受験体験記 その17【ISHTさん】 | 東大SPHを目指す貴方へ

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東京大学 公共健康医学専攻 (SPH:公衆衛生大学院)の卒業生有志による、入試対策法・学生生活・キャリアプランについて綴っているブログです。
東大ひいては日本国内でMPH(公衆衛生修士号)取得を目指されている皆様のご参考になれば幸いです。

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東大SPH受験生の皆様より頂いた受験体験記です。


第17弾はISHTさんの体験記です。
(回答日:2020/09/16)

受験年・コース・合否結果
2020年8月入試 (2021年4月入学) 2年コース 合格

年齢
30代

卒業学部
他大 医療系学部 (医学科以外)

東大SPH受験は
初めて

受験時の職業
研究員

併願校
なし

東大SPHを受験した理由 (公衆衛生学を志した理由)
研究者として、将来的に自らがPIとして企画することになると考えた時に、疫学研究のデザインを学び、効果的なプロジェクトを立案できるようにしたい。また、研究成果を基に行政や地域政府とのコミュニケーションや連携のあり方、課題への対策を検討する際に、社会、公衆衛生の視点から考えるヒントを得たいと考えたため。

研究テーマ
・NDBを使用した地域医療構想を支援する統計指標作成
・地域医療・介護データを使用した研究
・画像診断機器の適正な配置施策、および医療機関における適正利用に関する研究

東大SPHのここがオススメ
疫学・統計数理的なテクニカルな科目の充実だけでなく、市民・行政・政府などのレイヤーに対するアプローチを学べると感じた。
講師陣やOBの実績やバリエーションが豊富であるため、自分が解決したい社会的課題に対するヒントを得られる場と感じた。講師陣はその道の第一人者として著名な先生が多く、書籍だけでは得られないような講義を期待し受験した。

将来のキャリアプラン
研究者として、成果を基に省庁や行政と関わり合いながら、制度の改善案、そのオペレーションについて考えていきたい。

受験勉強法 (勉強期間、推奨参考書、解いた過去問の年数・周数、失敗談など)
過去問全年度1周。
統計学は基礎の公式が意外と抜けていたので、忘れているところや良くある例題について、教科書で補完。たくさんの本に取り組むよりも、TR様のブログで進められていた培風館『統計学演習』が理解できれば問題ないと思います。
英語は論文を普段から読む仕事であるため、特に対策は無し。
公衆衛生は『公衆衛生が見える』を斜め読みし、法律や用語に見慣れる→過去問で傾向をつかむ→傾向をもとに厚労省等の公式資料・文献をあたる、の流れで勉強していました。
※受験を決意&勉強を始めたのは5月で、本格的に始めたタイミングで筆記無しがアナウンスされました。

面接で聞かれたこと、受け答えた内容
①志望動機、小論文の内容を3分でまとめる。
②(小論文で触れた)Choosing Wiselyの効果のエビデンスはどうか。
→先行研究を踏まえて、医療費・アウトカムに正の影響を与える知見はまだ無いことを紹介。他方で、日本発の研究は少なく、まずは研究を行い検証していくことが必要。(書籍でChoosing Wiselyに触れられていた先生が面接官であったため、その内容に触れながら回答した。)

③新型コロナにおいてCTはどのような役割を果たしてたか
→診断の事前確率を上げる事に一役を担った可能性はあるが、検証はされていない。日本のCT普及率は世界でトップであることを考えると、本検証によって日本式の対策として世界に発信できる可能性ある。

④チーム医療が求められているが放射線技師はCTやMRIのオーダーに対して医師へ疑義照会することはあるか。また、改善案はあるか。
→病院、あるいは指示医により、権限移譲のあり方が異なっているのが実情と思う。日本は診断機器が多いにも関わらず、放射線科医は世界的に見ても少ない。放射線技師の活用は、検査の適正化や読影補助という役割強化によって、より功利的な人的資源活用となり得るのでは。一方、検査を最適化することは医療機関の減収につながるため、医療機関の経済的インセンティブと、患者の健康に対するインセンティブが逆行し得る構造があるため、「適正化加算」のような、インセンティブの方向性を揃える等の制度デザインが必要。

⑤新型コロナに係る社会情勢を見て思う事、言いたい事、感じている事
→1点目、サイエンスの知見を正しく国民や地域、政府に伝えることの難しさ。PCR検査の運用についての一連の報道を見ていく中で、メディアによる報道や伝え方のあり方にいくつか問題があるケースが見られたため、エビデンスの確立だけでなく、それを使用したコミュニケーションの重要性を感じた。
2点目、医療資源の配分の問題。病床数削減(要請424リスト)等の潮流があるが、病床数が比較的余剰であることが新型コロナ対応では功を奏したという指摘がされており、これはCTも同様である。しかし、この指摘には運用の効率性の視点が抜けていて、余剰に保有することを是とされるものではないと考えている。運用の効率化や、機能の共有や冗長性を持たせるなどの改善案と組合わせることが可能であると考える。その大前提として、各資源の配置状況や利用状況を正確に把握するデータを迅速に集められる仕組み作りが重要と考える。

⑥{修士以上の学位}をとり、大学で助教として勤務した経験まであるのに、何でMPHが欲しいか。
→現在の仕事で省庁や市役所の人と、共同で研究プロジェクトを進めることが増えてきた。分析結果を議論するための研究デザインや分析手法について、体系的に学んだ経験はあまりなく、体系的に学習し、分かる事と分からないことをしっかりと伝えたい。また、先ほどの通り、エビデンスを基にしたコミュニケーションについて公衆衛生の視点から考えられる人材になりたい。従ってMPH、学位が欲しいというよりは、学びたいという想いが強く、反転学習講義が多いと聞いているため、公共を念頭においたディスカッションの視点を学習できると期待したため志望した。学位は足跡のようなもので、それ自体よりも学んだことを基に何をするかの方が大切だと考えているし、MPHを取得した後も学習は継続していく。

※⑥の{}は伏字









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