星空を撮影する際に、撮影画像を大サイズ~ピクセル等倍で見ても星が流れずにピタッと点状に写っているようにするためのルールがある。
「レンズの 35 mm フィルム換算での焦点距離」 に 「露出時間 (秒) の上限」 を掛けた数値を用い、よく知られているのが 500ルール。
500ルールよりもっと厳密に星を点状に写す目的で使われているのが、400ルール、300ルール、200ルールなど。
他に、星を厳密に点状に写すためのルールとして、焦点距離 ・ 画素ピッチ ・ 絞り値なども含めて計算する NPFルールがあるが、変数が多いので計算が面倒。
私は、レンズを替えたり焦点距離を変えたりしても露出時間の上限をサッと計算 (暗算) できる 200 ~ 500ルールを使っている。
200 ~ 500ルールで気を付けることは一つだけ。
それは、撮影対象が天の北極 (ほぼ北極星の位置) に近いのか、それとも天の赤道に近いのか、ということ。
(観測地点の緯度が θ の場合)
北極星の高度=θ
真南の空での天の赤道の高度=90度-θ
北半球の空は、天の北極を中心にして24時間で360度回転している。
観察地点から見て、星が一定の時間に移動する距離は回転半径に比例するので、星が天の北極に近いほど短く、天の赤道に近いほど長くなる。
これまでの経験から、星を厳密に点状に写したい時には
・ 天の北極に近いカシオペヤ座や北斗七星 (おおぐま座) などには 400ルール
・ 天の赤道上にあるオリオン座などには 200ルール
・ それらの間にある星にはその位置に応じたルール (300ルールなど)
を使っている。
500ルールは北極星 (こぐま座) だけに適用しているので、滅多に使わない。
これは私が子どもの頃に買ってもらった A.M.Y 天球儀 (製造: 国際情報社) で、今も使っている。
200ルールあるいは NPFルールでも星が流れて写ってしまう時には、三脚・雲台の耐荷重性能の問題または経年劣化が考えられる。
三脚・雲台には製品ごとに耐荷重が表示されているが、それは水平で凹凸のない場所で無風の条件下でのものなので、実際の撮影において耐荷重ギリギリの重さのカメラでは点状に写らないことがある。
経年劣化は固定部品(ナット、レバー、ネジ、ギア)で起こりやすいので、保管時にはきつく締め付けない(緩まない程度に軽く固定する)。