LIXILギャラリーで「中田雅巳展―SEN―」を観た! | とんとん・にっき

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LIXILギャラリーで「中田雅巳展―SEN―」を観てきました。

 

中田雅巳展 -SEN-
東京:2019.06.14(Fri)~08.27(Tue)

 

LIXILギャラリーでは2019年6月14日(金)~8月27日(火)の期間、「中田雅巳展 -SEN-」を開催します。
中田雅巳氏は九谷焼五彩(緑・黄・紫・紺青・赤)と、シャープなフォルムがモダンな印象のオブジェやうつわを制作しています。近年、受賞や海外アートフェアへの活躍が続く九谷焼の未来を担う、注目の作家です。
 

今展では代表作≪SEN≫シリーズから15点を展示します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中田雅巳展 -SEN-」に寄せて
中田雅巳は、九谷焼の未来を担う、いま注目の作家である。その作品は、素地の上に異なる色の化粧土を塗り、針で線を丁寧に掻き落とし、窪みの部分に別の化粧土を塗り込むという繊細な手法である。この「SEN」と名付けられた作品によって様々な公募展に入選し、近年ではドイツ、オランダ、シンガポールなど海外にも活動の領域を広げている。まさに「SEN」シリーズは、中田のライフワークと呼んでもいいだろう。
中田は幼い頃、父親がエンジニアをしていたので、将来はなにかもの作りに携わりたいと思っていた。小学校の時、課外授業ではじめて上絵付体験をして、やきものに興味を持った。1997年に石川県立九谷焼技術研修所卒業。2004年に独立。現在は、能美郡川北町に工房を構えて作家活動をおこなっている。
中田は、「SEN」シリーズの制作に際し、これまでたくさんの色の化粧土を使用してきたが、とくに九谷焼を意識したことはなかった。中田の作品は伝統的な九谷焼の色絵ではなく、手法も見た目も従来の九谷焼の概念を大きく覆している。中田は、はじめ上絵付を中心に器を制作していた。ところが、自分は絵付より形作りの方が好きだったので、自然と磁土を使った白磁を作るようになった。しかし、なにか変化が欲しくなり、掻き落しや象嵌といった様々な技法を試行錯誤しているうち、「SEN」の技法に辿り着いたという。
2006年、金沢わん・One大賞「人・器・出会い」展で優秀賞を受賞したのを切っ掛けに、東京の百貨店の食器売り場でも展示されるようになつた。上京の折に尋ねた南青山のギャラリーの空間の中に、自分の作品をいつか展示したいと思い、今まで以上にアートを意識するようになった。2011年「菊池ビエンナーレ」に入選、以後、中田の「SEN」シリーズが大きく注目されることとなった。
中田作品の特徴は、洗練されたシャープなフォルムと、それを覆うマットで鮮やかな単色の色彩である。「SEN 2012」は、白い生地の上に黒い化粧土を塗り針で線を丁寧に掻き落した中田の代表作である。また、「SEN 2015」「SEN 2017」の造形はどこまでも現代的であるが、使用する化粧土は九谷の五彩(赤、青(緑)、紫、黄、紺青)の色に落ち着き始めて、伝統とモダンの融合を図りつつある。
中田のライフワークとなった「SEN」シリーズの今後の展開が楽しみである。
森 孝一 (美術評論家・日本陶磁協会常任理事)

 

「LIXILギャラリー」ホームページ

https://www.livingculture.lixil/gallery/

 

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