受験体験記 その39【mさん】 | 東大SPHを目指す貴方へ

東大SPHを目指す貴方へ

東京大学 公共健康医学専攻 (SPH:公衆衛生大学院)の卒業生有志による、入試対策法・学生生活・キャリアプランについて綴っているブログです。
東大ひいては日本国内でMPH(公衆衛生修士号)取得を目指されている皆様のご参考になれば幸いです。

【スマホ用メニューバー】
TOP | はじめに | 入試対策全資料 | 受験者の声 | リンク集

総管理人のTootsie Rollです。

2020年度(2019年8月実施)の受験生の方の体験記です。
今になって遅れて掲載することになった理由は7月12日の記事をご参考ください。




第39弾はmさんの体験記です。
(回答日:2019/09/06)

受験年・コース・合否結果
2019年8月入試 (2020年4月入学) 2年コース 合格

年齢
30代

卒業学部
他大 医療系学部 (医学科以外)

東大SPH受験は
初めて

受験時の職業
歯科医師

併願校
なし

東大SPHを受験した理由 (公衆衛生学を志した理由)
歯科疾患の予防のためには公衆衛生や医療制度面からのアプローチがより効果的であると考えたことから、公衆衛生の道に進みました。ただ、専門職ゆえ歯科(口腔保健)の中で完結してしまうことが多く、また自分自身の知識不足も痛感していたことから、より幅広い分野とのつながりを得ること、知識の強化を目的とし、東大SPHを受験しました。

研究テーマ
口腔と全身の関連に関する疫学研究(これまで)。在学中に新たなテーマも見つけていきたいと思っています。

東大SPHのここがオススメ
まだ入学していないのですが…国内トップクラスの教授陣の講義を受けられることをはじめ、集まってくる学生の質や、総合大学なため専門外の授業を受けられる・人的つながりを作りやすい環境などが魅力です。

将来のキャリアプラン
現時点では研究者、大学教員などを考えていますが、在学中に様々な可能性を見つけていきたいと思っています。

受験勉強法 (勉強期間、推奨参考書、解いた過去問の年数・周数、失敗談など)
勉強期間:
1か月半(出願時から)

推薦参考書:
統計…WebSite「統計学の時間」https://bellcurve.jp/statistics/course/
無料で内容が充実しています。統計検定2級レベルで、単元ごとに分かりやすい解説と例題があるため、高校レベルからの復習に重宝しました。
他はblog掲載の推薦図書(わかりやすいEBNと栄養疫学、社会と健康: 健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ、疫学の教科書)とインターネット検索を活用しました。

解いた過去問の年数・周数:
6年分、英語と記述は1周、統計と選択肢問題は2周。

英語はそこまで苦手ではなかったので(受けたのは数年前ですが、TOEFL85~90くらい)、とりあえず1日に大問1つずつ解いていきました。

統計はもともと数学が苦手で、高校レベルですら怪しかったので、まずは大学教養レベルの簡単な入門書を読み、用語がわかるようになったところで過去問&解説と上記websiteを併用して解いていきました。一番時間をかけたと思います。コンビネーションってどうやって計算するんだっけ、というレベルから最終的には過去問で9割くらいは解けるようになりました。

選択肢問題は、ひたすら過去問を解く→解説を覚える、最新データや追加説明が必要そうなものだけwebで検索する、を繰り返しました。

記述は、疫学、予防医学、精神保健、公衆衛生学調査論のみ対策しました。
過去問で何となくの傾向を掴んだのみです。年齢調整死亡率はたまたま選択肢問題対策として覚えておりラッキーでした。ここでも解説を活用させていただき、分からないところは丸暗記するつもりで覚えました。

小論文は、とりあえず1回書き、友人に添削してもらいました。
それから数回推敲を兼ねて書いて何となくの内容を覚えてから挑みました。

失敗談:
前日夕方に腕時計を見たら、電池が切れかけており、慌てて買いに行きました。持ち物は万全だと思っていたのですが、まさかの落とし穴でした。
また、統計は内容理解重視ですべて電卓で計算しており、暗算練習を全くやっていなかったので、予防医学の手計算に思ったより時間がかかってしまいました。

面接で聞かれたこと、受け答えた内容
Q. 1年コースの出願資格があるが、あえて2年コースを受けたのか。
A. はい。

Q. 今の仕事は退職して進学するということでいいのか。
A. はい。

Q. これまでの経歴と志望動機を簡単に。
A. 経歴+上記12の受験理由

Q. すでに博士課程を出ているが、改めて公衆衛生大学院を受けたのはなぜか。A. 歯科(口腔保健)の中で完結してしまうことが多く、また自分自身の知識不足も痛感していたことから、より幅広い分野とのつながりを得ること、知識の強化を目的として。
Q. …というが、実践ではなくまた大学院に入ることで、学問のための学問になってしまうのではないか?なぜまた学ぶのか?
A. (ここは少し詰まりました。)PhD→MPHと取ったことで国際機関で活躍することができている先輩の例を話したうえで、専門外の幅広い知識を増やすため。
Q. 幅広い知識といっても、それは大学院でなくて実践の場で身に着けるべきではないのか?
A. 周囲に他分野の人間が少ないため、共同研究の幅を広げることにつながるのではないかと考えたため。
(PhD→MPHとなることについてかなり突っ込まれましたが、質問者には、「共同研究の幅を広げる」で納得いただけました。)

専門分野について
Q. 予防歯科を推進することで、歯科の需要がなくなってしまうのではないか。歯科業界の中では予防重視にシフトしているのか?
A. 全体として予防は大切という方向に進んでいると考えている。
例えばむし歯予防の推進により歯が残ることで歯周病が増えるといった新たな需要が生まれる。また、今後治療が減っていった際には、治療単価を上げることで収入の総額が変わらないようにすることも必要だと思う。
Q. 思う、じゃなくて、そうしなきゃいけないよね。
A. はい。

Q. 小論文でむし歯予防のためのフッ化物洗口について書かれていたが、他の方法はないのか。
A. 一部の国で実施されている水道水フッ化物添加等があるが、日本では行われていない。
Q. ではそれはなぜ日本で導入されないのか
A. すべての物質は摂取量の多寡によって利益も害もある。局所応用ではフッ化物量のコントロールは可能だが、水道水にフッ化物を添加した場合、過剰摂取リスクが完全には否定できないため、現時点で日本では導入は難しいと考えている。




【アンケートご協力のお願い】
毎年恒例、東大SPH受験生(合否問わず)のアンケートへご協力をお願いします。

こちら

個人情報を含むセンシティブなものですので、総管理人のTootsie Rollのみに届き
共同管理人には一切見せず、記事化する際も総管理人単独で行う方針は絶対厳守いたします。

コロナが来年も続くとなれば、今年の受験生の皆様の情報は特に貴重なものとなります。
試験問題の内容など口外したくないものに関しては「18. 備考欄」にお願いします。

どうか未来の受験生のためにもご協力をお願いします!








お問い合わせはこちらのフォームよりご入力ください。
※お送りいただいたメッセージは全て総管理人のTootsie Rollにのみ送信されます。

東大SPHを一度でも受験された方へアンケートを取っています。早ければ数分で終わります。
合否や年度を問わず「一度でも受験経験をしている人」であればどなたでもご記入いただけます。
※アンケート結果は総管理人のTootsie Rollのみが閲覧できる状態で編集・記事化します。