1998~2010年の12年間、プリメインアンプに Marantz PM-14 を使っていた時のこと。
<Marantz PM-14> オーディオの足跡より
それまで、スピーカケーブルは端子に直接接続していたが、PM-14 のスピーカー接続端子がバナナプラグ対応だったので、一度、バナナプラグを試したことがあった。
オーディオ誌で評論家によるレビューで紹介されていたバナナプラグのメーカーの一番手がドイツの WBT 社だったこともあり、同社の 0600 番を購入した。
<WBT-0600>
ケーブルの着脱が手軽に行える利点があり、ひとまず聴いて気になる音質変化もないようで、使い続けようと思った。
ところが、それから数か月間、CD をとっかえひっかえ聴いて行って、異音に気づいた。
非常に高い 「ピイィィィィィィ~ン」 という音が聴こえた。
特定の CD ソフトの、特定のトラックの、特定の複数の再生箇所で。
初めは、部屋の中の何かが共鳴しているのかと考え、1つ1つ手で押さえたり、覆いを被せてみたりしたが、異音は一向に収まらなかった。
そして、オーディオシステムの後ろに回って聴いた時、すぐ傍で鳴っていることが分かった。
その場所で以前と違うものといえば、バナナプラグしかない。
アンプ背面のスピーカー接続端子に挿してあるプラグに軽く触れた状態で再生すると、音圧に応じてプラグが強く振動していることが分かり、プラグをつかむと異音は生じなかった。
WBT-0600 は、先端の細い突起部分がスピーカー接続端子に差し込まれ、金属製の円筒部分はフリーの状態。
アンプ背面の左右スピーカー接続端子の+と-用の計4本の WBT-0600 が互いに近く平行の位置関係になる。
再生中の音圧で生じた振動が円筒部分で増幅され、4本の WBT-0600 が “音叉” のように共鳴したと考えられる。
アンプの筐体や使っていないスピーカー接続端子の振動に比べ、WBT-0600 の振動は桁違いに大きかった。
音楽信号が流れる経路において、音を濁す不要振動は出来る限り排除することが重要。
その経験から、不要振動を増幅するバナナプラグは言うまでもなく、スピーカーケーブルの両末端には何も付けないことにしている。
どのメーカーも、そしてオーディオ誌上でアクセサリー機器を論じているオーディオ評論家なる人種も、“バナナプラグ有りと無し” でスピーカーケーブル末端の振動を比較したデータは公表していない。