のか、ここだけ最初から左右とも2重に打ち込んでありました。
外してきたタッカ針はこんなやつ。
一周外したら、ぺろっと表皮が剥がれます。
パンかな?パンに座ってたのかな?
破けてたところに少し模様がありますね。加水分解したのでしょうか。
今回は防水のためにビニールをはさみました。コレ、かつてプロジェクションマッピングをやった時の透明スクリーン素材のあまり。
いわゆる農ポリ。たしかポリッドスクリーンとして推奨されてるやつで、0.05mm厚だった気がします。
本来は農家さんがビニールハウスに張り込む素材ですから、耐候性は抜群のハズ。
まだ2ロール余ってるぞ。Ripperやりてー。
使った道具はコレ。タッカーとステープル針。
写真に写ってる針は足の長さが8mmだったのですが、抜いた純正針の足が短めだったので6mmのやつを使いましたよ。
あっちこっち引っ張っては、シワが減るようにタッカでとめる。
言うは易し、なかなかきれいに伸びません。
どーせ上から厚手の表皮が来るので、テキトーに諦めた。こんなもんでいいや。
大雑把に引っ張れる程度に余らせてロールから切り出しました。
1m買うと、このサイズなら4枚くらい張り替えられそう。
んで、もうコレで完成しちゃうのです。
途中の写真は無いよ!両手でグイグイ引っ張ってはタッカでとめての繰り返し。
素材の力はすごいですね。
オンボロシートが高級感に包まれましたよ。
角にシワが寄ってますが、張り直す余分はあるから様子を見ます。縮んでいい具合になるか、ダルダルに伸びるかも良く分からない。使い方と相性が悪くて、すぐボロボロになっちゃうかもしれないしね。
農ポリシートを挟んだからか、クッション材とエクセーヌの滑りが良くて、結構引っ張れました。
全体のシワを伸ばしながら…とかじゃなくて、アールの小さい角を真っ先にグイグイ引っ張ってやっつけて、最後1方向ぐいっと張れる方向で、平らにできる形状のシワに追い込んでいく感じだった。
いやしかし、人工スエードの開発やってる東レの開発部隊の方々はすごいな、人工モノで質感があって、耐候性があって色落ちもしなくて…。きっとすんげー試行錯誤の賜物でしょう。
皮を剥がし始めてから、張り終わるまで、2時間くらいの作業でした。
アルカンターラは伸びにくいという噂でしたが、パンチングだったからか案外伸びてくれました。専門業者さんのブログを読むと裏までシワなく張り込むみたいなので、それは頭が上がりません。
あと、あんまり伸ばすと防水性が失われるとか、機能を損なうこともありそう。
今後の変化を見守って参りたい所存です。
バイクのシートを張り替えたのは初めてですが、自転車用の背負子を作ったときのクッション製作はまるっきりこの手法の応用で、当時もバイクシート張替えや自転車のサドル張替えの記事をたくさん見ていたんです。
こんなやつね。夏が来るからまたやるぞ背負子開発。
MDF材は柔らかいので針がズバズバ打ち込めたんですけど、シートの張替えにこのタッカはちょっとパワー不足かも。ともあれ、やっと本来の用途で試せました。
うれしいので、タンデムベルトをほっぽって、つけてきた。
生地の色は大雑把に「黒」、ということでしたが日光下ではグレー、ないしは紺色に近い感じです。こうきゅうぅー。
素人が引っ張ったせいか、シートとカウルの隙間が増えました。雨降ったら大変そう。
写真じゃなかなか伝わらないでしょうが、タンデムシートだけ高級バイクになったようだ。
メインシートも張り替えたいぞ。
人に見せてたら早々に俺のもやって!とか、自転車のサドルも張り替えられる?なんて声も頂いたのですが、世の中には金出しても多少のシワなど気にしない人もいるもんですね。耐久性や肝心の滑りにくさ、防水性の確認がしたいので、人のをやるのはその後にしようかと。
ちなみにタンデムベルト、一応保安基準?で必要という事になっていて、車検証上で2名乗車のバイクにはグラブバーないしタンデムベルトがいるようです。でも、どっか掴めればOK…くらいの基準みたい。もしかするとシートレールの裏についてる荷掛けレールが掴めれば、ベルトなしでも十分な気もします。裏側に泥が溜まって汚かったので洗って付け直しますけど。
未確認なので悪しからず。
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まとめ
専門業者さんの技術にはさっぱり敵わないが、
もうちょっと練習したら高級っぽいクッション、作れそう。
ではまた