中学時代、Windham Hill レーベル所属のピアニスト George Winston のアルバム 『Autumn』 に収録されている 「Longing/Love」 (和タイトル: あこがれ/愛) が大ヒットした。
それがきっかけで、 G. Winston やレーベルの創設者 William Ackerman など、同レーベルのCDを買うようになった。
Windham Hill レーベルの音楽家の中で、私が一番好きになったのは Nightnoise。
アイルランド出身の Mícheál Ó Domhnaill がアメリカでヴァイオリン奏者 Billy Oskay と出会い、Nightnoise を結成。
1994年 Windham Hill レーベルからデビュー・アルバム 『Nightnoise』 を発表。
静かな夜、ゆったりとくつろぐ中で聴くのに好適なアコースティック・サウンドをとても気に入った私は、Nightnoise のアルバムを買い続けることになった。
セカンドアルバム以降、Nightnoise には、順に、フルート奏者 Brian Dunning、ヴォーカル・フルート&クラビネット奏者 Tríona Ní Dhomhnaill (M. Ó Domhnaill の妹) が加わり、4作目のアルバム 『The Parting Tide』 発表後に B. Oskay が脱退した代わりにフィドル奏者 Johnny Cunningham が加わった。
こうして、Nightnoise は4人のアイルランド/スコットランド出身者、つまりケルト人のグループとなり、彼らの音楽もケルト音楽に深く根差したものになっていった。
私が Nightnoise のアルバムで一番好きなのは、1993年に発表した第5作目のアルバム 『Shadow of Time』。
中でも出色は、「Night in That Land」 と 「The Rose of Tralee」。
「Night in That Land」 は J. Cunningham による曲だが、冒頭から奏でられる B. Dunning のフルートの音が何とも素敵なのだ。
遠い子ども時代に誘われるような、あるいは、切ない想い出を想起させるような音色。
同曲は、Nightnoise の唯一のライブ・アルバム 『White Horse Sessions』 にも収められ、フルートが流れ出した途端、聴衆の拍手が沸き起こっている。
「The Rose of Tralee」 は、19世紀アイルランドのバラードを元にした曲。
T.N. Dhomhnaill の独特なヴォーカルが、幻想的で美しい光景の中の二人を歌っている。
Nightnoise のオリジナル・アルバムは、1995年発表の第6作目 『A Different Shore』 が最後となり、2003年に解散、2006年には創立メンバーの M. Ó Domhnaill が亡くなり、再結成の望みもなくなった。
彼らが残したわずか6枚のオリジナル・アルバムと1枚のライブ・アルバムだが、私の音楽鑑賞の中で大きな位置を占めている。